第二巻 第一章 王座はお断りします①

 人生は思いがけないことの連続だ。そのことを私は二度目の人生でいやというほど実感した。

 なんの因果か、前世で経営コンサルタントをしていた私が乙女ゲームのラスボス・ヴィオレッタ王女に転生してから、もうすぐ一年になる。

 その間、ゲームの制作者を名乗る攻略キャラに命をねらわれ、ギリギリのところで破滅を回避できたと思ったら、今度は女王になれって……人生は山あり谷ありと言っても、アップダウンが激しすぎるでしょ! もう息切れ寸前よ!

 夜中の王立図書館で辺りに人がいないのをいいことに、私は「はぁぁぁー」と肺の奥からしぼり出すようなため息をこぼした。目の前にあるのは、ほぼ白紙の辞退届(仮)。

 明日あしたの朝議で、お父様は国王試験の勝者となった私を正式に次の王に任命する気らしい。そんなことになってしまったら、いよいよげ場がない。そうなる前に、なんとか辞退しようと思ったんだけど……。私はテーブルの横に積んだ本を見て、痛むこめかみを押さえた。

 うすうす気づいてはいたけど、国王の辞退届はじゆようがないらしい。れいしよだなに置かれていた本を一通り持ってきたものの、そこには時候のあいさつとかにんの挨拶しかっていなかった。

 前例がない場合、どうやって明日の朝議で切り出せばいいだろう。元ワガママ王女の私には高すぎるハードルを前にして、頭をかかえる。その時、ふと手元にかげが差した。

「ヴィオレッタ、こんなけに何を調べてるんだ?」

 顔を上げると、んだエメラルドのひとみと目が合った。彼は私の従兄いとこに当たる先王の遺児にして、攻略キャラの一人──レナルドだ。

 る前のひとときを利用して、図書館に寄ったのだろうか。だんよりラフな格好で、あわきんぱつも少し乱れている。その様はたんせいな顔立ちと相まって、の下で見るより色っぽい。

「レナルドこそ、こんな時間にどうしたの? 明日の朝議に備えて、早く寝た方がいいわよ」

「ああ。頭ではわかっていても、明日のことを考えると、なんとなく眠れなくてな。実際、俺の嫌な予感は当たっていたようだし」

 レナルドがもの言いたげな視線をテーブルに向ける。……あっ!

 私はあわてて辞退届(仮)を裏返した。それでも「女王の辞退」と書かれた部分をバッチリ見られていたらしい。レナルドがものげなため息をこぼす。

「その書類はなんだ? いい加減、女王になる未来を受け入れたらどうだ?」

「む、無理よ、私に女王なんて!」

「なぜだ? 国王試験の勝者はあんただろう?」

「それはそうだけど、私みたいなぼんじんに、女王のような大役が務まるはずないもの!」

「………………」

 レナルドがうでを組み、なんともみような表情でまじまじと私を見下ろす。

 なんで? 私、何も変なことは言っていないと思うんだけど。

 夜中の図書館にぎこちない空気が流れた、その時だった。

「ねぇ、ヴィオレッタは、その……女王になるのが嫌なの?」

 おずおずとした問いかけに、ハッとしてり返る。いつの間に来たのだろう。レナルドより少しい金髪と深緑の瞳が印象的な少年──従弟いとこのリアムが後ろに立っていた。

 こんな時間に図書館で会うなんてめずらしい。私とレナルドの意外そうな視線を受けてリアムは少しきんちようしたのか、着ていた白衣のそでにぎりしめながら「えっと……」と続ける。

ぬすみ聞きみたいなことをしちゃって、ごめんなさい。明日のことを考えていたら、眠れなくなっちゃって……。気分てんかんに図書館に来たら、二人の声が聞こえたものだから、つい……」

