幕間1

 その後、チンピラたちは酒と食事を振る舞われるもノドを通らず、オーマに財布を返して畳に額を擦りつけ、ズボンを半分濡らしながら帰っていった。


 そして夜、オーマは自室で宿題をしていた。

「……ふぅ」

 が、半分ほど終わらせたところで集中力が切れてしまう。

 気分転換に酒でも呑むか……と思ったが、高校入学を期に禁酒していたことを思い出して手を止める。

 仕方なく彼は夜風に当たろうと、部屋の窓を開けて月を見上げた。

「ガクセーってのは思ったよか大変だな」

 しみじみとオーマは呟く。

 実際、毎日宿題はあるし、酒だって自由に呑めない生活というのはなかなか大変だ。

 それに彼が魔王なのも学校には秘密にしなければならなかった。

 あのチンピラたちにも秘密にしてくれるように頼んだ。

 帰り際の怯えきった様子からして、おそらく秘密を漏らすことはないだろう。

 とはいえ、このことは普段から気をつけなければならない。

 学生とは本当に堅苦しく、面倒の多いことだ。

 でもいいのだ。

 けれどこれは彼自身が望んだことだった。

 彼は月を見ながら、ほんの数ヶ月前の出来事を思い出す――

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