魔法のない異世界で魔法を一から作り出す少年の姿を描いたジュブナイルファンタジー「マジック・メイカー -異世界魔法の作り方-」が遂にアニメ化! 前世からの衝動のまま魔法の開発に励む少年・シオンの様子を温かく描く本作は、MFブックスから刊行されている鏑木カヅキ先生の小説が原作だ。
そんな原作をどのような指針で映像に翻案していったのか? 「マジック・メイカー」の魅力を深掘りするインタビュー第2弾となる今回は、アニメ化のキーマンである古賀一臣監督にインタビュー。「彼女、お借りします」などヒット作を次々と手掛ける古賀監督が本作に対して抱いた想いとは?
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──古賀監督はこれまでラブコメや異世界もの、子ども向けなど、様々なジャンルの作品を手掛けられています。作品ごとに制作の指針は異なると思いますが、必ず考えられていることはあるのでしょうか。
原作ものであれば、その作品を一番面白いと思っている人、一番面白いポイントを分かっている人になることです。「マジック・メイカー」もお話をいただいてから原作小説を読んだのですが、今回も例に違わず、作品を読み込みながら、一番作品を面白いと思っている人間として、その魅力をどうアニメにしていくのか考えていきました。
──「マジック・メイカー」の第一印象はいかがでしたか?
異世界転生ものというと”俺TUEEE”展開が多い印象があるのですが、この作品は戦うことが目的ではなくて、主人公の興味があるものを探求していくという切り口ですよね。そこがとても新鮮で面白かったです。シオンが前世でできなかったことに今世では全力を尽くしていく……。その成長具合にフォーカスできれば、面白い作品になると感じていました。
──ファンタジーものとなると、現実世界を舞台とした作品よりも説明しなくてはいけない描写が増えてしまいます。古賀監督は、その制約の上で「見やすい作品」を作るためにはどうするべきだとお考えですか?
まず、コンテと編集作業でテンポの良いものを作ることです。キャラクターの掛け合いを大事にして、お話が流れるように展開されていくように気をつけています。また、シオンは現世で30歳だった男が転生した姿ですけど、主題は魔法を純真無垢な心で開発していくこと。なので、転生後の姿でも30歳だった彼の精神性が反映されていると少しノイズになってしまいますから、少年が無邪気に様々なアイテムをクラフトしていく「Dr.STONE」のようなジュブナイル感でまとめていくと、見やすくなるかなとも考えていましたね。
──本作の特殊性として、魔法がまだ見ぬ存在として描かれることが挙げられます。
そうなんです。ある意味、魔法は本作の主人公とも呼べるわけです。なので、旧知の仲でもあり、アニメ「この素晴らしい世界に祝福を!」で爆裂魔法を手掛けていた小澤和則さんをお呼びして、これまで誰も見たことのないシルエットの魔法を描いていただきました。すでに発表されているPVでもその一端が観られますが、ぜひその描写も楽しみにしていただきたいですね。
──シリーズ構成の大知慶一郎さんとはどのようにストーリーラインを決められましたか?
本作はアニメ化企画時点で第2巻までしか刊行されていなかったわけですが、お話にもひと段落が付いていることもあって、あまり悩まずに大知さんと流れを決められたように思います。特に第1話は個人的な思惑もあってストーリーを原作小説から変えたのですが、そこも大知さんにしっかり受け止めていただきました。
──その理由を具体的に伺ってもいいですか?
現在のテレビアニメは1クールに十数本、異世界ものが放送されています。なので、普通に死にました、転生しました、という流れを描いても続きを観たいと思ってもらえません。なので、初めて「マジック・メイカー」をご覧になる方に興味を抱いていただけるように、フックを作ろうと思った結果、第1話はオリジナル展開で始まることになりました。原作者の鏑木さんにもご快諾いただき、とても感謝しています。おそらく原作読者の方も楽しめる展開になっているはずです!
──ますます放送が楽しみです!
