2025年冬アニメ放送直前企画! 今冬キミラノがイチオシのTVアニメ『マジック・メイカー』原作者×アニメ監督スペシャル対談

TVアニメ『マジック・メイカー ~異世界魔法の作り方~』

2025年1月8日から放送開始となるTVアニメ『マジック・メイカー ~異世界魔法の作り方~』。いよいよ放送直前ということで、原作者の鏑木カヅキ先生、アニメ監督の古賀一臣さんによるスペシャル対談を敢行しました!

本作の見どころはもちろん、お二人のキャスト・主題歌に対する印象からアニメ監督が抱える現場での知られざる苦労、さらには作家がオリジナル作品を生み出すための手法まで……盛りだくさんの内容でお届けします!


マリー(CV:加隈亜衣)とシオン(CV:潘めぐみ)
マリー(CV:加隈亜衣)とシオン(CV:潘めぐみ)

──いよいよ2025年1月8日から放送開始となります。現在の率直なお気持ちをお教えください。

鏑木 最初に「アニメ化するよ」と連絡をいただいてから数年経ったので、ようやく放送される嬉しさでいっぱいです。それと同時に緊張も感じているので、とにかく皆さんに楽しんでいただければなと……!

古賀 『マジック・メイカー』は僕らが子どもの頃に観ていたジュブナイルのファンタジーの良さを詰め込んだ作品だと、僕は感じています。ぜひ当時そういったものを観ていたよという方はそのことを思い出しながら、観たことがないよという方は純粋に、それぞれ楽しんでいただければ幸いです。

──以前のインタビューで古賀監督は「作品の一番面白いポイントを分かっている人になる」ことを目指しているとおっしゃりました。放送直前となった今回、改めて本作の最も面白いポイントを教えてください。

古賀 シオンが魔法を作っていく過程を見る楽しさと、彼が魔法開発にかける情熱が一番面白いポイントだと感じています。近年、最強の主人公が無双していく展開の作品も多いですが、目標に向かってひた向きに頑張る主人公には絶対に燃えるじゃないですか。そんな王道のストーリーですから、そこをメインに据えてアニメを作っていこうと考えました。具体的には、魔法を「もう一人の主人公」と考えて、発動シーンの描写であったりシオンの研究描写であったりを緻密に描いていきました。

マリー(CV:加隈亜衣)とシオン(CV:潘めぐみ)

鏑木 『マジック・メイカー』はタイトル通り魔法を作ることがメインテーマですし、主人公のシオンにしても魔法を作りたい一心で突っ走っていきます。周囲のキャラクターを魅力的に描くことも重要ですが、まずはそこを楽しんでいただかねば! と思っていただけに、その意を汲んでくださりとてもありがたいです。

古賀 アニメ版だと、潘(めぐみ)さんのお芝居も相まって、シオンの一生懸命さがストレートに伝わってくるようになっています。そういった意味では、キャストさんにも助けられましたね。

──ちょうどキャストさんのお話が出ましたが、他の方についても伺いたいです。以前のインタビュー時には潘めぐみさんと加隈亜衣さんに対する印象を伺ったので、今回は他のキャストさんについて、お二人の印象はいかがですか?

古賀 ローズ役の雨宮(天)さんとは以前にもお仕事をご一緒させていただきましたが、演じるキャラクターの性格をかなり掘り下げた上でお芝居をしてくださる方なんです。今回は特にその辺りをしっかり作り込んでくださった印象がありますね。

シオンとローズ(CV:雨宮天)
シオンとローズ(CV:雨宮天)

鏑木 オーディションの時点ですでに雨宮さんはローズらしいお芝居をされていた覚えがあります。でも、実際に収録を重ねるごとに、ローズらしさがどんどん増していって……。これがプロなんだ! と一人で驚いていました。ローズの口調はいわゆるお嬢様言葉ですけど、決して弱々しくはなく、ちゃんと強い軸があるキャラクターとして描いていたのですが、まさにその通りに表現してくださっていましたね。

古賀 芹澤(優)さん演じるラフィーナは、とても元気でコミカルなキャラクターになっていましたよね。

ラフィーナ(CV:芹澤優)
ラフィーナ(CV:芹澤優)

鏑木 ラフィーナはお馬鹿で天然な場を明るくするキャラクターですけど、そこを見事に演じてくださいました。僕自身、ラフィーナは大好きなキャラだったので、芹澤さんがどう演じてくださるのか楽しみにしながら収録現場に立ち会わせていただいたんですよ。そうしたら、予想以上にラフィーナでした(笑)。あと、収録現場で驚いたという意味だと、ブリジット役の古賀(葵)さんもですね。普段はボソボソと喋るけど、魔法のことを考えるとテンションが上がるブリジットの緩急を見事に付けてくださいました。

