【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はドラゴンノベルスから2月5日に刊行された『不死を求める者、これを道士と呼ぶ』です。みなさんの感想も聞かせてください!
この作品、ものすごく男の子心をくすぐられました。
男心じゃなくて、男の子心ね。いい感じの棒があったら拾っちゃう的なアレです。なんでしょうね、アレ。性差で云々という気はないんですけど、いい感じの棒が落ちていたら小学生男子は思わず拾っちゃう機能が備わっているんですよ、たぶん。
この作品からは「いい感じの棒」臭がぷんぷんします!
舞台は唐王朝時代の中国っぽいファンタジー世界で、主人公のコウが仙術を学ぶ「道士」となって、不死の者「神仙」を目指すのが目的。「仙術」「道士」「神仙」、もうこれだけでね、くるものがありますよ。ワクワクするワード、展開、そういうのが詰まっています。
たとえば仙術。日本で置き換えるなら忍術とかが該当するのでしょうか。これまた小学生男子に大人気のヤツ。リアルな手裏剣とかじゃなくてガマとかそういうやつ。良い感じにデフォルメされたファンタジーな感じが妙に馴染むし、刺さるんですよね!
神仙になるには十五階梯に分けられた、気の育成が肝要。そして武術を秘伝書と口伝と特訓で習得し、霊薬や仙薬の知識を蓄えていき――という古き良き修行パートとも呼べるような描写が充実しており、読んでるだけで何かちょっと強くなったような気すらしてきます。時代は鍛煉(仙術の場合は錬じゃないらしい)ですよね、やっぱり!!
昔懐かし少林寺で修行するカンフー映画のような! これまた小学生男(略)!
さらにコウは元刑事という転生者で、瞬間記憶能力の持ち主。刑事で磨いた危機に対する勘どころに加えて、一見した秘伝書はすぐに記憶できるツワモノです。ラノベ的な美味しい気持ち良さももちろん忘れない本作。宗門のなみいる師兄たちをごぼう抜きする成長がタマラナイ!
いやー、男の子心っていつでもいくつでも復活するんですね。
もっと、もっと私に鍛煉を見せてください!

文:勝木弘喜
ざっくり言うとこんな作品
1)唐王朝時代の中国を彷彿させる異世界を舞台、仙道の知識を深め、気を育成し、武術を極める「道士」となって、不死の者「神仙」を目指す、中華風ファンタジー。
2)同僚に裏切られ世を去った刑事の記憶を持つコウが、瞬間記憶能力で秘伝書を暗記。口伝の失われた武術の秘伝書や特別な書庫の秘伝書を読み解き、次々に習得していく過程が最高に楽しい!
3)鍛煉で気の階梯を上げていき、魔境に棲む妖魔を次々に狩猟。集めた牙や爪で武器を充実させ、やがて外弟子・内弟子・長老たちからも一目置かれる存在へ……!?
主要キャラ紹介
デン・コウ
辺境に住む小さな商店の五人兄弟の末っ子。刑事だった前世の記憶があり、瞬間記憶能力を持っている。有力な商家に奉公に出されるが、神仙を目指し虚礼洞の外弟子となる

タン・シュンリン
コウが追い剥ぎにあったときに助けに駆け付けたことで知りあった、商都ボウシンの油問屋の次女。女性道士に出会ったことで神仙に憧れ、虚礼洞に入門し内弟子となる

モン長老
虚礼洞の長老の一人。煉丹術と宝具作りが得意な凄まじい色気を持つ美人道士。内弟子による外弟子の指導で、サポート役にコウを推薦するなど、コウに一目置いている

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不死を求める者、これを道士と呼ぶ
著者: 月汰元 イラスト: 武田 ほたる
奉公下男×瞬間記憶能力! 不死への道を駆けあがる!!
雲に乗り、武術・仙術を使う者――神仙
強さと自由を求め不死の仙人を目指す
紫栄大陸の辺境の村にコウという少年がいた。九歳の時、前世の記憶を取り戻した彼は知る。ここは唐王朝時代の中国に似た、仙人や妖魔が存在する世界だと……。
かくして奉公先の息子の下男になった彼だったが、なぜか神仙を目指す宗門、虚礼洞の入門試験に付き合わされ受かってしまう。そしてコウは前世から秘かに持つ『瞬間記憶能力』を駆使し秘伝書を記憶しながら道士として駆けあがっていく――。いざ行かん不死へと至る道へ!
WEB版では語られていない書き下ろしパートも大幅追加!