今をときめく潘めぐみさんが第1話では半分以上喋っているところも一つの魅力ですが(笑)、純粋に先の展開が気になる物語に仕上がったと思います。まずはキャラクターの可愛さから入っていただいて、ぜひシオンと一緒に童心に帰って、魔法の開発過程を楽しんでいただければ嬉しいです。
取材・文:太田祥暉
古賀一臣プロフィール
2007年に「ポケットモンスター ダイヤモンド&パール」で演出家デビュー。2015年には「雨色ココア Rainy colorへようこそ!」でテレビシリーズ初監督を務める。その後の主な監督作に「彼女、お借りします」「出来損ないと呼ばれた元英雄は、実家から追放されたので好き勝手生きることにした」「魔王様、リトライ!R」など。
アニメ情報(2025年TV放送開始予定)
イントロダクション
リスティア国の片田舎の領地を治める下級貴族、オーンスタイン家。そこには、二人の姉弟がいた。
姉のマリーは、父から剣術の稽古を受けるのが大好きな活発な女の子。
弟のシオンは、部屋に籠もって本を読むのが大好きな内気な男の子。
性格は正反対の二人だが、優しい両親に見守られながら、仲睦まじく暮らしていた。
そんなある日、シオンは『まほう』というものがこの世界に存在するか、父に尋ねる。
しかし、貴族としてそれなりの教養がある父でも、『まほう』という言葉自体を知らなかった。
ましてや、シオンが言う「火とか水とか風とか光とか、何もないところからいろんなものを出したりする」現象など、この世には存在するはずもなく……。
その日から、シオンは目に見えて落ち込んでしまう。
シオンを励ましたいと、幼馴染みで農家の娘のローズに話すマリー。
すると、湖で不思議な現象を目の当たりにして――
この異世界、魔法がない!?
そんな世界に転生した主人公の少年シオンが紡いでいく、
ロマン求める魔法開発ファンタジースタート。
キャスト
シオン:潘めぐみ
マリー:加隈亜衣
スタッフ
原作:鏑木カヅキ「マジック・メイカー -異世界魔法の作り方-」(MFブックス)
キャラクター原案:転
監督:古賀一臣
アニメーション制作:スタジオディーン
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マジック・メイカー 異世界魔法の作り方 1
著者: 鏑木カヅキ イラスト: 転
魔法がないなら作るまで。目指すは異世界魔法のパイオニア!!
魔法への憧れを抱いたまま死んだ男は、気づくと異世界でシオンという名の赤ん坊に生まれ変わっていた。異世界ならば魔法が使えるかもしれないと期待に胸膨らませつつ成長した彼は、期待に反してその世界には魔法が存在しないと知る。
絶望するシオンだったが、ある日姉のマリーと訪れた湖で彼は“まるで魔法のような”不可思議な現象を目撃して――。
「諦めるにはまだ早い。魔法がないなら、自分で作ればいい!」
シオンは魔法の研究を始め、周囲を巻き込みながら着実に前進していく。飛び出す炎、走る稲妻――すべては前世からの夢である『魔法』を使うために!
目指すは異世界魔法のパイオニア!? 浪漫を求めて、少年は異世界を生きる! -
マジック・メイカー 異世界魔法の作り方 2
著者: 鏑木カヅキ イラスト: 転
見えない魔物、謎の病――「魔法」の力で大切な人を守れるか!?
魔法のない異世界に転生したシオン。彼は魔法を現実のものとするべく研究を続け、その成長の中で様々な魔法を生み出すことに成功した。
ある日、姉のマリーが王国各地で流行する謎の病『怠惰病』によって倒れてしまう。原因不明の病で治療法も確立されておらず、憔悴するシオン。だが彼はマリーの様子を見て、『魔力』と『怠惰病』には関連があるのではと気づく。
シオンは医師見習い、魔物学者、護衛騎士の三人と協力し、魔力を使った治療法の研究を進めることになるが――。
「みんな心配しないで。安心して。僕が姉さんを救うから」
見えない魔物、謎の病――変わりゆく世界でシオンは『魔法』で大切な人を守れるか。激動の第二弾、開幕!