 なるほど。最近のリアムは「だつ引きもり」を目指してがんっていても、朝議のようにたくさんの人が集まるイベントにはまだていこうがあるらしい。

「リアム、大丈夫? どうしてもつらいなら、明日は無理しなくてもいいんじゃない?」

「そうだぞ。無理に朝議に参列しなくても、少しずつ人と話すことに慣れていけば……」

「二人とも心配してくれてありがとう。でも、僕だって王族の端くれだもん。明日は頑張るよ」

 ああ、我が子の成長を見守る親って、こんな気持ちなのかな。リアムの笑顔がまぶしい。

 レナルドも私と同じことを思ったのか、目を細めて弟を見ている。リアムはそんな私たちの反応がずかしかったのか、コホンとせきばらいをして、真面目まじめな顔つきにもどった。

「僕のことより、今大切なのはヴィオレッタの方だよ。ねぇ、女王になりたくないって、本当なの? どうして?」

「俺もその理由を知りたいな。今度はじようだんきで」

「え……」

 レナルドにはさっき真面目に答えたはずなのに、信じてもらえなかったのだろうか?

 従兄弟いとこ二人からしんけんな目を向けられ、言葉にまる。

 私が女王になりたくない本当の理由を一から説明するには、前世の秘密にもげんきゆうしなきゃならない。さすがにこの二人だって、そんな話を聞いたら、私がおかしくなったと思うだろう。でも、二人にうそはつきたくなくて……私は迷った末、本音の一部を口にした。

「私は王にならないわ。私より王にふさわしい人たちが、すでに二人もいるんだもの」

 レナルドとリアムが不可解そうに顔を見合わせる。いつぱく後、兄弟そろって首を横に振った。

「僕に王は無理だよ。明日の朝議に参列するだけでもこんなに緊張してるのに、王として人を率いることなんてできないよ」

「俺も、自分より王の資質を持った人間が目の前にいるのに、出しゃばる気はない」

「いやいやいや! リアムの努力家なところとか、レナルドのじゆうなんな思考とか、どう考えたって、私より王にふさわしいから! それに私みたいに悪名高い女が王になったら、たみも一部の貴族たちもすごく反発すると思うわ」

「そうだな、最初はれるだろう。だが、そんな悪評はそくしてから実力を示せば、すぐに消えるはずだ。あんたがヴィオラとして、ダミアンやアナリーのしんらいを勝ち取ったように」

「待って! あれは身分を隠していたから好き勝手に動けただけで、王とはちがうわ!」

「そうか……。なら、あんたは女王にならない代わりに、何がしたいんだ?」

「え?」

 思いがけぬ質問にきよかれ、私はポカンとレナルドを見上げた。

「かつてあれほど欲しがっていた王座をこばむ以上、あんたは何か別にやりたいことができたんじゃないのか? もし希望があるなら、俺たちにも教えてくれ」

「そんな、私は……」

 すぐに言葉が出てこなくて、レナルドから目をらす。

 思えば、前世のおくが戻ってからは破滅回避に必死だったし、今は王座を辞退する方法ばかり探していて、その後の生き方をちゃんと考えていなかった。でも、できるなら私は……。

「困っている人たちの力になりたいわ」

 それは自然と口をついて出た、私の本音だった。

 前世の自分を思い出す。私は社会的に良い行いをしている人たちがむくわれる手伝いをしたくて、経営コンサルタントになった。その思いは転生しても変わらない。だから……、

「私は人々の抱えている問題をいつしよに考えてぶんせきし、解決策を提示するような仕事がしたい。私は、頑張っている人たちに寄りう生き方がしたいのよ」

 あおくさいという自覚も、自分の力量が足りていないことも十分にわかっている。それでもレナルドとリアムになら、この思いを理解してもらえる……と思ったのに、あれ?

