1章:甘くて可愛い彼女ができました その5

「ぶっ…………!」

「ナツ君!?」

 夏彦、飲んでいたコーヒーを逆噴射。

「ゴホッ! ガハァァッ……! は、鼻にコーヒー入ったぁ……!」

 夏彦の一大事に、大慌てでティッシュを取り出した未仔は、「大丈夫?」と隣へと駆け寄る。さらには、夏彦の口をトントンと優しく拭ってもくれる。

 さらにはティッシュを持った自らの手を、夏彦の鼻へと添え、

「ほら、ちーんして?」

「あ、ありがとう……」

 未仔とのちーんプレイ。

 とてつもなく恥ずかしい夏彦は、鼻をかんだフリをして、初めての共同作業を手短に済ませることに成功。

 普段通りの夏彦ならば、「出会いのキッカケは、僕が鼻からコーヒーを噴出したことでした」くらいしょうもない思考を巡らせていただろう。

 しかし、脳内では未仔が先ほど発した言葉、『おっぱいが揉みたいの?』が無限ループされてしまう。着ボイスをリリースしてくんねーかなと考えてしまう。

 故に、夏彦の視線の行き先は……。

 YES。未仔ズおっぱい。

「……!」

 夏彦が目を見開くのも無理はない。

 薄々勘付いてはいた。けれど、恥ずかしさ故、気付かないフリをしていたのだ。

 未仔が中々に立派な胸の持主だということに。

 DかEくらいだろうか。下手をすればF?

 どこぞの関西女をしのぐ可能性大のハイスペック。年下、小柄な少女にもかかわらずだ。

 たわわなバストは、着用するニットセーターを押し広げるワガママっぷりで、破壊力たっぷり。夢と希望もたっぷり。

 夏彦は思う。「よくぞ、しばらく見ない間にココまで大きくなられて……」と。

 ハッ、と夏彦は我に返る。

 気付いてしまう。またしても同じことを繰り返していることに。

 一体、いつからバレていないと錯覚していた?

 そう。バレているのだ。立派な胸の持主には。

「……」

 夏彦は恐る恐る視線をゆっくりと上げていく。

 たわわなバスト、きやしやな肩、なだらかな首筋、小ぶりな唇や鼻、

 そして、しっかり見つめてくる未仔の瞳。

 はい。ガン見してたのバレてました。

 これが見ず知らずの女子のおっぱいならば、夏彦は侮蔑のまなしを向けられていたに違いない。

 しかし、相手は未仔。

 夏彦を愛してまない未仔なのだ。

「……ナ、ナツ君は揉んでみたいの?」

「…………。えっ!?」

 おっぱいモミモミする権利、再来?

 夏彦は考える。


 揉んでみたいの?


 そんなもん、揉んでみたいに決まっている。

 登山家がそこに山があったら登るように、男なら目の前に胸があれば揉みたい。

 男たるもの──いやおとこたるもの、ぱふぱふこそ至高。

 しかし夏彦は知っている。そんな簡単に胸は揉める代物ではないことを。

 それ故、「おっぱい揉んでいいので、私と付き合ってください」と未仔が告白してきた意味が理解できなかった。「何か裏があるのでは……?」と警戒さえしていた。

 カフェに入るまでは。

 未仔が心から自分を好きでいてくれていることに気付くまでは。

 恋愛経験の浅い夏彦には、未仔が自分を好きでいてくれる理由までは分からない。

 けれど、自分に向けられているものが、純粋な好意によるものか否かくらいは分かる。

 それくらい未仔の優しさには愛が感じられた。

 感じられたからこそ、

「も、揉みたい!」

 公衆の面前でもお構いなし。夏彦は未仔へと思いの丈をぶつける。

 はたから見ればセクハラ発言、未仔から見れば雄々しい発言。

 夏彦の口からハッキリと揉みたい発言を初めて聞いた未仔は、少々顔を赤らめつつ、1つ大きく深呼吸。

 そして、『いつでも大丈夫ですよ……?』とでも言わんばかりに、胸前で握っていた両拳をゆっくりと下ろしていく。

 最中だった。

「けど!」

「? けど?」

「それ以上に、未仔ちゃんを傷つけるようなことはしたくない!」

「!」

 そう。夏彦は人畜無害な男なのだ。

 ぐにピュアな男なのだ。

「そういう行為って、いきなりすることじゃないと思うんだ。……ゆ、ゆくゆくというか、互いの気持ちがたかぶった際にというか……」

 童貞は夢見がちなのだ。処女ちゆうなのだ。

 だが、それでいい。

 まだ見ぬ世界へ夢を見て何が悪い。

「それにさ。胸目当てで未仔ちゃんと恋人になったって思われたくないからさ」

「……。恋人に、なった? …………。! そ、それって、」

 ひたすらに見つめてくる未仔に、夏彦は恥ずかし気に笑いかける。

 さらには、隣に座る未仔へと向き直ると、深々と頭を下げる。

「こんな俺で良ければ、是非ともお付き合いしてください」

 夏彦。未仔へと告白返し。

 夏彦には、自分が愛されている理由は分からない。けれど、十二分に愛されていることは知っている。

 それで十分だと思った。理由はこれから教えてもらえばいいし、彼女に愛される以上に大切にしていきたいという気持ちも芽生えている。

「……ナツ君」

「うん?」

「大好きっ……!」

「…………。!!!??? みみみみみみ未仔ちゃん!?」

 顔を上げた夏彦が、面くらうのも無理はない。

 感極まった未仔が、自分の胸板へと飛びついてきたから。

 未仔の華奢な身体からだはとても温かく、ミルクブラウンな髪からは甘く華やかな香りが鼻孔をくすぐってくる。

 何よりもだ。

 おっぱい。

 おっぱいがこれでもかというくらい当たっている。

 揉まない発言のご褒美? 揉む必要がないほどに未仔の柔らかくて、むにゅんむにゅんしたマシュマロバストが夏彦を天国へといざなってしまう。全神経が胸板へと集中してしまう。

 付き合い始めて数秒。「もういつ死んでもいい……」と夏彦は幸せの渦へと身を委ねてしまう。


 おめでとう。夏彦に彼女ができました。

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