ブリジット(CV:古賀葵)
ブリジット(CV:古賀葵)

古賀 古賀さんのお芝居がブリジットのギャップを引き出してくださいましたよね。かわいいでいえば、個人的にはコールもヒロイン枠だと思っているんですよ(笑)。ちょっとツンデレな一面も抱えていますから。

鏑木 恋愛対象ではありませんけど、ヒロイン枠だと感じられたことは理解できます(笑)。原作でもシオンがコールのことを「いいやつだ」と評するシーンもあるくらいですからね。コールは一見当たりが強いように見えますが実は優しい男の子なんです。そのあたりを宮瀬(尚也)さんには上手く演じていただきました。

コール(CV:宮瀬尚也)
コール(CV:宮瀬尚也)

──オープニング主題歌とエンディング主題歌も発表されていますが、こちらに対する印象も伺いたいです。まず、オープニング主題歌はXIIXさんの「煌めき」。オープニングアニメーションの絵コンテ・演出は古賀監督が担当されています。

古賀 楽曲がとてもゆっくりとしたテンポでしたし、アウトロが長いことがまず印象に残りました。そこから逆算して、作品の雰囲気と詩に合わせた映像として構成していきましたが……鏑木先生はいかがでしたか?

鏑木 『マジック・メイカー』の物語性やキャラクターの立ち位置をこれでもかと詰め込んでくださった映像になっていてとても嬉しいです。曲自体、シオンが歩む道の先に何かがあることを予感させるワクワクした曲調になっているので、オープニング主題歌を聴くと必ずこれから放送されるエピソードが楽しみになるんじゃないかなと思いました。

──対してハンブレッダーズさんによるエンディング主題歌「夜明けの歌」はいかがでしたか? エンディングアニメーションのコンテ・演出は中澤勇一さんが担当されています。

古賀 中澤さんは本編のコンテも担当してくださっていたので、キャラクター感を完全に把握されていたんですよ。なので、僕からはしっかりと余韻に浸れることと家族愛にフォーカスしてほしいことだけお願いしましたが、流石でしたね。

鏑木 『マジック・メイカー』のエンディングにはこれしかあり得ない! といえるほど、余韻もバッチリですし、一日の締めにはピッタリですね。これを観たら思わず布団に入りたくなるような映像と楽曲でした。僕も繰り返し聴いています。

──最後に今だからこそお互いに聞いておきたいことはありますか?

鏑木 『マジック・メイカー』のアニメを制作するにあたって、最も大変だったことを古賀監督に伺いたいです。僕はあくまで原作者なので、制作現場のことが全く分からないんですよね。監修依頼が来るときには、コンテにしろ、映像にしろ、ほとんど出来上がった状態になっているので、その途中の段階でどんなことが大変だったのか知りたくて。

古賀 なるほど……。これは本作に限らないんですけど、アニメ制作は集団作業なので、僕が10思っていることも、10のままスタッフに伝わらないんですよ。「原作のここが面白いんです!」と熱く語っても、演出さん、アニメーターさんと伝言していくうちに変容していくことがよくあるんです。なので、一番大変なところはコンテやシナリオの段階でその面白さをどれだけ詰め込められるかということですね。何が面白いのか、『マジック・メイカー』において僕が重要視しているのはなんなのか、分かりやすく言語化することに苦慮しましたね。つまりはコミュニケーションです(笑)。

──古賀監督が鏑木先生にお聞きしたいことはなんですか?

古賀 自分は原作があるアニメに携わることが多いんです。僕は、オリジナル作品が0から1を作ることに対して、原作があるものは1を5や10にしていく作業だと捉えています。その上で0から1を生み出すことはとても大変だなと感じているんですが……。そんな0から1を生み出す作業を鏑木先生はどのようにやっているのか、今後オリジナル作品に携わるときの参考として伺いたいです。

鏑木 僕は特殊ケースだと思うので、あまり参考にならないかもしれませんけど(笑)。物心ついたときから、ほぼ毎日欠かさず寝る前に考える時間を取っているんですよ。もし自分がスーパーマンのような力を手に入れたらどうなるだろう、みたいな妄想から、このアニメの設定をより面白くするならどうするべきか、みたいな創作の種まで、いろんなことに思考を張り巡らせる時間を一時間くらい確保しているんですね。その中で面白そうなネタがあったら、メモを残すようにしています。そのメモも『マジック・メイカー』のネタ元になっているんですよ。

古賀 さすがシオンの生みの親ですよね。やっていることが凄まじすぎる……。

鏑木 同じことを話したら、担当編集さんにも驚かれました(笑)。今振り返ると、毎日こんなことをしていたからこそ、作家になれたのかなと思っています。

古賀 まさにシオンが魔法を開発するためにしている努力と同じですよね。ここまでしないとオリジナルは作れないのか……!