 レナルドはなぜかあきれた様子でこめかみを押さえ、リアムは困ったようにまゆじりを下げている。

「あの、ヴィオレッタは今、僕たちに将来の夢を語ってくれたんだよね?」

「ええ、そうよ」

「あんたが語った内容は、まさに王の仕事じゃないか」

「はい!?」

 ギョッとしてレナルドをぎようする。彼は気にせず、たんたんと説明を続けた。

「国内外の問題に対処しつつ、時には民を守るたてとなって、彼らがかつやくできるかんきようを整える。あんたのやりたいことは、まさにそういった王の仕事だろう?」

「待って! 規模が全然違うわ! 私の想定してる仕事は、もっとこぢんまりしたものよ!」

「規模の大小にかかわらず、やることが似ているなら、王でもいいだろう?」

「いやいや、責任の大きさが違うから! 一国を背負って失敗なんてできないし!」

「つまり、あんたは少人数が相手であれば、失敗しても問題ないと思っているのか?」

「そ、そんなつもりはないけど……!」

 おかしい。私は自分なりに責任感を持って、経営コンサルタントの仕事をしてきたはずだ。それなのにレナルドの正論を前にすると、何も言い返せないなんて……。

 答えになやんでいると、ふと横からかたにポンと手が置かれた。リアムだ。

「ヴィオレッタ、今日はもう寝よう。夜中にあれこれ考えたって、ろくな結論は出ないよ」

「リアムの言う通りだ。部屋まで送って行く。ヴィオレッタ、手を」

「あっ、僕も!」

 レナルドとリアムが、座っている私の前に手を差し出してきた。えーと……。

 気持ちはうれしいけど、二人の手を同時に取って歩いたら、エスコートされる貴婦人ではなく連行されるエイリアンになっちゃうよ。ほら、前世でよく見た「エイリアンかく!」の図。

 いやまぁ、王座からげようとしている今の私は、確かに後者の気分に近いけど。

 私が手を取るのを二人は静かに待っている。そこにいらついた様子はじんもなく、こちらに向けられるまなしはどこまでもやわらかい。

 どうせ図書館にいたってろくな資料もないんだし、辞退届(仮)の続きは自分の部屋で考えればいいか。何より今は、ゲームの中で敵対していた二人がこんなにもやさしく、私を仲間だと思ってくれている、その気持ちにこたえたい。

「レナルドもリアムも、ありがとう」

 二人にはなんのお礼だかわからなくても構わない。私はテーブルの上の辞退届(仮)をわきはさむと、差し出された二本の手に自分の左右の手を重ねた。次のしゆんかん、同時に握り返されたてのひらの心強さに、思わず微笑ほほえむ。

 こうして三人でおだやかに過ごせる時間は何ものにも代えがたい。私はめつかいできた幸せをみしめながら、レナルドとリアムのエスコートで自分の部屋に戻った。


   ***


 翌朝、私はじよたちの手でせいだいかざり立てられ、えつけんの間へ向かった。

 玉座のお父様を間に挟む形で、左にレナルドとリアム、そして右に私が並ぶ。私は家庭教師のスヴェンを真似まねみを顔にりつけていても、内心は緊張で息が止まりそうだった。

 一段下の広間にはきゆうていを代表する重臣たちが二十名ほど並び、みするような目で私たちを見上げている。このじようきよう下で、リアムはだいじようだろうか。心配して横をうかがうと、彼は今にもそつとうしそうな顔色で、チワワみたいにプルプルふるえていた。まずい。

 づかい屋のレナルドが「頑張れ」と目で語りかけている。私も真似して、うなずくことでリアムをおうえんした。でも、残念! ぎこちない私の様子を目にして、かえって「自分がしっかりしなきゃ」と思わせてしまったのか、リアムはよりかたい表情で私にうなずき返してきた。

 ごめん、リアム。慣れない人間が余計なことをしない方がよかったかも……。

 内心でそっと謝り、おとなしく目の前の重臣たちと向き合う。その直後のことだった。私たちの準備が整ったのを見届け、玉座のお父様がゆっくり口を開いた。

「国家をになう重臣たちよ、今朝は余からみなに話がある。この王国の未来を決める重大な話だ」

 広間に緊張が走る。ついに来た。私は背筋を正し、昨夜考えた辞退届を脳内で復唱し始めた。あとはタイミングを見て、声に出してうつたえればいい。

「すでに周知の話かもしれないが、先日行った国王試験の中で、余のむすめのヴィオレッタが光のおとかくせいに成功した。そして、新たに光の乙女となったアナリーもまたヴィオレッタを王に望んでいる。よって、余は一年以内にヴィオレッタに王位をゆずろうと思う」

 お父様が一度言葉を切り、皆の反応を窺う。よし、今だ!

