そもそも異世界の魔法ってどうやって生まれたんだろう……?「マジック・メイカー」原作者インタビュー【TVアニメ放送決定記念企画第1弾】

「マジック・メイカー」小説1巻

2025年のTVアニメ放送が決定している「マジック・メイカー -異世界魔法の作り方-」はちょっと風変わりなファンタジーだ。魔法好きの男が転生したのはその概念すら存在しない世界。大好きな魔法がないなんてがっかり……なんだけど、「ないならないで自分で作ってしまえ」と一念発起し、転生前の知識を武器に魔法開発に情熱を注いでいくというお話だ。

そんな「マジック・メイカー」の魅力を深掘りすべく、メインスタッフ&キャストにインタビューを敢行! 1回目となる今回は、物語の生みの親である原作者・鏑木カヅキ先生に作品執筆の経緯や、アニメへの想い入れをうかがった。

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『マジック・メイカー』小説1巻口絵より

──鏑木先生が「小説家になろう」へ投稿されるようになった経緯をお教えください。そもそもライトノベルがお好きだったんですか?

中高生時代には『スレイヤーズ』や『魔術士オーフェン』などを読んでいたんですが、その後しばらくは離れていましたね。でも、社会人になってからたまたま「小説家になろう」の存在を知って。当時はまだ異世界ものが流行る以前だったんですけど、読み始めたら面白かったんです。最初は読み専だったんですが、あるとき自分も投稿してみようと思って書き始めました。

──「マジック・メイカー」の着想はどのように得られましたか?

さまざまな異世界転生ものを読んでいて、魔法や魔術が当たり前に使われているけれど、誰か最初に発明した人がいるのでは? とふと思ったんです。当たり前すぎてテンプレートのように僕たちは書いていますけど、魔法の起源に着目した作品はあまりないですよね。そこに子どもの頃、誰しも一度は思ったであろう「ヒーローや魔法少女が放つような必殺技が実現できたら」というワクワク感を加えたら……という思いつきが、本作を書き始めるきっかけでした。

──主人公のシオンは現代日本で暮らしていた青年が転生した姿なので、純粋に精神年齢だけを鑑みれば相当大人びているはず。でも、魔法に対しての情熱が無邪気なところも、本作の特徴ですよね。

あまり達観しすぎていると、魔法を開発する様子が楽しくないですからね(苦笑)。という冗談はさておき、シオンの前世は魔法に憧れを抱き続けていましたから、彼は30歳(転生後の時間経過を含めるとさらに+10歳)になっても純粋なんですよ。そんな純粋な主人公が家族とともに魔法の開発を始めていく。最初は家族も奇怪な目でそれを見ているけれど、徐々に手伝ってくれるようになるという温かみのある展開を描きたかったんです。

『マジック・メイカー』小説1巻口絵より

──今お話にも出ましたが、本作のもう一つの特徴として「家族」がよく描かれています。それはなぜですか?

何か新しいものを生み出すとき、今回の場合は魔法ですが、そのきっかけはたとえば何か大きな事件があったから……などではなく、実は日常の何気ないことから気づきを得て生まれるものなのではと思ったんです。ならば家族と過ごす日常のなかから魔法が生まれるようにしようと考えました。だから物語冒頭で魔力の概念を発見したのも、姉マリーとの何気ない行動の結果……というふうにしたんです。

『マジック・メイカー』小説1巻挿絵より

──鏑木先生が本作を書かれるとき、特に意識していることは何ですか?

地の文を多くすることですかね。ライトノベルというとセリフが多い印象を持たれる方も多いと思うんですけど、この作品は魔法の開発過程を描いているので、ちゃんと説明をしないと成功したときの喜びが減ってしまうんですよ。なので、読者も一緒に実験をしているような感覚を味わってもらいたくて、過程を省略せずに描くようにしています。

『マジック・メイカー』小説1巻挿絵より

──その過程もじっくりと、今回のアニメでは描かれるわけですね。

古賀(一臣)監督は本作の作品性を理解してくださっているなと全幅の信頼を置いています。実は監督の発案で第1話の展開は原作と少し異なっているんです。どう変わっているかはここでは言えませんが、原作者としても納得感しかない展開です。そんな監督が手掛けられた作品ですので、原作読者の方も楽しめるアニメになっているはずです。

──原作者として、完成した映像をご覧になってどのように感じられましたか?

