ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編 12

〇星之宮知恵の独白


 私にとってサエちゃんは親友だ。

 私にとって、サエちゃんはライバルだ。

 一見矛盾しているような話だけど、意外と成立はするものなの。

 それに2つの感情が並行しているのは、そんなに珍しいことじゃないと思う。

 こう見えても、私には結構友人がいる。

 小、中の頃の友達、高育、大学で出会った友達、社会人になってから知り合った友達。

 だけど本音で語り合える関係が続いているのはサエちゃんくらいなもの。

 向こうがどう思ってるかは分からないけどね。


 他の誰かに負けたとしても、サエちゃんにだけは負けられない。

 同じクラスで、Aクラスを目指して共に過ごした日々が私にそんな感情を植え付けた。

 元々サエちゃんは教師になりたかったわけじゃない。

 だけどあの日、Aクラスで卒業できないと理解させられた日、きっとサエちゃんは教師になってもう一度Aクラスを目指したいんだと分かった。

 だから私も教師を目指すことにした。

 正直、私のやりたかったこととは程遠い職業。

 毎日毎日、生意気な学生に舐められるし給料だってあまり期待できない。

 それでも私は教師になった。


 目的はただ1つ。


 サエちゃんの夢に、Aクラスで卒業する目標に、希望を持たせないため。


 だってそうでしょ?

 あの日私は、サエちゃんの下らない恋心のせいでAクラスでの卒業ができなかった。

 そうでなければ、教師になることもなく、もっと華やかな人生を送れていたはず。

 なのに、サエちゃんだけが教え子をAクラスで卒業させるって?

 それで自己満足、過去を清算するって?


 そんなの許せないじゃない。

 私は今も過去に囚われ続けているのに。


 だから私の目が届く限り、絶対に勝たせない。


 もし学年末特別試験で私のクラスが負けるようなことがあれば……。


 サエちゃんのクラスがAクラスになってしまったら───。


 最悪、どんな手を使ってでも阻止しなければならない。


 教師失格の烙印を押されたって構わない。


 教職を追われてもいい。


 道連れにしてでも、絶対に阻止するの。


 そう心に誓っている。


 間もなく始まる2年生学年末特別試験。


 今回の勝敗次第で、崖っぷちに追い込まれた私のクラスの行く末が決まる。


 私にとっても、生徒たちにとっても、絶対に負けられない重要な戦いが始まる。


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