「陛下、お言葉ですが」

「お待ちください、陛下。まことしつけながら、そのお考えには賛同いたしかねます」

 ……え? 今のはげんちようだろうか? 私が今まさに言おうとした内容が聞こえてきたんだけど。

 出鼻をくじかれ、ビックリして声のした方に目をやる。発言の主は、優美な口ヒゲをたくわえたそうねんの貴族。すうみついんの代表を務める、レナルド派のデュランこうしやくだった。

「デュラン公爵、余の考えに異を唱えるのはなぜだ? 初代乙女がそうであったように、光の力は神に選ばれし者にのみあたえられる力だ。アナリーが覚醒した以上、もはや伝説ではない。ヴィオレッタは初代国王と同じように、真の力を持つ乙女によって次の王に選ばれたのだ。その決定に反対するとは、公爵は余だけでなく、神のご意思にも逆らうつもりか?」

 お父様が語気もするどく反論する。しかし公爵は大貴族のゆうくずさず、ゆうな口調で続けた。

「真の乙女の誕生はまぎれもないけいであり、私もできればその決定に従いたいと思います。しかしながら、ヴィオレッタ様にはぜんとしてラルスときようぼうして陛下をしいたてまつろうとしたけんがかけられていらっしゃいます。そのような方を王にいただいて、誠によろしいのでしょうか?」

 ……は? 私は頭が真っ白になった。確かに以前、私の名前でお父様に毒入りの飲み物が届けられたことがあった。でも、あれはラルスが犯人だったと証明されたはずで……。

 重臣たちもどうようする中、がくぜんとしている私に代わって反論してくれる人がいた。レナルドだ。

「公爵の受け取った報告はいささか古いように思える。スヴェンが指揮をって行った調査の結果、ヴィオレッタの無実は証明されたはずだ。まさかその話をご存知ないと?」

「もちろん、そのお話はうかがっております。ですが、最近のじんもんでラルスは何を聞かれても『ことの真相はヴィオレッタ様におたずねください』と答えているとか。そうですよね、スヴェン?」

 何それ? うそでしょ? 私はスヴェンが否定してくれることを願った。しかし……、

「デュラン公爵のおっしゃったことは事実です。果たしてそれが私たちをまどわすためにラルスがり返しているごとなのか、それ以外の意図があるのか、私にはわかりかねますが」

 スヴェンの答えに、私は頭をかかえた。

 ラルスってば、なんてめいわくな! とうごくされてからも紛らわしい発言を繰り返して人の足を引っ張るなんて、どんだけ私を破滅させたいのよ?

「仮にラルスの発言がもうそうだとしても、疑いの晴れないうちはごそくに賛同しかねます」

「ならば、あなたはどうすればヴィオレッタの即位になつとくするというのだ?」

 レナルドがデュラン公爵に問う。公爵の口元が一瞬ニヤッと笑みの形につり上がって見えた。

「私どもは、ヴィオレッタ様が即位なさる条件として、教会のしようあくを望みます」

 なんですって? 思わず絶句した私へのそんたくなどいつさいなしで、公爵がきっぱり告げる。

「ラルスが教会のであった以上、教会にはまだ彼の協力者が残っているかもしれません。そういった共犯のや教会の資金の流れなどについてかんを入れた上で、ご自身の無実を証明なさってください。それができる方にでしたら、私どもも喜んでお仕えしましょう」

