【大増量試し読み】お姉さん先生は男子高生に餌づけしたい。1巻

保健室のミューズ 1

 南校舎一階の保健室までやってきたところで、俺は自分で立つ――やはり痛めてから時間が立つと腫れてきてしまい、壁に手を付いて負担を和らげる。

杜山もりやま先生が在室しているようだから、治療をしてもらうといい。一人で大丈夫か?」

「はい、ここまで連れてきてもらえれば大丈夫です……せ、先生……」

 普通に返事をしただけで岸川先生は嬉しそうにして、頭を撫でてくる。これがまた悔しいほどに落ち着くのだが、子供扱いされているようなので素直に喜べない。

「よくここまで頑張ったな。お姉ちゃんは……いや、もうそろそろ切り替えなくてはいけないか。先生は嬉しいぞ」

「……駄目ですよ、そんなに俺に甘くしたら」

「人に見られてはいけないからな……それは分かっている。次からは気をつけるから、そんなに嫌そうな顔をするな。では、またあとでな」

「は、はい。ありがとうございました、先生」

 俺は岸川先生が廊下ろうかの角を曲がって見えなくなるまで頭を下げる。そして、保健室の中に入った。

「失礼します……あれ?」

 岸川先生の言葉に反して、部屋の中には誰もいない。いつもこの部屋の主である彼女が使っているデスクを見ると、椅子が少し引いてあって、誰かが座っていたような痕跡こんせきがある。

「うーん……て、手が届かない……も、もうちょっと……」

 部屋の中から声がする。くぐもった声が聞こえてくるのは、カーテンで仕切られているベッドの方向――何となくその向こうを覗き込んで、喉から変な音が出そうになる。

「んしょ……届いたっ……!」

 端的に言えば、床に四つん這いになって、ベッドの下に手を伸ばしている人がいた。

この角度ではスカートの中こそ見えないが、素足の太ももが半分くらい見えてしまっている。

「はぁ~、やっと取れた……」

 先生はそのまま後ろに下がって、身体を起こす。そして後ろを振り返って、俺がいることに気がついた。

「……あら?」

「み、見てません……俺は何も……!」

「見てない……きゃっ……も、もしかして、ずっと見てたの……?」

 言い訳が通じるわけもなく、先生はまだ床に膝をついたままで頬を赤らめる。

 しかし怒るわけでもなく、ゆるく巻いた髪を撫で付けて整えてから、すっと立ち上がった。岸川先生よりは少し小柄で、しかし――彼女もまた、正面から向き合うのにとてもエネルギーが必要とされるスタイルをしている。

「はぁ、びっくりした。海原くん、来てくれてるなら言ってくれたらいいのに。お姉さん心臓が止まるかと思っちゃった」

 最初に見た時は、本当に俺より年上なのかと思った――だが、彼女は大学を卒業して二年目のれっきとした養護教諭ようごきょうゆだ。

 杜山知聖(ちせい)。彼女こそが、この学校における「二大女神」のもう一人だ。

先生とはいうものの、同じ学校の先輩と言われても通用しそうな童顔で、白衣の下に着ているワンピースは胸の部分がぱつんぱつんになっており、岸川先生と同じように前が閉じられない状態になっている。胸闘力バストパワー――そんなものを定義するのはどうかと思うが、彼女はこの学校において間違いなく最強だ。

 姉ヶ崎高校の教師の中で、男子生徒から崇拝に近い人気を集めている存在。その理由はもちろん教育熱心な姿勢によるものであって、決して美人すぎるからだけでも、二人が並ぶと壮観としか言いようがないからだけでもない。

「あら? 海原くん、お顔が真っ赤。大変、熱があるんじゃないかしら」

「い、いえ。ここに来たのはそういうわけじゃ……」

 杜山先生は俺の額に手を当ててくる――体育の後なので色々と気になるが、先生はただ熱を測ることだけに集中している。

 岸川先生と違うのは、杜山先生は真剣なときにも、ゆるふわな雰囲気のままだということである。保健室の先生としては理想的なのかもしれないが、話していると無限に癒やされてしまい、毒気を完全に抜かれてしまいそうになる。

