第二章 第三話
「……というわけなんです、東雲様。どうしたらいいのか混乱してしまって」
緋蝶は小さな畳の間で、東雲と向き合っていた。東雲が大内裏にある一室を苑紫から借りてくれたのだ。ひとまず頭を整理する為にも、東雲に御簾の中であった事を話していた。
「信じられない話ですね。でも苑紫は
それは認めなくてはならないだろう。頷くと、東雲が
「緋蝶はどうしたいんですか?」
「いくら教えを
その思いは強いが、山吹の言葉が頭から
「ですが主上が、新たな雫花帝を擁立できなければ、竜神様はこの国を去ると仰っていると言われていました。そうなったら、国は滅んでしまうとも……」
それに……と心の中で
「
東雲が口元に手を当てた。
「竜神様はやると言ったら、本当にやる方だと聞きました。このまま帰ったら、本当に緋蝶の命はないでしょうし、紗和国に雨を降らせてはくださらないでしょう。しかし竜神様は約束を守る方でもあると聞いてもいます」
その言葉が背中を押したように感じた。自分に何ができるのか、それはわからない。
「わたし……花賢師様達に雫花帝になる為の教えを授けてもらおうと思います。どれだけの事ができるのかわかりませんが、精いっぱい努力するつもりです。協力してくださいますか?」
決意して声を上げると、東雲が
「あなたを雫花帝として育てる為に竜神様に選ばれました。最善の努力をすると