キャラクターの実在感が増しました。特にシオンとマリーは声が付いたことで新たな魅力に気付けましたね。感情豊かにシオンが実験を楽しんでいる様子や、剣術を頑張って弟を守ろうとするマリーの健気さが潘(めぐみ)さんと加隈(亜衣)さんの演技によって強調された気がします。先ほど過程を省略せずに描くとお話ししましたけど、アニメ版ではとても分かりやすく実験の様子が描かれていて。そこもアニメならではの魅力ですね。

──ますますアニメの放送が楽しみです!

老若男女楽しめる作品になっていると思うので、ぜひご覧いただけると嬉しいです。年内には原作小説第3巻も刊行されるので、こちらも併せてチェックしてください!

取材・文:太田祥暉

鏑木カヅキプロフィール

山口県出身。2015年より「小説家になろう」にて作品の投稿を開始し、2017年に『アンリミテッド・レベル』が書籍化、プロデビューを果たす。2020年には『マジック・メイカー -異世界魔法の作り方-』がMFブックスより刊行、コミカライズ・アニメ化されるヒット作となった。趣味はゲーム、筋トレ、旅行。

アニメ情報(2025年TV放送開始予定)

「マジック・メイカー」ティザー画像

イントロダクション

リスティア国の片田舎の領地を治める下級貴族、オーンスタイン家。そこには、二人の姉弟がいた。
姉のマリーは、父から剣術の稽古を受けるのが大好きな活発な女の子。
弟のシオンは、部屋に籠もって本を読むのが大好きな内気な男の子。
性格は正反対の二人だが、優しい両親に見守られながら、仲睦まじく暮らしていた。

そんなある日、シオンは『まほう』というものがこの世界に存在するか、父に尋ねる。
しかし、貴族としてそれなりの教養がある父でも、『まほう』という言葉自体を知らなかった。
ましてや、シオンが言う「火とか水とか風とか光とか、何もないところからいろんなものを出したりする」現象など、この世には存在するはずもなく……。

その日から、シオンは目に見えて落ち込んでしまう。
シオンを励ましたいと、幼馴染みで農家の娘のローズに話すマリー。
すると、湖で不思議な現象を目の当たりにして――

この異世界、魔法がない!?
そんな世界に転生した主人公の少年シオンが紡いでいく、
ロマン求める魔法開発ファンタジースタート。

キャスト

シオン:潘めぐみ
マリー:加隈亜衣

スタッフ

原作:鏑木カヅキ「マジック・メイカー -異世界魔法の作り方-」(MFブックス)
キャラクター原案:転
監督:古賀一臣
アニメーション制作:スタジオディーン

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    マジック・メイカー 異世界魔法の作り方 1

    著者: 鏑木カヅキ   イラスト: 転

    魔法がないなら作るまで。目指すは異世界魔法のパイオニア!!

    魔法への憧れを抱いたまま死んだ男は、気づくと異世界でシオンという名の赤ん坊に生まれ変わっていた。異世界ならば魔法が使えるかもしれないと期待に胸膨らませつつ成長した彼は、期待に反してその世界には魔法が存在しないと知る。
    絶望するシオンだったが、ある日姉のマリーと訪れた湖で彼は“まるで魔法のような”不可思議な現象を目撃して――。
    「諦めるにはまだ早い。魔法がないなら、自分で作ればいい!」
    シオンは魔法の研究を始め、周囲を巻き込みながら着実に前進していく。飛び出す炎、走る稲妻――すべては前世からの夢である『魔法』を使うために!
    目指すは異世界魔法のパイオニア!? 浪漫を求めて、少年は異世界を生きる!

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    著者: 鏑木カヅキ   イラスト: 転

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    シオンは医師見習い、魔物学者、護衛騎士の三人と協力し、魔力を使った治療法の研究を進めることになるが――。
    「みんな心配しないで。安心して。僕が姉さんを救うから」
    見えない魔物、謎の病――変わりゆく世界でシオンは『魔法』で大切な人を守れるか。激動の第二弾、開幕!

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