ブレーキが壊れて溺れていく過程は目が離せない...！「人妻教師が教え子の女子高生にドはまりする話」【今読みたい!! 最新百合ラノベクロスレビュー④】

『人妻教師が教え子の女子高生にドはまりする話』（著者：入間人間／イラスト：猫屋敷ぷしお）

今、百合ラノベが熱い...!! 「百合ラノベ座談会」に参加していただいた、VTuberの湯町りこさん、ラノベブロガーの夏鎖さん、新人編集のことぶきさんに、今読みたい!! 大注目の最新百合ラノベ作品をレビューでご紹介してもらいました。思いの詰まったおすすめポイントを読んで、これは...！と思ったら試し読みしてみてくださいね。

湯町りこのレビュー

　私は、人が何かにどハマりする前に見せる恐れが好きなのかもしれない。自分を引き摺り込んでいく大きな存在に抵抗する姿は、なんだか哀れで愛しい。自分がハマる側だったら、私の余裕の無さを楽しむ他人なんて趣味が悪いと思うけど、でもしょうがない。
　『人妻教師が教え子の女子高生にドはまりする話』の苺原樹先生から見える哀れさは、私の趣味の悪い欲を満たしてくれた。

　先生は既婚者で教師、相手の戸川凛さんは生徒で未成年。絶対に越えてはならないと誰にだって分かる関係だけど、先生は戸川さんにずぶずぶとハマってしまう。自分の立場も、教師としての責任感も分かっている。それでも戸川さんの魅力にあてられて、あれよあれよと深いところまで沈んでいくのだ。戸川さんと関わってもいい理由を見つけたり教師の立場上のふるまいを建前にしたりして、一応の抵抗をしながら、それが意味をなさないほど爆速で。
　戸川さんの明るさの裏に隠れた寂しさや甘えたい欲求は、真面目な先生にとっては、ハマらざるを得ない性質なんだろう。相性が良すぎるのか、逆に悪すぎるのか。戸川さんの魅力の前では、先生はか弱く小さいものに思えてくる。そんなどうしようもなさが巨大化していく様が、哀れで滑稽で愛しくて大好きだ。
　読み進めていくうち、もっとどうしようもなくなって欲しいと趣味の悪い期待が膨らんでいくが、『人妻教師が教え子の女子高生にドはまりする話』は、望んだ以上のもっとどうしようもないところまでちゃんと連れていってくれる。
　読み終えた時『人妻教師が教え子の女子高生にドはまりする話』に、ドはまりしている自分に気付くはず。

夏鎖のレビュー

　せんせぇと呼ばれる度に関係が変わっていく。いけないと思っていてももう引き返せない。そんな二人の関係の沼にハマっていく百合作品です。苺原樹は二十代後半の既婚の高校教師。そんな彼女がどこか幼くて樹よりも背が高い教え子の戸川凛に惹かれていく。最初は夜遊びをする凛を止めるためという理由で始まった二人の交流は、少しずつ身体の距離が縮まって、徐々に人から見えない場所へ落ちていく。結婚している、教師である、成人と未成年である。そうした樹の理性のブレーキが徐々に壊れて凛に溺れていく過程はいけないと思っていても目が離せません。2024年はこの作品を読まずに百合ラノベを語れません。

ことぶきのレビュー

　この背徳的恋愛、予測可能回避不可能！
　タイトル通りの関係性で、絶対に踏み込んではいけないと理解しつつ、つま先から頭へゆっくり確実に相手の沼に溺れていく過程が甘美。ｳﾜｰと何度も顔を抱えて悶えました。
　高身長歳下JKに振り回されるけど、ふとしたときに守りたくなる子どもの愛らしさを見せるギャップで心臓足りません。チャーミング過ぎて自分も同じ立場だったら逃げられないなと魅力・空恐ろしさを同時に感じました。
　ライトノベルではあるものの決してラブコメではなく、文章はしっとり美しくしたためられているので、細やかな恋愛感情に一喜一憂したい人にオススメ。恋愛という魔性に絡め取られる様をご覧あれ。この作品伝説になるのでは……？

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