【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はMF文庫Jから2月25日に刊行される『雨森潤奈は湿度が高い』です。みなさんの感想も聞かせてください!
身の上話から失礼します。好きな音楽の趣味が合致していた女の子が学生時代にいたのですが、とにかく彼女と話ができる放課後は楽しくて。でも、その子とはそれ以上仲が良くなることもなく、卒業後は疎遠になってしまったのでした。あ〜あ。何を間違えたのだ。

そんな記憶を思い出させるヒロイン・雨森潤奈はとにかくぐいぐいと来る女の子。たまたま雨の日に会ったと思えば、どんどん主人公の近くに来て……。かと思えばLINEを教えなかったり、無表情だったりとちょっとはてなと思うところも。それでも、かけがえのない青春光線が浴びせられて、読者である私は愚かな記憶とともに浄化されるのでした。スナァ……。
閑話休題。好きな音楽の趣味が合う女の子っていいですよね! しかもそれがぐいぐい迫ってくるのだとしたら。今でこそサブスクでいつでも聴けるけれど、わざわざイヤホンを半分こして同じ曲を聴いてみたり、一緒に語ったりするからこそ生まれる青春模様もあって。そんな青春純度の高さがどのページからもほとばしってきて、とにかく最高な一冊でした。

とはいえ、自分が最も刺さったのは終盤の展開。潤奈ちゃんの秘密が明かされて、主人公への想いを取るか、はたまた、○○○○を○くことを取るのか、という流れ。そこの潤奈ちゃんの決断が感情を揺さぶってきて、たまりませんでした。そして感動のエンディングへ!
にしても詩暮くん、潤奈ちゃんに膝枕で耳かきされているの許せませんよね。あんな青春送りたかったやい!

文:太田祥暉
ざっくり言うとこんな作品
1)気付いたらどんどん距離を詰めてくる!? ヤンデレではなくて「湿度が高い」、そんな女の子・雨森潤奈がとにかく可愛い!
2)好きなこと(鬱ロック)について熱く話し合う。そんな瞬間にこそ見せる潤奈の可愛さがとても尊い!
3)主人公への想いがあると……。とある決断を迫られる潤奈の葛藤にハラハラドキドキが止まらない!
主要キャラ紹介

▼栗本詩暮(くりもと しぐれ)/左
運動部の活動に精を出している普通の男子高校生。読書が好きで、それがきっかけとなり潤奈と邂逅。徐々に彼女のことが気になっていく。音楽知識が豊富。
▼雨森潤奈(あまもり じゅんな)/右
音楽と読書が大好きな女の子。教室には姿を現さず、視聴覚室にのみ現れる(詩暮のクラスメイトも彼女のことを知らないらしい)。なんでも彼女にはとある秘密があって……。
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雨森潤奈は湿度が高い
著者: 水城水城 イラスト: 潮崎 しの
隙あらば密着。一見クール、本当は愛情だだ漏れなヒロインがしっとり登場
雨で部活の練習が早めに終わった栗本詩暮は、忘れ物を取りに戻った視聴覚室で、一人の女子生徒・雨森潤奈と出会う。読書や音楽の好みが合致した二人は、互いの時間が重なる雨の日の放課後限定で会うようになり、密かな交流を始める。
「詩暮っていう名前、好き」
「私は独りが好きで、無駄な他人と関わりたくはないけど……詩暮なら、いい」
じめっとした雨の日にだけ会える潤奈は無表情でドライだが、やたらと距離感が近く、甘えたがりな女の子。
さらにある晴れた日、潤奈の「秘密」を知ってしまったことで、詩暮に対する潤奈の距離は吐息がかかるほどにまで近づき、深すぎる愛情がだだ漏れになっていく――。