第一章 神々の子 3
剣術の才能があると分かった僕だが、ヒーラーとしての才能も豊かだった。
五歳の春、僕は山を
先頭に立ち、仲間を守るために
僕はこのテーブル・マウンテンに
グリーン・オーガは全身緑色の魔物で、山に侵入しては、森の動物を食い
いや、食べるだけでは
そのような化け物を許すわけにはいかない。
僕はローニンからもらったミスリル製のダガーを構えると、グリーン・オーガを
まずはすばしっこい狼のシュルツがオーガを
一撃で相手の
丸太のような
熊のハチは山一番の力持ちなのだ。
僕はハチが相手を
そしてミスリル製の短剣を相手の首に
うめき声を上げながら
こうして僕は戦闘に勝利するが、見れば最初に牽制をし、オーガの視線を
オーガの一撃をもらってしまったようだ。
僕は傷付いた狼の背中に手を当て
狼のシュルツの身体が緑色に
「すごい!」
と動物たちは賞賛をする。
「これはミリア母さんから習ったんだ。ミリア母さんは僕を治癒師にしたいみたい」
動物たちはそれがいい、治癒師になって、自分たちを守ってほしいと口々に言う。
「うん、それはいいね。でも、ローニン父さんは僕を
「治癒師
「そうだね。そういうのを
「ならば将来は
狼のシュルツは微笑むが、僕は苦笑いをする。
「ヴァンダル父さんは僕を魔術師にしたいみたいだけどね。毎日、分厚い教科書や歴史書を読まされる」
「勉強は
「まさか、剣を振るうのと同じくらい好きだよ」
「ならば
「そうだね」
「ちなみにそのみっつを極めたものをなんと呼ぶのだ?」
僕は困った顔をすると、分からない、というポーズをする。
「剣と魔法だけならば
「ふむ、ならば新たに作るしかないな」
「自分で作るのか、その発想はなかった」
「そうだ、『勇者』という呼称はどうだ? 格好いいではないか」
「勇者か。……うん、格好いいな。でも、勇者ってのは生まれつき決まってるってヴァンダル父さんが言っていた。生まれついたときに身体のどこかに
自分の身体を見回すが、どこにも痣はない。
しかし、シュルツは気にすることなく言う。
「勇者とは職業ではなく、
「そうか……、そうなのか。うん、じゃあ、僕はテーブル・マウンテンの勇者だ」
改めて勇者という言葉を
そして肺の中に
「僕はテーブル・マウンテンの勇者だー!」
と
その言葉は山の
治癒の女神ミリアはその姿を目に焼き付けると、ほろりと
立派に成長したウィルに
先日まで赤子だったウィルがよくもここまで立派に成長したものである。
しかも立派な
ウィルは上級魔法である《
無論、それを教えたのはミリアであるが、この
ウィルの治癒師としての才能は、かつてミリアが治癒魔法を伝授した伝説の聖女と同等かもしれない。
いや、彼女ですら、この歳で《即回復》は使えなかったであろう。
それくらいウィルの才能はずば
将来が楽しみであるが、ミリアにはひとつだけ心配があった。
ミリアの
「てゆうか、ウィル可愛すぎ。このままだと世界中のお
ウィルの容姿は少女のように可愛らしかった。
それだけでなく、
ミリアは印画紙にウィルの姿を転写させると、神々の寄り合いで自慢することを
近く、治癒系神々の集会があるのである。
そこで思う存分、