究極の甘さを求めて【激推しラノベまとめ賞】
我々は究極の甘さを求め旅を続けていた。
しかし、その道のりは険しく遠い。
故にもしこの身に何かがあったときのためにこの記録を残しておこうと思う。
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ここがオススメ!
◯◯××年。×月×日。快晴。
それはラブコメの形をしていた。罰ゲームがきっかけで始まる疑似カップルモノの作品らしい。
しかし、コレの最大の特徴は、罰ゲーム告白の際の一件から本当に恋をしてしまったヒロインと告白が嘘であると全て知った上で受け入れる主人公、お互いがお互いに全力で惚れさせようとするという点。
惚気けて照れまくってそれでも一歩も引かない恋の駆け引き、それは端的に言えばイチャイチャしてイチャイチャするお話であった。
(あまり糖度に意識が飛びかけたが何とか耐えることができたか……) -
ここがオススメ!
◯◯××年。△年◎日。晴れ。
その日、我々に襲いかかってきたのは甘々ラブコメの代名詞とも言える緋月薙氏のデビュー作だった。
雨の日に捨てられていた天使とねこを拾って始まる微ファンタジーラブコメ。ファンタジー設定を存分に生かした展開が広がりながらも「愛が世界を救う」と言わんばかりのイチャイチャ。主人公カップルだけでなく、親友カプにショタロリカプまでもが甘さを生み出す様は、もはや世界が砂糖と水飴で構成されているのではないかと錯覚させるほどであった。
(まだだ。まだいける。ほんの数回天国が見えた気がするが、甘さの限界ではないはずだ) -
ここがオススメ!
◯◯××日。×月▽日。曇りのち晴れ。
足元を掬われるとはまさにこのことだ。
ただのスピンオフだと油断してかかったその獣は甘さの化身であった。
本編で見せられていた王道のラブストーリーから予測してしかるべきであった地蔵さんと花咲さんの恋模様をいざ明確な姿を持って見せられると尊いの一言しか発することができなかったのだ。催眠術や幻惑なんてものではない。
それは甘さの化身が生み出す高次元世界の一端であったのだ。
奴は我々に問うていたのだ。この先に進む覚悟があるか……、と。
(悩むまでもない。進むのだ。我々はそこためにここまで来た!) -
ここがオススメ!
◯◯××年。▲月×日。曇り。
確かな手応えを持ち、我々は究極の甘さへと近づいていた。
それは不器用な魔王と純真エルフ、孤独な二人がお互いに惹かれ合うラブストーリーが現れたことで確信に変わる。
しかし、そこには同時にポンコツアホアホコンビやら年の差異種族カップル、老婆と獣弟子カプ、幼馴染親友同士の放つ百合の波動、家族愛……、ありとあらゆる恋と愛の形が詰め込まれておりもはや吐糖するしかなかった。
それは文字通りに目にしたものの命を奪いかねない究極の甘さ。
――この一撃で我々の部隊は壊滅した
(だが、まだ死ぬ訳にはいかない。甘さの最奥へ……、我々の夢の果てを見よう) -
ここがオススメ!
◯◯××年。◯月▽日。雷雨。
(アレは一体何だったのだ。
あまりの甘さに脳が焼ききれるようなあの感覚を果たして何と言語化すれば良いのだろうか。
もはやこの世の甘さとは思えない。きっと誰もあのバカップル二人が感じているイチャイチャの甘さを真に感じ取ることはできない。我々が感じ取れたものはおそらく究極の甘さの片鱗……、3割……、いや1割程度だったのかもしれない)
人では天に手を伸ばすことはできない。
甘さの果てに得た結論だ。
世界の真理に打ちのめされた我がたった一人今をこうして生きながらえているのは何と惨めなことであろうか……。
究極の甘さを求める旅はこうして終わったのだ。