
あらすじ紹介
雨で部活の練習が早めに終わった栗本詩暮は、忘れ物を取りに戻った視聴覚室で、一人の女子生徒・雨森潤奈と出会う。読書や音楽の好みが合致した二人は、互いの時間が重なる雨の日の放課後限定で会うようになり、密かな交流を始める。
「詩暮っていう名前、好き」
「私は独りが好きで、無駄な他人と関わりたくはないけど……詩暮なら、いい」
じめっとした雨の日にだけ会える潤奈は無表情でドライだが、やたらと距離感が近く、甘えたがりな女の子。
さらにある晴れた日、潤奈の「秘密」を知ってしまったことで、詩暮に対する潤奈の距離は吐息がかかるほどにまで近づき、深すぎる愛情がだだ漏れになっていく――。
みんなからのレビュー
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オセロ
55私がボーイ・ミーツ・ガール好きということもありますが、めちゃくちゃ良かったですね! まず、テンポの良い会話に引き込まれ、徐々に潤奈の“湿度の高さ”の魅力に魅せられていく。それでいて登場人物たちの背景がしっかりしているからこそのストーリーは説得力があるんですよね。そして、特筆すべきは心理描写の上手さ。終盤の詩暮が好きだからこそ生まれる葛藤と創作の間で揺れ動くシーンは特に良かった。大満足! 続きを読む…
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芳樹
37初めて読む作家さん。文章がシンプルかつ流麗。雨に濡れる校舎の様子や二人の会話シーンなど、情景描写が非常に巧みであり、読んでいて情景が映像として頭の中にすっと浮かんでくるという貴重な体験をさせて頂きました。「湿度が高い」というのは確かに彼女を内面を的確に表していて、しっとりとした雰囲気のあるとても魅力的なヒロインと言えましょう。そして主人公の詩暮は飄々としているように見えるけど芯があり好感が持てる少年です。変わるものと変わらないものに焦点をあてた、学園青春物語の傑作と思います。続編があれば嬉しいかぎりです。 続きを読む…
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よっち
31雨で部活の練習が早めに終わった栗本詩暮が、忘れ物を取りに戻った視聴覚室で少女・雨森潤奈と出会い、彼女の秘密を共有していく青春小説。読書や音楽の好みが合致して、雨の日の放課後限定で会う密かな交流を始めていく2人。フォローする養護教諭・赤城も含めた潤奈の事情を知る中で、無表情でドライだった彼女が、詩暮だけにはやたらと距離感が近く甘えたがりになってゆく展開で、詩暮とのかけがえのない日々が彼女を苦しめる皮肉な構図にはしんどいものがありましたが、乗り越えて再び向き合った2人のこれからをまた読んでみたいと思いました。 続きを読む…
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和尚
30面白かったです! 鬱ロック好きですね、GRAPEVINEとかTHE BACK HONEとか好きです。知らないだけでYOHILAというバンドがあるのかと検索してしまいました笑 趣味が合うって良いですよね。そして、映画も音楽もいろんな波長が合う女の子が距離感詰めてくるラブコメとか……めちゃくちゃ良かったです。 後、車で送ってもらいながらのそのシチュは羨ましすぎる。 そして、そこまでの明るさが音楽勘を狂わせるのもなるほどなと納得感があって、その上で二人とも手放したくない関係となっていたのもとても良かったです。 続きを読む…
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のれん
27作者はデビュー作を頂点にしているイメージだが、本作は中々の味があった。多分作者の好きなパンクロックを背景にしているからだろう。 重くしとしと降る梅雨のような心情描写を心がけているヒロインにこの鬱ロックのイメージが似合う。 潤奈の満たされない心情が染みる。音に励まされて音楽の道に進んだのに、自分の隣にいてくれるヒトに満たされるのも、裏切られるのも怖かった。 この矛盾して鬱々とした心情を音楽に託すという流れがきれい。続刊がこの1巻を超えられるかはわからないが、是非挑んでほしいところ。 続きを読む…
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製品情報
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レーベル
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発売日2025/02/25
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定価726円(本体660円+税)
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ISBN9784046845528