プロローグ 在りし日の記憶


『ねえかなめくん、女の子の下着に興味ってある?』

 それは夕暮れの、ぼくたち以外は誰も居ない公園での出来事だった。

 名前も知らない、歳も知らない、けれど最近よく遊んでもらっている黒髪のおねえちゃんからそう問われてぼくは戸惑った。

『え?』

『にひひ。下着だよ、下着。要くんは女の子の下着に興味ってある?』

 いたずらな笑みを浮かべながら、おねえちゃんが再び問いかけてきた。

『よ、よくわかんないよ……』

『そう? まあ要くんはまだ五歳くらいだっけ? なら、よく分からなくて当然だよね』

 納得したように言いながら、おねえちゃんはいたずらな笑みを深めていく。

『じゃあさ、お姉ちゃんが教えてあげよっか?』

『な、なにを……?』

『にひっ。女の子の下着に興味が持てるように、実物を見せてあげるっ』

 おねえちゃんはそう言ってブラウスをたくし上げると——こともあろうに胸元を見せつけてきたんだ。

『わっ、わっ……!』

 ぼくはなんだか混乱して、妙な気分になってしまう。

 ふんわりと柔らかそうな二つの膨らみを包むように、メロンとかスイカによくついているあの白いあみあみみたいなレースのブラジャーがあらわになっていた。

『にひひ。ほら、可愛いよね?』

 もっと見て、と言わんばかりにおねえちゃんが胸元を近付けてくる。

『や、やめてよ……』

『大丈夫だいじょーぶ。目を背けなくてもいいんだよ? 見ていいの。私がいいって言ってるんだから、見なきゃ損だよね』

 おねえちゃんがぼくを抱き寄せて、そのふわふわの胸元に顔をうずめさせてしまう。

『むぐ……!』

『どうかな? にひひ、女の子の下着は可愛いよね?』

 も、もう下着に感想を抱く次元の話じゃなくなってるよ……!

 ぼくはおねえちゃんのおっぱいにうもれている。

 おねえちゃんのおっぱいはとても柔らかい。

 落ち着く反面、なんだかおねえちゃんをどうにかしてしまいたい感情が湧き立ってくる。

 なんだろ、この感じ……。

『それはね、要くんが男の子だっていう証だよ? にひひ、私のおっぱい少しもみもみしちゃってるもんね。小さくても本能には逆らえないのかな? もぅ、要くんのえっち♪』

 からかうように呟いて、おねえちゃんはぼくを解放してくれた。たくし上げていたブラウスをササッと元に戻して、けれどいたずらな笑みは消していない。

『さてと、今日はこれまでかなぁ。それとも~、こっちも見たいかな?』

 おねえちゃんは短いスカートをたくし上げようとしていた。

 ぼくはごくりと喉を鳴らして、そこに目線を持っていってしまう。

『なぁに要くん、期待しちゃってるのかな?』

『——あ、えと……ちがくて……』

『にひっ。いいんだよ別に。要くんが見たいっていうなら、私頑張っちゃうし』

 ニヤニヤと笑いながら、おねえちゃんはスカートをたくし上げていく。

 その様子から目を逸らせそうになくて、思わず見続けてしまって、そして——

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