あらすじ紹介
十二年前の革命によって、千年に渡る王と貴族たちの支配は打ち破られた。
舞台はとある大陸の国家、共和国。新時代の風潮と自由の蔓延するこの国に、一人の男がいた。
ライナス=クルーガー。架空の他人を演じる、仮面の詐欺師。
目的はただ一つ。金のため。彼は技術を高め、手口を磨き、実践して反省して改良する。ずっとそうして生きてきた小悪党はある日、一人の少女と出会う。
「あなた、嘘をついているでしょう」
彼女の名はクロニカ。
一人、旅をしているという謎の少女。貴族の血脈がもたらす超常の異能力<貴血因子(レガリア)>。
少女の左眼に宿った能力は、他者の魂(こころ)を見通し、操る魔眼。
クロニカは詐欺師に言った。今まで彼が奪った金、積み上げてきた財産を返してほしければ――自分と一緒に旅をしろと。
そして始まる二人の旅は、平穏無事とは程遠く――「騎士団」と名乗る謎の組織が、クロニカを狙って襲撃を仕掛けてくる。
二人の前に次々と立ちはだかる、異能を宿した人外の貴族たちの刺客、連続する絶体絶命の中で、クロニカは言った。
――海に行きたい。
なぜ、どうして、少女は狙われ、旅をし、海を目指すのか。
何一つ分からないまま、詐欺師は奪われた金を取り戻すため、クロニカとともに海を目指して旅をする。
そうして、とある列車での出会いから始まった二人の旅は、山を越え、街を抜け、運河を渡って海を目指す。
「はじめまして、バカな人」
様々な敵、あるいは味方との出会い。
「私、嬉しくて……これでようやく、あなたと結婚できるんだと思うと……!」
やがて明らかになるクロニカの謎。
そしてライナス自身の過去もまた、仮面の下から蘇り――。
たどり着いた夕暮れの海岸線に、二人が出会う真実とは。
みんなからのレビュー
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オセロ
42見えない仮面を見に纏うことで誰かになりすまし、金を稼ぐ詐欺師のライナス。そんなライナスの魂を読んで操る異能を宿した左眼持つクロニカに弱みを握られ、彼女と共に目的を明かされない旅をすることになるアクションファンタジー。 良くも悪くも新人作家さんらしい内容だったなと。詐欺師のライナスが主人公にも関わらず騙し合いよりも異能を使ったバトルが多くて面食らいましたが、敵のイブリーンやライナスに惚れたパティも魅力的で。荒々しさもありながら一貫して貴族やクロニカの秘密に焦点を当てた内容はなかなか読み応えがありました。 続きを読む…
ネタバレあり -
よっち
40十二年前の革命によって打ち破られた、千年に渡る王と貴族たちの支配。共和国となった国で、架空の他人を演じる仮面の詐欺師ライナスが、一人旅する謎の少女クロニカと出会う近代異能ファンタジー。金のために生きてきた小悪党に、今まで彼が奪った金で積み上げてきた財産を返してほしければ一緒に旅をしろと告げるクロニカ。彼女を追う異能を宿した人外の貴族たちの刺客からの襲撃に、駆け引きと彼女の魔眼で立ち向かう二人の海を目指す旅路と様々な出会いがあって、秘密を抱えるクロニカと放っておけないライナスのコンビがなかなか良かったです。 続きを読む…
ネタバレあり -
わたー
37★★★★★この精緻な表紙から、ビックリ人間同士の外連味たっぷりな異能バトルが描かれるとか誰が想像できるかッ…面白いじゃあないか。革命によって共和制となった国を舞台に、詐欺師の主人公が、自分の仕事を一目見て嘘を吐いていると断言した少女に無理やり護衛にされて、一緒に海を目指すロードストーリー。事実しか言っていないあらすじなのに、イコール真実ではないところがこの作品の紹介に相応しいなと書いてて思った。勿論、異能を持つどこか浮世離れした少女との旅で各地を転々とする要素はあるのだが、 続きを読む…
ネタバレあり -
しぇん
27ファンタジーの異能バトル。色々設定も言い回しも凝っているので少し読みにくいところもあったりしました。詐欺師なので詐欺とか知略で戦うのがメインなのかなと思ってましたが、結構力技のが多かったですね。サブヒロインのが色々面白キャラになっててよかったです 続きを読む…
ネタバレあり -
ひぬ
25【電子】革命により貴族国家から共和国へなった国をベースに詐欺師として活動するライナス。ある少女・クロニカに詐欺を指摘され、紆余曲折あり彼女と旅する事になりますが、次々と襲撃を仕掛けられ…思った以上に異能バトル要素が主でした。若干荒削りなところはあったと感じたものの、雰囲気が好きなタイプの作品です。各章のタイトルが洒落ていました。第三章は「アヴィニョンの橋の上で」の歌がベースかな。イヴリーンとパトリツィアの舞闘が橋で行われるのは趣があって良かったです。 続きを読む…
ネタバレあり
製品情報
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レーベル
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発売日2023/11/25
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定価748円(本体680円+税)
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ISBN9784046830753
パートナーのおすすめレビュー(宣伝)
襲い来る規格外の異能力者に「騙し合い」で挑む!
「金を返してほしくば自分を海へ連れて行ってくれ」と言う彼女に、ライナスは渋々承諾するんだけど、すぐに二人は異能の力を宿した人外である「貴族」の襲撃に遭う。少女は「騎士団」という貴族の残党集団に狙われていたんだ。こうして、奇妙な貴族クロニカと詐欺師ライナスの命がけの旅が始まるんだよ!
襲ってくる「貴族」は本当に強敵さ。人を一瞬で刺し貫く血でできた棘針に、太陽レベルの光熱発射! 主人公との力の差も桁違いなんだよ。壮大なスケールで描かれる鬼気迫る戦闘シーンが、脳裏に鮮やかに浮かんだね。
そんなチート級の「貴族」たちに、ライナスはお得意の騙し合いで応戦するんだよ! 嘘のコツは「真実だけを話すこと」。敵だけでなく味方も、自分自身すら騙す彼の策略をもってすれば、絶望的な戦況への打開策が見出せるんだ。どんでん返しの連続に、一行たりとも見逃せないよ!
仕掛けや闇が満載のダークファンタジー作品ッス!
騎士団という異能の力を宿した人外達の組織から必死に逃げるライナス達ッスけど、そこに政府軍の第三勢力も加わって、事態はさらに混沌化するッス。ライナスとクロニカ、騎士団、政府軍。それぞれが自分達の思惑で動き回って、利害関係はしっちゃかめっちゃか。敵味方入り乱れる逃亡劇は、まさに大スペクタクルッスね!
世界観のダークさもさることながら、キャラ達の抱える闇もまた、絶句するほど苛烈で深いんスよ。幼少期に家族を失くしたせいで、カネしか信じないライナス。異端の貴族として誰ともなれ合うことなく、一人で逃げる以外に道の無いクロニカ。孤独な二人は利害関係のつながりながらも、身を寄せ合うように、海までの厳しい旅路を辿るんスよ。
遠くへ逃げれば逃げるほど、二人を待ち受ける未来は閉塞感を増していくッス。巨大な運命に抗おうとする二人の必死の足掻きが、限りなく無謀で、それでいて限りなく美しくて、グッとくる物語ッスね!