第1章 その1
「レベッカさん──残念ですが、能力値も
今日もなわけ……。
あれだけ、
これで、もうかれこれ半年近くは
……心配そうに、担当の少女が見つめてくる。
良い子なのだろう。仕事熱心で冒険者
……あまり
「ありがとう。何か良い依頼があったら教えて」
私は形式的な礼を述べる。
「はい。あの、レベッカさん……あまり気になさらない方が良いですよ? その
「っ!!」
歯を食い
気にするわよ! 当たり前でしょう!?
……私は強く、強くならなきゃいけないのだ。二度と会いたくないあの男よりも。
この世界を一人きりで生きていく
二年前、私の父親だった男に告げられた、冷たい言葉が
『レベッカ、お前の
ふっ、と息を吐き、心を落ち着かせる。
……
「レベッカ……さん?」
「え? あ…………大丈夫。気にしてないわ。私はまだ十五歳だしね」
「そ、そうですよ。はい、今日の買取り金です。少しおまけしておきました」
「助かるわ」
「あ、はい。その、レベッカさん」
「……何? まだ、何か用があるの??」
少女が茶色の
「前々から
「…………最初に言ったわよね? 忘れたの? 私は、ずっと一人でやるって。それが
「……はい。で、ですが!」
「それじゃね」
「レ、レベッカさん!」
少女の呼びかけを無視し、私はギルドの外へ。
……分かっている。ソロが危険なのは。
冒険者ギルドはしっかりとした組織で、出来る限り冒険者となった人間を守りつつ、育てていくのを指針としている。
私が知っている公的機関の中では、最もまともで
けど──無理なのだ。
他者に命を預けられる程、私は人を信じることが出来ない。
……血の
*
ベッドに
──伸び
そう、自覚したのはいつだったろう。
二回り以上歳が
冒険者になったのは、生きていく為にはお金が必要だったのと、自衛の力を得る為で、特段思い入れはなかった。
だけど──全てが自己責任なこの業界は、私の
幸い剣も魔法もそれなりに使えたから、階位もドンドン上がっていき、順調そのものだった。『天才レベッカ』なんて、言われもした。
……少なくとも半年前までは。
私の今の冒険者階位は第八階位。正しく
一流とは言い切れず、かといって二流でもなく、新米の時期は過ぎた──そんな、
これで私がパーティを組んでいたのなら、第八階位というのは中々の水準で、十分戦力として期待されていただろう。
けれど私は……単独行動を好む、ギルドが言うところの『ソロ』だ。
冒険者になった当初は、五~八人程度の冒険者で『パーティ』を組み、大規模
それは私が王国出身だから──ではないと思う。
帝国は世界一の国力を持つ超大国。
移民にも
つまるところ、私自身の問題なのだ。
私は……政略結婚の件以来、他人を心からは信じられなくなっている。
一番仲が良かった妹ですら父親達の味方をした。どうして、他人が信じられるだろう?
誰かと組む気がない以上、私は独りで強くなるしかない。
──なのに、この半年間全く階位が上がっていないのだ。
まさか、私の限界って、ここまでなの……?
ぎゅっと、目を
(……何で、なんだろう?)
自分よりも強い元冒険者に教えを
階位に合った
だけど、数値は上がらない。
実戦経験という、見えない部分は成長しているだろうけど、やはり数字も少しずつで良いから上がってほしい。
……ギルドに設置された
とにかく、少しでもいいから上がってほしい。じゃないと──不安になる。
実家に
(私はもっと強くならなきゃ。そうでないと何時か連れ戻されて……)
……ダメだ。
今日の夕食は外で
私は所々傷んでいる髪を