【大増量試し読み】お姉さん先生は男子高生に餌づけしたい。1巻

保健室のミューズ 7

 カポーンというのは風呂桶の音だと思うが、それ以外にも何かが倒れるような音がした。俺は右足に重心をかけないようにして、病院で借りた松葉杖を使い、できるだけ急いで浴室に向かう。

「杜山先生、今何かすごい音が……先生?」

 脱衣所の外から呼んでみても返事がない。俺は入っていいものかと迷うが、何か大変なことになっている気がして中に踏み込む。

 浴室に続くドアはすりガラスになっている。棚に置かれている服を見て、俺は瞬時に目を逸らす――大きすぎるカップのブラと、先生の服が畳まれて置かれている。

 普段の先生ならきっちりとしていそうだが、脱いだタイツが丸まったままになっている――と、何だかんだと言って見てしまっては言い訳が立たない。

 それよりも、先生だ。返事をしてくれれば問題ない、このまま撤退するだけだ。

「杜山先生、大丈夫ですか?」

「うぅ~ん……」

「っ……せ、先生、どうしたんですか!?」

 次に呼びかけても返事がない――しかし、浴室からはシャワーの音が聞こえてくる。

「先生っ……!?」

「……う~ん……」

 浴室は湯気で満たされていて、初めは中の様子が良く分からなかった――しかし扉を開けたことで湯気が薄れて、広い浴室の床に倒れている先生が目に入る。

「先生、大丈夫ですか!? 先生っ!」

 なりふり構っていられずに、先生を抱き起こす。先生は熱に浮かされたような状態で、意識が朦朧としているようだった。

 湯船に浸かるときは髪を上げていたのか、タオルで髪をまとめている。首筋に濡れて貼り付いている髪が、余りにも艶やかに映る。

「んっ……んん……ごめんなさい……私、もう……」

「先生、大丈夫です! 俺が必ず助けて……」

「……もう……のぼせちゃって……」

「……え?」

 湯気は濃いが、出しっぱなしのシャワーの温度はぬるい。

 俺は先生を一旦床に寝かせて、湯船に手を入れてみた。大理石でできている広い浴槽に張られているお湯は、俺の体感では結構熱めだと感じた。

 先生は顔だけでなく、身体まで真っ赤になっている――湯気の中で、仰向けになっても重力に抵抗している双子の山が、先生の安らかな呼吸と一緒に上下している。

「……外に出して……お風呂の……冷まして……」

それを俺にやれというのですか、先生。思わすそんな情けないことを言ってしまいそうになる。

 緊急事態なので、これは不可抗力だ。俺は熱気に当てられ、さらに先生の裸を目の当たりにして、こちらまでのぼせそうになってしまっているだけで、興奮してるわけじゃない。

 保健室で両手で持ち上げた乳房が、無防備にさらされている。白い肌が紅潮して、しっとりと濡れた大きすぎる膨らみ――その肌は水を弾いて、珠のようなしずくがつう、と伝っている。薄く色づいた先端に目を向けかけて、俺は思わず上を向いた。これは直視していいものではない――ただ倫理的にというだけじゃなく、俺の忍耐という意味で。

「……んん……お母さん……」

「っ……先生、すぐに助けます!」

 そんなことを言っている場合じゃない。これが火事場力というやつか、俺は先生を抱き上げて脱衣所まで運び出し、ひたすら無心で介抱に励んだ。


 まずタオルを敷いて先生を横たえ、感触がわからないように身体をざっと拭き、水を飲んでもらった。

そこで先生が意識を取り戻す兆しが見えたが、俺は傍を離れるわけにもいかず、傍らで待機していた。

 先生の方を見ないように、俺はフェイスタオルを借りて目隠しをしている。さすがに意識のない人に服を着せることはできそうにない――しかしこのまま待っているのも何というか、理性が危うい状態が続いている。

「……あつい……」

「せ、先生……大丈夫ですか。水を飲んだ方が……」

「……拭いて……汗……」

 先生が起きてさえくれれば、この試練も終わるというのに。しかし、先生の訴えを聞かないわけにもいかない。

 俺は身体を拭くためのタオルを持ってくる。そして目隠しをしたまま、先生の身体を覆っているタオルを剥がす。

「……ここ……お願い……」

 思わず叫んでしまいそうになる。大声を出しては近所迷惑だとあさってなことを考えるが、それくらいでとても冷静になれない。

 先生が俺の手を取り、柔らかいものに押し当てる。ぷるん、と乳房全体が弾むのが分かる――その弾力はプリンか、それともババロアか。ブラマンジェでもなんでもいい。

 目隠しをしていると逆に感覚が鋭敏になる。タオル越しにも先生の胸の形や、柔らかさが十二分に伝わる――水分を拭きとろうとしているのに、むにゅむにゅと揉んでいるような動きになってしまっている気がする。

「んっ……ふぅ……ここも……おねがい……」

 あまりにもあまりな状況だ。しかし心を無にして、求められた場所を拭くしかない。

「……んっ……んふっ……」

この声は先生が生徒に聞かせても大丈夫ではない気がする。先生は敏感なのか、言い方を変えるなら、とてもくすぐったがりなのか。

 表面だけを拭き取るようにすると、今度は撫でているのと変わらない。手のひらに触れている部分が、かすかに尖って、硬くなってきている――その部分を避けようとするとまともに拭けないので、俺はひたすら心中で般若心経を再生して気をそらす。

「……んん……こっちのほうも……」

もう、これ以上安全に拭ける場所がない。

 こっちがどっちなのかも分からない――俺は自分でしたことだというのに、目隠しを外さなくてはならなかった。

 そして目隠しをずらした瞬間、全ての思考を失う。

 ほんのりと紅潮した杜山先生の肌は、しっとりと汗をかいて――両手で双丘の頂点だけをカバーしたその姿を見て、俺は不覚にも、人生で何度目かの鼻血を経験する。

「……汗……拭いて……」

「っ……は、はい……」

 意識が危ういとはいえ、先生が俺の助けを必要としている。俺は先生に胸を持ち上げてもらって、その下の部分を拭く。

 そこまで来ると逆に開き直ることができて、俺は大胆に先生の身体を拭き始める――下半身だけは、バスタオルで上から覆うだけで精一杯だったが。


 今日の記憶は、明日の朝になったら消さなければいけないだろう。

目を覚ましてから可愛そうなくらいに慌てふためき、俺に土下座をする勢いで謝る先生をなだめつつ、とっくの昔に終バスが行ってしまっていることに気づくのだった。

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