【手紙】
「あのね……その笑わないで欲しいのだけど、実は私! あ、ああ──安藤くんと一緒にお昼ご飯を食べたいの!」
「え……朝倉さん」
「何かしら……」
(さぁ、心の準備はできているわ! どんな返答もバッチ来ーいよ!)
「何でそれを……本人じゃなくて、わたしに言うのかしら……?」
「だって、安藤くんを誘うのが恥ずかしいのよぉおおおおおおおおおお!
委員長、私の恋を応援してくれるって言ったでしょ!? ねぇ、お願い! 安藤くんをお昼に誘う方法を一緒に考えて!」
「あぁ……」
(なるほどね。どうして急に、朝倉さんに呼び出されたのか分かったわ)
「うーん、どうするもなにも……さっき、わたしに言ったセリフをそのまま
「そんな簡単に言えてたら、苦労しないわよぉぉおおおおおおおおお!」
「ハイ、ソウデスネ……」
(それさえ言えれば、簡単に終わる問題なのよ!)
「じゃあ……手紙にでも、書いて渡せば?」
「それよ! そうと決まれば次の授業が始まる前にチャチャッと手紙を書くわよ!」
「うん、そうね……じゃあ、わたしは授業が始まるから席に戻るわね」
(でも、
キーンコーンカーンコーン~♪
「ここ次のテストにそのまま出すぞー、少しでも点が欲しい
(安藤くん、今日こそは私と一緒にお昼休み、ラノベ話に花を咲かせてもらうわよ! 幸いなことに、私は安藤くんの真横の席だし……この手紙を渡すのも楽勝よ!)
「安藤くん……安藤くん……」
「え、朝倉さん?」
(……何だ? 授業中に朝倉さんが小声で話しかけてくるなんて珍しいな……)
「こ、これ……」
「これは……手紙?」
「そうよ」
(やった! 安藤くんが手紙を受け取ってくれたわ! これで──)
(何だろう? 朝倉さんから手紙が回って来たぞ……? 俺って『ぼっち』だから、手紙を回すのやったことないんだよなぁ……。とりあえず、前の奴に渡せばいいか)
(───って、ええええええええええええええええええええええ! あああ、安藤くん、何でもらった手紙を前の席の人に渡しちゃうのよ! もらった子も誰宛か分からなくて……どんどん他のクラスメイトに回してるうぅううううううう!?
や、
「………………」
(
一応、気になって様子は見ていたけど、朝倉さん手紙の表に『朝倉より』って書くから
「
『拝啓、安藤様。
突然のお手紙失礼します。
いつも私と
さてさて、実は本日からこの学校の食堂に春キャベツをふんだんに使用した新メニューが追加されるそうです。
もし、安藤様のご都合が付きましたら、この機会に私とご一緒にその新メニューを
良い返事を心よりお待ちしております。
朝倉』
「う~ん……」
(…………前半、ラブレターかと思ったわ)