エピローグ1 そしてプロローグ2.④
「あの……ちょっと相談したいことがあるんだけど」
と、そんな風に話しかけられたのは、数日
まず場所が違う。話しかけられたのは教室の俺の席で、弁当を広げ始めたタイミングだ。そして話しかけてきた相手は、
同じクラスの
俺はなんとなく弁当箱の蓋を閉め直し、机の前に立つ津木くんを見上げた。
「ぇ……相談……って?」
女子相手のような緊張はしないものの、同じくらい戸惑った声が出る。まともに話すのも初めての同級生に「相談」とはなんだろう。
要領を得ないでまばたきする俺に、津木くんもまた自信なげに答えてくる。
「ほら、女子の間でウワサになってるでしょ、
……おい。
「待って。なんでそんな話になってるんだ?」
「違うの? なんか
なに言ってくれてんだ
どうしたもんか……と俺が頭を抱え、津木くんは雲行きの怪しさに戸惑っている。そんな中で、
「いったい、どんな相談事なんですか?」
口を開いたのは──意外と言うべきか当然と言うべきか──右隣の席のクラス委員だった。何事もてきぱきとしている
津木くんは「ぁ、委員長」と口の中でつぶやいて雪音に向き直った。よほど困っているのだろう。とにかく誰かに話を聞いてもらいたいらしい。
「それがその……『
「は…………?」
意味が
しかし。
そんな俺の足が、机の下でぎゅっと踏まれた。左足だ。つまり左隣の
「聞くだけ聞いてあげればいいじゃん。ねっ……戸村くん」
いつも通りの、気だるげで投げやりな声で言ってくる。しかし俺の耳には、「聞け、面白そうだから」と有無を言わせぬ要求に聞こえた。
助けを求めるべく、姉の
こちらは
そしてなにより、俺はこの姉妹に大きな借りを作ったばかりなのだ。
「………………とりあえず、詳しい話を聞かせてくれるかな」
俺の言葉に含まれた苦渋のニュアンスには気付かず、津木くんは顔を輝かせた。
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試し読みは以上です。
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『探偵くんと鋭い山田さん 俺を挟んで両隣の双子姉妹が勝手に推理してくる』
でお楽しみください!
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