幕間 勉強会の一方で
「軽症ですが一週間程度は過度な運動は控えてくださいね。それではお大事に」
「ありがとうございました」
週末。私はねん挫した足首を診てもらうために車で病院に来ていた。
「どうしましょう、
顎に手を当てておっとりした口調で話しているのは私の母さんだ。いつまで
「車で学校の前まで送り迎えすれば歩かなくても済むわよね? うん、そうしましょう。早く良くなってほしいし」
うんうんと一人納得する母さん。いやいや! ありがたいし楽だけど学校の前まで車で送り迎えをされたら恥ずかしいから!
「ん……でもその足だと普段より倍近く時間がかかっちゃうし、何より足に負担がかかると思うのよね」
確かに、この足でいつも通り登校するのは正直
「そうねぇ……お友達に頼むというのはどうかしら!? 例えばほら、哀ちゃんの初恋の相手の男の子とか!」
「ちょっと母さん!? 何を言っているの!?
「あらあら、ウフフ。誰も吉住君だなんて言っていないわよ?」
「あぁ、それなら
あのバカ! どうしてペラペラ母さんに話すのよ! ちなみに陸は中学一年生になる私の弟だ。去年の体育祭で吉住と一緒に撮った写真を眺めていた時に陸に「その男の人だれ? お姉ちゃんの彼氏?」と聞かれたことがあって話したけど、まさかその情報を母さんに伝えていたなんて! 家に帰ったら絶対にとっちめてやる!
「ウフフ。哀ちゃんをからかうのはこの辺にしておきましょうか。週明けからは学校まで送るからね。もしかして例の吉住君に会えたり! 楽しみだわぁ」
ニコニコ笑いながら母さんは車のドアを開けた。どうしよう、もし母さんが吉住と遭遇したらきっと面倒なことになる。なんとしてでも避けないと!