「あらあら……これは……うーん……」

「せ、先生。俺は別に、熱があるわけじゃないです。手を当てたりする必要は……」

「……あら? 海原くん、どんどん顔が赤く……大変、それに熱も……」

 先生が接近しすぎで熱が上がっているわけで、状況は悪化する一方だ。しかし先生はあくまで熱を測っているだけなので、このままではどんどん追い詰められていく。

「あっ……た、大変。海原くん、動悸がどんどん激しくなってる……」

「そ、それは……体育が終わった直後なので……うっ……!」

「どうしたの海原くん、そんな可愛い声を出して。海原くんはいつも可愛いけれどね、うふふ」

 先生に接近されすぎて反射的に、触れそうな部分をかばった。具体的には胸の辺りをガードしたのだが、その上から先生の胸がぽよん、と当たる。

 手の甲に一瞬で全神経が集中する。白衣の下に着ている薄手のシャツは、これほど接近しなければわからないが、ブラの輪郭がかすかに浮かび上がっている。女騎士先生は体育の授業中だからかワイヤーの入っていないスポーツ系のブラをつけていたが、杜山先生はレースの刺繍の凹凸が感じられ、しっかりワイヤーが入って、中におさまった豊穣の女神たる部分をしっかりとサポートしていた。

「……いけない、どんどん熱く……それにこの心臓の鼓動はただごとじゃないわ、小鳥みたいにとくとく言ってる……胸が苦しいのね、そんなふうに押さえて」

「く、苦しくありません、俺は本当に、別の場所にちょっとした怪我をしただけで……ほ、本当です、ですから……っ」

 何とか離れてもらおうとするが、先生は全く言うことを聞いてくれない――それどころか。

「んっ……」

「っ……!?」

 思考が全て停止し、俺の手の感覚だけが残る。

 俺の手のひらが、先生の片方の胸を持ち上げている。むにゅん、と沈み込んだ手――触っただけという生易しい状態ではない。正面から鷲掴みにしているのと変わらない。それくらいに遠慮なく、先生が胸を触らせてくれているのだ。

「ほら、先生と比べてみたらわかるでしょう。どれだけ海原くんの胸がドキドキしているのか……先生も触って確かめてあげる」

 先生の手が、俺の胸に触れる。体育を終えたあとで汗ばんでいるのに、先生は全くそんなことを気にしていない。

 それよりも何よりも、右手に当たる杜山先生の胸の感触は圧倒的すぎる。胸が大きい女性の場合、胸の鼓動を感じ取りづらくなるのではないかと、俺は自分の右手をもって確かめていた。

岸川先生はスポーティな印象なのに意外と胸が柔らかいのだが、杜山先生も全く引けをとらない――弾力という点では岸川先生に軍配があがるが、杜山先生は指の受け止められかたがとても肉感的で、たっぷりとしている。お餅のようだというのか、もっと感触を確かめてみたくなる。

「っ……ご、ごめんなさい。先生、ちょっとくすぐったがりだから。海原くん、先生の鼓動は伝わった?」

「わ、分かるような、分からないような……」

「それなら、もうちょっとこっちのほうに……ここなら分かるかしら……?」

 明らかに恥ずかしがっている先生が、さらに大胆な行動に出るなど想像がつかず、俺はまた手を取られていた。今度は膨らみの上ではなく、谷間に導かれて、ふにゅんと挟み込まれる。服の上からでも手が挟まれるとは、どれほど深い谷間なのだろう。

 とくん、とくんと先生の鼓動が伝わってくる。おっぱい越しでは分からなかったので、この行動は医学的に正しいことなのだ。しかし触れているうちに俺の手がしっとり汗ばみ、トクントクントクン、と鼓動が際限なく早まり始める。

「え、ええと……せ、先生、鼓動がどんどん早くなってるような……」

「……あっ……ご、ごめんなさい。さっき飲んだコーヒーのせいね。コーヒーには、そういう作用があるのよ。こんなに鼓動が早かったら、海原くんも落ち着かないわね」

 ようやく先生が俺の手を離してくれた――俺の胸に触れていた手もそっと離れていく。俺はといえばまたも頭がおっぱいで満たされており、知的活動が極限まで停滞している――鏡を見たら、さぞほうけた顔をしていることだろう。

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