【レビュー】まさかデスゲームものでボーイミーツガールを爽やかに行う作品が出てくるとは……!

横溝碧の倫理なき遊戯の壊し方

【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はMF文庫Jから9月25日に刊行される『横溝碧の倫理なき遊戯の壊し方』です。みなさんの感想も聞かせてください!


デスゲームものといえば、多人数を殺しまくって一人勝ち残ろうとすることが多い(『死亡遊戯で飯を食う。』のような例外はあるものの)。となると、道中でボーイミーツガールが起ころうとも、基本的にはゲーム終結までにはどちらかが死んでしまうもの。最悪の場合、どちらも死んでしまうことすらあり得る。そうなると、死と隣り合わせであることのサスペンス要素の方がフィーチャーされるのは必然ともいえるだろう。

では、そのゲームの穴をつけるような頭が切れる天才がゲームに参加したら? しかも、デスゲームの司会者を人質に取って行動することになったら?

その答えとなる本書は、とにかく読んだことのない展開の連続だった。デスゲームなのに他のプレイヤーも救おうとするし、運営サイドも司会が人質に取られる失態を主宰にバレないようにしたいと必死だし、なんならその主宰も素性が読めない強敵であるし……etc。

そしていつの間にか、司会の少女と主人公の間には、人質以上友達未満な関係性が出来上がっていく。まさかデスゲームものでボーイミーツガールを爽やかに行う作品が出てくるとは……! 個人的には情報屋ポジである妹が通信だけという出番であっても、はっきり存在感を示してくるのもツボ。

しかし、ラストの衝撃たるや。なんとなくそう来るのかなという伏線こそ貼られていたものの、こうなると第2巻(出るよね?)で二人の関係性はどうなってしまうのか気になるところ。果たしてあのキャラクターは何なのか、そして心音はどうなるのか……。とにかく僕にとって目が離せない新シリーズが開幕した!

文:太田祥暉

ざっくり言うとこんな作品

1)デスゲームに誰も殺したくない探偵が入り込むという異常な状況が発生してしまう「見たことのない展開」!

2)デスゲームの司会を人質に行動する最中で起きるボーイミーツガール!?

3)『探偵はもう、死んでいる。』二語十先生と『死亡遊戯で飯を食う。』鵜飼有志先生推薦!

主要キャラ紹介

▼横溝碧(よこみぞ あお)
引きこもりの天才名探偵。SNSで名探偵として活動しているインフルエンサーでもある。他人の気持ちを考えることが苦手だが、常に妹やネットの友人とボイスチャットをしている。

横溝碧


▼姫野心音(ひめの ここね)
デスゲームで司会を務める少女。碧に人質とされてしまう。拳銃を持っている間は強気でいられるが、取り上げられると途端に弱気に。何やら過去にトラウマがあるようで……?

姫野心音


▼横溝杏(よこみぞ あんず)
碧の妹にして、やはり引きこもりの少女。ネットを駆使することが大の得意。碧から事件捜査を依頼されると瞬時にネットの大海からデータを引っ張ってくることができる。

横溝杏


▼鳳凰寺若紫(ほうおうじ わかし)
碧が巻き込まれたデスゲームの主宰をしている企業のトップ。その姿が世に出ることはほとんどないが、果たしてその正体は?

鳳凰寺若紫


推薦コメント

横溝碧の倫理なき遊戯の壊し方_推薦コメント

二語十先生(『探偵はもう、死んでいる。』)
難攻不落のデスゲームに挑むのは、ひきこもりの天才名探偵!?
最凶の矛VS最強の盾。緊張と緩和。ジャンルの融合によって生まれる独特の空気感に、気付けば癖になっていく!
誰も死なないデスゲームはただの理想か、あるいは──。
個人的な推しは超可愛いハッカーの妹!

鵜飼有志先生(『死亡遊戯で飯を食う。』)
「デスゲーム」で「探偵もの」。ふたつのジャンルが巧みに融合した作品です。最強で天才な名探偵・横溝碧。ひょんなことからデスゲームに巻き込まれてしまった彼は、探偵としての能力を活かし、司会役の少女を人質に取り、さらにはあらぬ方向へとゲームを導いていきます。ゲームの破綻を恐れた運営はあの手この手で彼の抹殺を試みるのですが、しかし彼は天才なので、並み居る敵も障害もばったばったとなぎ倒す──。そんな作品です。軽快なテンポの文体で語られるそれは、きっとみなさまにカタルシスをもたらすことでしょう。

作品情報
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    横溝碧の倫理なき遊戯の壊し方

    著者: 枢木 縁   イラスト: こゆびた べる

    要するに。デスゲームなんて始まる前に解決しちまえばいいんだよ。

    「──俺の名前はジェノサイド江戸川。探偵さ」

    ……名前が意味不明だって? 同感だ。俺にも訳が分からない。

    SNSで活動する名探偵の俺、本名・横溝碧は妹に生活費を使い込まれて困窮。
    仕方なく大企業主催の脱出ゲームで賞金を稼ぐことにした。
    ところがそれは、社会の裏で開催されているデスゲームだった訳だ。
    そして命と大金を賭けた殺し合いが幕を開け――る予定だったらしいが、
    俺が参加しているのが運営の運の尽きだ。
    殺し合いを始まる前に秒で終わらせ、俺はデスゲーム司会の少女、姫野心音を手錠で俺と繋いで人質に取る。
    さらにルールの穴を突いて、全てのプレイヤーが生存してのゲームクリアを目指したんだ。
    だが、そんなやりたい放題をしていたら、デスゲーム主宰の黒幕に目を付けられてだな。
    徐々に運営は、手段を選ばず問答無用で俺を殺そうとしてきやがった。
    まぁ俺を殺そうなんざ、やれるものならやってみてほしい。

    デスゲームという事件で、名探偵が負ける訳ないだろ?

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