「つまり、公爵は今まで王族が足をみ入れることを許されなかった教会の領域にまで王族がかいにゆうできるようになることを、即位の条件に挙げると?」

「多少人聞きの悪い言い方ですが、おおむちがってはおりません」

 公爵とレナルドのやりとりを耳にし、広間にさらなる動揺が広がる。そりゃそうだ。

 公爵はこともなげに言ってのけたけど、教会と王族の関係は複雑だ。表面上は、光の乙女が選んだ王に教会が仕えるという形を取っていても、ひとたび問題が生じた場合、教会は「神に選ばれし乙女」のこうかさに着て、王族に反発してくる。

 そんな教会に単独で乗り込むなんて……。しかも、このやり方にはめいてきな欠点がある。

「教会に監査を入れ、掌握することの意義は理解した。しかし、それではヴィオレッタが無実であることの証明にはならないだろう?」

 私とまったく同じ疑問をレナルドが口にした。

「もし仮にヴィオレッタがラルスや教会と共謀していた場合、教会におもむいていんぺい工作に走る可能性もある。結局、彼女に教会の監査と掌握を命じても、意味がないのではないか?」

「では、どなたかが見届け人としてヴィオレッタ様にご同行なさってはいかがでしょう?」

 公爵がレナルドを見上げ、意味ありげに微笑む。その様子に私はピンときた。

 もしかしたら教会の監査も掌握も実はブラフで、レナルド派を公言する公爵の真のねらいは、この見届け人の方にあるのかもしれない。もしそうだとしたら、こうしようの余地がある。

「デュラン公爵、私はあなたのご提案に賛成します。レナルドとリアムの二人を見届け人とし、共に教会で監査の任に当たることで、私は身の潔白を証明いたしましょう」

「ヴィオレッタ!?」

 レナルドが信じられないといった顔つきで私の方をり返る。あのスヴェンですら、眼鏡の奥に動揺が走って見えた。だけど、私にとって見届け人の提案は願ったりかなったりだ。

 レナルドを王位にけたい公爵としては、彼を見届け人として教会に送り込み、私と同じ仕事をさせることで、二人の間に歴然たる能力差があることを示したいのだろう。

 その過程で、私がボロを出して自滅すればばんばんざい。たとえ無実を証明できたとしても、レナルドの方が私よりすぐれているとだれの目にも明らかであれば、国王試験の結果──ひいては私の即位に異議を唱えやすくなる。どっちに転んでも、公爵の損にはならない。

 ただ一つ彼にとって計算外だったのは、私が本気で王位を望んでいないという点だ。私は自らの無実を証明した上で、レナルドかリアムのどちらかを王にせれば満足なのだから。

 ざわつく広間の中、デュラン公爵のさぐるようなまなしがどんな反論より鋭く私をく。その時間にピリオドを打ったのは、お父様のあからさまなせきばらいだった。

「デュラン公爵、そなたはヴィオレッタが教会の監査を通じて自らの潔白を証明し、教会の掌握に成功したあかつきには、彼女の即位を認めるのだな?」

「……はい、喜んで」

「ならば、余はヴィオレッタに教会の監査と掌握を、レナルドとリアムに彼女の見届けを命じよう。皆もそれで構わぬな?」

 宮廷の中枢たる王と公爵の決定に表立って逆らう者はいない。レナルドがムッとした表情で口元を引き結び、リアムがなみだで「無理無理無理!」と唱えていても、そっちは全員で見なかったことにする。私は玉座の前に進み出て、お父様の前で静かにこうべを垂れた。

「陛下、どうか私に王命を」

「王女ヴィオレッタに命じる。レナルドとリアムと共に教会に赴き、おのれの責務を果たせ」

 うん、これも乗りかかった船だ。王族が教会を掌握できれば、次の王となるレナルドかリアムの負担も少しは減るものね。私たちみんなの平和な未来のためにも、がんろう!

 前向きな気持ちになって微笑ほほえむ。そんな私のことを、レナルドたち兄弟はなんとも言えない表情で遠巻きにながめていた。

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