【レビュー】笑う門には福来たる? 同情する暇もないほど不憫なはずなのに、前向きで明るい花嫁の素敵な魅力

『墓守妻と黄金竜』書影

【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はMFブックスから5月23日に刊行される『墓守妻と黄金竜 はめられた花嫁ですが、ご先祖様が助けてくれるようです』です。みなさんの感想も聞かせてください!


 幼くして両親を亡くし、生きるためにシスターとなったオデット。そんな彼女が突然、五十以上も年上で、呪われた公爵様の妻に!?
物語の導入から波瀾万丈、急転直下の不幸ぶりは、もはや同情する暇もないほどですが、オデットは何事にも負けない、最高に明るく元気な主人公でした。

『墓守妻と黄金竜』キャラクターピンナップ

 義弟に監視されつつ、粗末な小屋でご当主様の世話と、霊廟の掃除を続ける日々。そのうえ食事や寝床の用意すらなし。自分ならおそらく、初日で逃げ出すでしょう。しかし、オデットはとにかく前向きで、臆せず、機転を利かせて状況を変えていく。こんなに素敵な彼女を応援したい気持ちで、読み進めていく期待も高まります。

 そこへ、ケロ様こと始祖の黄金竜の登場。それまで孤軍奮闘してきたオデットにとってケロ様は、謎解きの相棒としても、日常の話し相手としても頼もしい存在のはず。彼女の努力が報われるというのは、実に喜ばしいことです。ついでにケロ様のお力で、呪いの謎も軽く解決できれば、さすが黄金竜と尊敬できたんですが……そううまくはいきませんよね(笑)。

 しかし、得られた情報から推理し、少しずつ真実に近づいていくのがミステリの楽しみ。ときには危険も顧みず、ご当主様の呪いを解こうとする健気なオデットが、真相の果てにつかむのはきっと、最高の幸せ。いや、そうでなければ自分は納得できません(笑)。では実のところ、どんな結末だったのかは――ぜひ各自で読んで、お確かめください。

文:瀧田伸也

ざっくり言うとこんな作品

1)突然の政略結婚で、ヴェルノワ公爵家夫人となったオデット。しかし、夫であるご当主様は呪いで寝たきりの、謎に包まれた人物で!?

2)管理を命じられた霊廟には、公爵家の祖先たる黄金竜が眠っていた。破壊された石碑を修繕すると、黄金竜やご当主様にも変化が……。

3)黄金竜と協力し、オデットは石碑の欠片を集めてゆく。石碑が完全に修繕された時、公爵家に続く呪いの真相もすべて明らかに――!

主要キャラ紹介

▼オデット
政略結婚により、ヴェルノワ公爵家に嫁がされた元シスター。公爵夫人とは名ばかりの扱いにも負けずにご当主様を世話し、公爵家にまつわる呪いの真相を解き明かしていく。

オデット

▼フレデ
ご当主様の弟。公爵夫人となったオデットにとっては年上の義弟にあたる。現在は実質的に当主代理のような立場で、オデットにご当主様の世話を命じ、厳しく監視している。

フレデ

▼ご当主様
ヴェルノワ公爵家の現当主で、オデットの夫。歴代当主に続く呪いを受け、寝たきりでミイラのような姿になっている。詳細は謎だらけで、八十歳の老体と言われているが……?

ご当主様

作品情報
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    墓守妻と黄金竜 はめられた花嫁ですが、ご先祖様が助けてくれるようです

    著者: 江本マシメサ   イラスト: よはち

    呪われた公爵家に嫁いだ不憫な花嫁のラブ(?)ファンタジー!

    謎が多い一族、ヴェルノワ公爵家のご当主様と結婚したのはよかったものの、旦那様はなんと御年八十歳、さらに寝たきりで意識がなく、呪われているという。政略結婚にまんまと利用されたオデットは、意地悪な当主代理から墓守の仕事まで押し付けられてしまう。使用人同然の扱いに辟易としながらも言いつけどおりに霊廟を清掃していると、墓石の一部が崩れ落ちていることに気づく。石の欠片を拾い集め、翌日から修繕に取り組みはじめたら、霊廟で不思議な声が聞こえてきた。
    『――酷い目に遭っているお主を助けてやる!』
    そしてオデットの前に現れたのは、黄金竜を自称する……丸っこくてぷにぷにのカエルで!?
    次々と降りかかる難題も、ケロ様と乗り越えてみせます! 呪われた公爵家に嫁いだ不憫な花嫁のラブ(?)ファンタジー!

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