マスカレード・コンフィデンス【増量試し読み】
滝浪酒利/MF文庫J編集部
――嘘をつくときのコツを教えよう。真実だけを話すことだ。
第19回MF文庫Jライトノベル新人賞《最優秀賞》受賞作!
【2023年11月25日(土)MF文庫Jより発売!】
十二年前の革命によって、千年に渡る王と貴族たちの支配は打ち破られた。
舞台はとある大陸の国家、共和国。新時代の風潮と自由の蔓延するこの国に、一人の男がいた。
ライナス=クルーガー。架空の他人を演じる、仮面の詐欺師。
目的はただ一つ。金のため。彼は技術を高め、手口を磨き、実践して反省して改良する。ずっとそうして生きてきた小悪党はある日、一人の少女と出会う。
「あなた、嘘をついているでしょう」
彼女の名はクロニカ。一人、旅をしているという謎の少女。
貴族の血脈がもたらす超常の異能力〈貴血因子(レガリア)〉。少女の左眼に宿った能力は、他者の魂(こころ)を見通し、操る魔眼。
クロニカは詐欺師に言った。今まで彼が奪った金、積み上げてきた財産を返してほしければ――自分と一緒に旅をしろと。
「これからよろしくね、ライナス」
「この野郎……」
そして始まる二人の旅は、平穏無事とは程遠く――〝騎士団〟と名乗る謎の組織が、クロニカを狙って襲撃を仕掛けてくる。
二人の前に次々と立ちはだかる、異能を宿した人外の貴族たちの刺客、連続する絶体絶命の中で、クロニカは言った。
――海に行きたい。
なぜ、どうして、少女は狙われ、旅をし、海を目指すのか。
何一つ分からないまま、詐欺師は奪われた金を取り戻すため、クロニカとともに海を目指して旅をする。
そうして、とある列車での出会いから始まった二人の旅は、山を越え、街を抜け、運河を渡って海を目指す。
「はじめまして、バカな人」
様々な敵、あるいは味方との出会い。
「私、嬉しくて……これでようやく、あなたと結婚できるんだと思うと……!」
やがて明らかになるクロニカの謎。
そしてライナス自身の過去もまた、仮面の下から蘇り――。
たどり着いた夕暮れの海岸線に、二人が出会う真実とは。
これは、詐欺師の仮面と、旅する少女の物語。
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