──古賀監督がいつかオリジナル作品を手掛ける日も楽しみにしています(笑)。本日はありがとうございました。

取材・文:太田祥暉

鏑木カヅキプロフィール

山口県出身。2015年より「小説家になろう」にて作品の投稿を開始し、2017年に『アンリミテッド・レベル』が書籍化、プロデビューを果たす。2020年には『マジック・メイカー -異世界魔法の作り方-』がMFブックスより刊行、コミカライズ・アニメ化されるヒット作となった。趣味はゲーム、筋トレ、旅行。

古賀一臣プロフィール

2007年に「ポケットモンスター ダイヤモンド&パール」で演出家デビュー。2015年には「雨色ココア Rainy colorへようこそ!」でテレビシリーズ初監督を務める。その後の主な監督作に「彼女、お借りします」「出来損ないと呼ばれた元英雄は、実家から追放されたので好き勝手生きることにした」「魔王様、リトライ!R」など。

アニメ情報(2025年1月8日TV放送開始)

TVアニメ『マジック・メイカー ~異世界魔法の作り方~』

イントロダクション

リスティア国の片田舎の領地を治める下級貴族、オーンスタイン家。そこには、二人の姉弟がいた。
姉のマリーは、父から剣術の稽古を受けるのが大好きな活発な女の子。
弟のシオンは、部屋に籠もって本を読むのが大好きな内気な男の子。
性格は正反対の二人だが、優しい両親に見守られながら、仲睦まじく暮らしていた。

そんなある日、シオンは『まほう』というものがこの世界に存在するか、父に尋ねる。
しかし、貴族としてそれなりの教養がある父でも、『まほう』という言葉自体を知らなかった。
ましてや、シオンが言う「火とか水とか風とか光とか、何もないところからいろんなものを出したりする」現象など、この世には存在するはずもなく……。

その日から、シオンは目に見えて落ち込んでしまう。
シオンを励ましたいと、幼馴染みで農家の娘のローズに話すマリー。
すると、湖で不思議な現象を目の当たりにして──

この異世界、魔法がない!?
そんな世界に転生した主人公の少年シオンが紡いでいく、
ロマン求める魔法開発ファンタジースタート。

キャスト

シオン:潘めぐみ
マリー:加隈亜衣
ローズ:雨宮天
ラフィーナ:芹澤優
ブリジット:古賀葵
コール:宮瀬尚也
ガウェイン:宮本充
エマ:豊口めぐみ
グラスト:赤坂征之

スタッフ

原作:鏑木カヅキ「マジック・メイカー -異世界魔法の作り方-」(MFブックス)
キャラクター原案:転
監督:古賀一臣
オープニング主題歌:XIIX「煌めき」
エンディング主題歌:ハンブレッダーズ「夜明けの歌」
アニメーション制作:スタジオディーン

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    マジック・メイカー 異世界魔法の作り方 1

    著者: 鏑木カヅキ   イラスト: 転

    魔法がないなら作るまで。目指すは異世界魔法のパイオニア!!

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    絶望するシオンだったが、ある日姉のマリーと訪れた湖で彼は“まるで魔法のような”不可思議な現象を目撃して――。
    「諦めるにはまだ早い。魔法がないなら、自分で作ればいい!」
    シオンは魔法の研究を始め、周囲を巻き込みながら着実に前進していく。飛び出す炎、走る稲妻――すべては前世からの夢である『魔法』を使うために!
    目指すは異世界魔法のパイオニア!? 浪漫を求めて、少年は異世界を生きる!

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    シオンは医師見習い、魔物学者、護衛騎士の三人と協力し、魔力を使った治療法の研究を進めることになるが――。
    「みんな心配しないで。安心して。僕が姉さんを救うから」
    見えない魔物、謎の病――変わりゆく世界でシオンは『魔法』で大切な人を守れるか。激動の第二弾、開幕!

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    マジック・メイカー 異世界魔法の作り方 3

    著者: 鏑木カヅキ   イラスト: 転

    シオンの魔力は、王国の希望の光となるか――!?

    魔法がない世界で、一から魔法を生み出すことに成功したシオン。彼は世界を襲った『怠惰病』蔓延の災厄に対しても、魔力を使い治療法を確立したのだった。
    その功績をもって王都に招聘されたシオンは、女王ラクシュアに治療法を候補者へ教え広めるよう命じられる。しかし、選ばれた候補者は周辺各国から集められた貴族階級の若者ばかり。平民出自のシオンにとって、身分や文化に差がある候補者たちの教師役を務めるのは簡単なことではなく……。『魔力』という聞いたこともない力を懐疑的な彼らに、シオンが最初に教えるのは――!?
    「皆さん――これが魔力です」
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