あらすじ紹介
「――いやああああッ!? ウォルカ、し、死んじゃだめえええええッ!!」
日本から転生した冒険者ウォルカ。ダンジョン探索中に突如強大な魔物に襲われた彼は、仲間を庇って瀕死の傷を負ってしまう。その瞬間ようやく気づいた――ここが前世で読んだダークファンタジー漫画の世界で、自分が仲間もろとも全滅するモブキャラだったのだと。
バッドエンドを強く嫌うウォルカは、仲間のために死に物狂いで戦い奇跡的に魔物を撃破。片目片足を失いこそしたものの、パーティ全滅の運命を覆せたことに安堵していた。ところが、仲間の少女たちの様子がなんだかおかしくなってしまって――
「今度こそ絶対に守るからっ!! だからお願い、見捨てないでぇ……!!」
「わたし、ずーっと傍にいますから。――いいですよね、せんぱい?」
「キミのために死のうって……そう決めたの」
ハッピーエンド至上主義な転生者と、彼に激重感情を抱く少女たちの【曇らせ】異世界譚!
【書籍版限定の書き下ろしエピソード2本収録】
・書き下ろしエピソード『ウォルカが死の淵から目を覚ましたときの話』
・書き下ろしエピソード『ウォルカが聖女全員から包囲網を敷かれる話』
みんなからのレビュー
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よっち
27強大な魔物相手に瀕死の傷を負いながら、奇跡的に撃破してみせた冒険者ウォルカ。パーティー全滅の運命は覆したものの仲間たちが病んでしまうファンタジー。土壇場で転生者の記憶と知識を取り戻し、全滅バットエンドを回避したものの片目と左足を失ってしまい、師匠の魔術師リゼル、弟子の天才剣士ユリティア、女戦士アトリ、そして聖女候補アンゼたちがそれぞれの理由で負い目を感じて迷走しまう展開で、ウォルカへの想いを掘り下げながら、けれど剣に生きるしかないウォルカの姿を見て、それを応援するしかない仲間たちとのこれからが楽しみです。 続きを読む…
ネタバレあり -
まっさん
20★★★★ 日本から転生し、冒険者として類まれなる才能を発揮しながらダンジョンを攻略するウォルカは、ある日絶体絶命の窮地に陥ってしまう。そんな瞬間に脳裏に過ぎるのは自身が前世で読んだダークファンタジー漫画の展開。彼らは序盤も序盤で全滅するモブキャラパーティの一員であった。このままでは自身はおろか共に研鑽を積んできた少女たちが尊厳を奪われて死んでいく。バッドエンドにはさせない、そんな強い気持ちで片目と片足を代償に何とか生還を果たしたウォルカ達一行。しかし、彼の気持ちとは裏腹に周りの少女達は彼に激重感情を抱→ 続きを読む…
ネタバレあり -
サキイカスルメ
20うん、これは病むよ!思い出した時には全滅エンド目前、死に物狂いで仲間を救った代償は片目と片足だった。それでも全滅エンドを回避できたことに満足する主人公と、彼に責任を感じて愛が暴走する人たちのお話。すごい好きなタイプの物語でした。主人公との出会いとその想いから、こじらせてく過程が良すぎた……。あの状況は、仲間ならこうなっちゃうの理解できるから病んでも全然怖くないし、むしろかわいいまである。聖女さまと聖騎士(男性)の友人の存在も素晴らしかった。本編そこで終わるの!?があったけど、続きが楽しみだからよし 続きを読む…
ネタバレあり -
のれん
18最初にまず言いたいのは、壮大に何も始まらず終わったこと。キャラ関係の組み立ては中々面白かったからこそ残念な所。 主人公はカッコよさという名の夢を追求していたからこそ、その夢を(自分のせいで)失ってしまったとふさぎ込んでしまうのは分かる。まるで怪我で引退した選手を介護する彼女だ。問題はその介護要員がパーティだけでなくドンドン増えること。聖女も親友も皆ハイライトが消え、少年を追い詰めるあらゆる悪意に敵意を向ける。向ければ向けるほど、彼の治らない傷を見て自傷していくのに。 ねっとりした情念が爆発する展開に期待。 続きを読む…
ネタバレあり -
わたー
17★★★★★物語としては文句なしに面白い。それだけに、中途半端なところでブツ切りされているこの巻の構成はちょっとどうかと思う。ダンジョンの最奥で全滅しかけるも、主人公の活躍によって辛くも生き残った一行。だが、その代償は主人公の左足と右目だった。剣士としては致命的な大怪我を負わせたことにより、これまでの関わりで敷設されていた地雷が盛大に炸裂して、メンバー3人ともが三者三様に病んでしまうことから始まる物語。これは病むのも仕方ない。過去回想の形で、主人公とヒロインたちとがどのような関係を築いてきたかを懇切丁寧に 続きを読む…
ネタバレあり
製品情報
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レーベル
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発売日2024/08/30
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定価1430円(本体1300円+税)
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ISBN9784048113168
パートナーのおすすめレビュー(宣伝)
切なくて痛いのに読んでてなぜか気持ちよくなってしまう...!
異世界に転生した時から、理想の抜刀術を実現することを夢見ていたウォルカ。独学で抜刀術を極めようとした彼は、祖父の半ば虐待のような修行に耐え、ついに理想とする技を実現したのさ。それだけに、その技が永遠に失われてしまった絶望は計り知れないよね…。
その絶望はウォルカだけでなく、仲間たちをより強く蝕んでいくんだ。かつては、彼に純粋な好意やあこがれを向けていたヒロインたち。けれど「もしあの時、依頼を受けていなかったら」、「もし罠に引っかかっていなければ」って…。後悔と自責の念から、不自由になった彼をかいがいしく世話をするんだけど、時折フラッシュバックに襲われ、取り乱してしまうんだ。パーティ病み堕ちエンドを認めないと決意するウォルカだけど、仲間に重すぎる感情を向けられ、そのたびに胃が重くなってしまうんだよね…。
見ていられないと思いながら目が離せなくなる本作は、登場人物たちの激重感情が好きな人にはたまらないハズさ。
ヒロインが激重な感情を抱えてしまう「曇らせ」が好きな人にはたまらない一冊ッスよ!
ウォルカの魔法の師匠で「のじゃ」口調のロリ魔法使い・リゼルアルテは、高圧的な言動をしつつ、唯一の弟子であるウォルカを可愛がっていたッス。でも、彼が重傷を負ったことで、関係は一変。彼の一挙手一投足に過剰なまでに反応する極度の心配性になってしまうッス。「今度こそ絶対に守るから、見捨てないで」と泣きながらすがりついてくるリゼル。生意気だった師匠が曇っていく様子は見るに堪えないッス…。
パーティ最年少の少女剣士・ユリティアの絶望もまた深いんスよ。ユリティアは剣の才能がありすぎるゆえに、周囲から疎まれていたトラウマがあったッス。ウォルカと出会ってトラウマを克服し、剣の道に希望を見出したのに、ウォルカが二度と剣を振れなくなった絶望はあまりに大きすぎて…。気弱で優しかったユリティアが、思いつめるあまりにウォルカの邪魔になるものは、全て排除すると決意する様には、背筋が凍ったッス~!
他人には言えないけれど、実は「曇らせ」好きだったという人に、ぜひ届いてほしい一冊ッスね!