この不思議な空気は週クラでしか味わえない！「週に一度クラスメイトを買う話」【今読みたい!! 最新百合ラノベクロスレビュー①】

『週に一度クラスメイトを買う話～ふたりの時間、言い訳の五千円～』（著者：羽田宇佐／イラスト：Ｕ３５）

今、百合ラノベが熱い...!! 「百合ラノベ座談会」に参加していただいた、VTuberの湯町りこさん、ラノベブロガーの夏鎖さん、新人編集のことぶきさんに、今読みたい!! 大注目の最新百合ラノベ作品をレビューでご紹介してもらいました。思いの詰まったおすすめポイントを読んで、これは...！と思ったら試し読みしてみてくださいね。

湯町りこのレビュー

　宮城さんは１回五千円で仙台さんの放課後を買い、気まぐれに命令を言いつける。本来ならばクラスメイト以上の関係になることなんてないだろうスクールカーストの位置が違う二人は、宮城さんの家の中限定で、お金を介して繋がっている。
　お金を言い訳にした背徳的な時間を居心地よく感じている二人のやりとりが淡々と語られて、刺激的な行為の描写すらすうっと心に染み込むような気持ちいい読み心地。異常だけど、もう日常のひとつともいえる二人の放課後。それは、過激になっていく命令と共にドキドキを増すけれど、この本の世界に浸っていたくなるようなゆるやかな空気も併せ持っている。自分たちの関係に疑問を感じていくキャラクターたちの焦れったさも堪らなくて、ずっと楽しみたい。
　特殊な関係の、素直じゃない二人による、刺激と安心感。この不思議な空気はきっと週クラでしか味わえない。……というのは、１巻までを読んだ時の私の反応で。その後も物語はどんどん深みへと進んでいく。この焦れったい二人が、どうやって感情を高ぶらせ、関係を築いていくのか。お部屋の壁になって見守っていきたい。

夏鎖のレビュー

　週に一度五千円でクラスメイトを買う。衝撃的な関係性から始まる物語は野良猫同士のじゃれ合いのようにどこか過激で本音を見せない。だからこそ生まれる二人のもどかしい関係性がクセになる百合作品です。あることをきっかけに始まる宮城が週に一度五千円で仙台を買うという関係。仙台のことを買った宮城は宿題をやらせたり、えっちな漫画を朗読させたり、足を舐めさせたり……学校では会話もしない二人が五千円という金額が交わされる時だけは同じ時間を共有する。表面上は決して仲が良いようにも見えない二人ですが、根っこの部分ではお互いのことが気になっている/認め合っている関係性がクセになります。傷がつかない目立たない程度に傷つけあう。そんな二人の百合を心行くまで堪能できます。

ことぶきのレビュー

　歪だけど一緒にいたいそんな不思議な関係を観察するような作品。主人公は買われる側で二人でいる時の空気は基本ドライ。五千円で宿題を頼まれることもあれば、ドライなままちょっぴりえっちな命令もされて読者は思わず困惑するでしょう。だけどそんなヒロインの不器用アプローチに目が離せません。一体ヒロインはどういう気持ちであれこれ命令してくるのか、その裏側を推測しながら読んでみると一層楽しめるはずです。
　クラスメイトを五千円で買い付けるという方法こそ一般的ではないかもしれませんが、お互いを必要として求め合う関係性は正に百合。ラブ全開の甘い百合を読んできたから、ちょっと味変したいなぁという人にオススメ！

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