【レビュー】実は最強のおじさんが無双するだけじゃない物語、キャラクターたちの心情劇をお楽しみください

『辺境の村の英雄、42歳にして初めて村を出る』

【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はMFブックスから12月25日に刊行される『辺境の村の英雄、42歳にして初めて村を出る1』です。みなさんの感想も聞かせてください!


「グレアム、お前は一体何者なんだ?」──作中で彼はこう問われます。

それはそうでしょう。刀を振れば魔物の首をすっ飛ばし、硬いゴーレムだってみじん切り。超高火力の攻撃魔法で灼き尽くし、回復魔法まで使いこなす。しかも左腕ないですからね? つい実力を見せてしまったせいで英雄視されても絶対信じませんし。

彼の魅力はこの謙虚さ──自己評価の低さですよねぇ。謙虚な態度は育ったフーロ村が魔王領のほとりという過酷過ぎる土地で、今ひとつ自分の凄さがわからないという背景があればこそ。この設定が物語の軸にずいと通されることで浮き彫られる太い人物像、好きにならずにいられません!

『辺境の村の英雄、42歳にして初めて村を出る』

とはいえ普通なら読者的には主人公が輝かない、輝きたくないってストレスじゃありませんか。でも大丈夫。ヒロインのジーニアが私たちの気持ちを代弁してくれますから! 彼女は常にまっすぐグレアムを見つめて、それはもう心を込めて彼にその凄さを伝え続けます。正直なところ妬ましいですよ。隣にここまで真剣に自分を評価してくれるかわいい女子がいてくれるなんて。……前言撤回します。私、グレアムが大嫌いです!

私情は置いておきまして。ジーニアはグレアムの人柄に触れる中で次第に彼へ惹かれていきます。その独白に綴られる心情の変化、そのみずみずしさが悶絶級によろしいのですけれども、もうひとりのヒロインであるアオイが押しかけてきて、その心地よい関係に大きな変化が! ジーニアの想いはどうなる!? 気になって夜しか眠れません!

実は最強のおじさんが無双するだけじゃない物語、バシっと効かされたキャラクターたちの心情劇をお楽しみください。

文:髙橋剛

ざっくり言うとこんな作品

1)魔王領の真横にある超辺境の村に生まれ、魔王軍と戦い続けてきたことで最強の力を得たおじさんが冒険者になってリスタート!

2)窮地から救った女子とパーティー結成! ほのぼの心躍る冒険の旅へ!

3)最低ランクのFランク冒険者なはずのおじさんが実は無敵! 強敵も難敵もまとめてぶっとばす無双っぷりが最高に気持ちいい!

主要キャラ紹介

グレアム、ジーニア、アオイ

▼グレアム・ウォード
農作業のかたわら故郷の村を魔王軍から守ってきた刀使い。が、エンシェントドラゴン討伐の代償に左腕を失い、村へ迷惑をかけないようにと一念発起、42歳にして冒険者デビュー!

▼ジーニア
だまされて負わされた借金返済のため冒険者になった女子。なのに才能がなく、結局バイトでしのいでいたところ、グレアムと出会ってパーティーを組んだことで、すべてが変わる!

▼アオイ
ソロで活動するBランク冒険者。自分を助けたグレアムの力に興味を持って彼を付け狙うが、敗北。今度はパーティーに入れろとつけ回し、ジーニアと共に彼の弟子となる。

作品情報
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    辺境の村の英雄、42歳にして初めて村を出る 1

    著者: 岡本剛也   イラスト: 桧野ひなこ

    42歳で初めて村を出たおじさんは最強でした♪

    魔王領と王国の間に位置するフーロ村は、魔王軍が王国を攻める際の唯一の通り道となっているため、村人たちは常に魔物と戦っていた。
    そんな村人の一人で、四十二歳のおじさんグレアムは、魔王軍の進行を一度でも食い止めれば勇者と呼ばれる偉業を、これまで五度も行ってきた。
    本来であれば、国の英雄と称されるグレアムだが、王国は地図にも存在しないフーロ村のことなど何一つ把握していなかった。
    そして、彼自身も己の強さを知る由もなかった。
    ある日、五度目の戦いで片腕を失ったグレアムは、皆の足手まといになってしまうと悟り村を出る。
    やがて王国の冒険者として第二の人生を歩み始めた彼は、おっさんだと馬鹿にされるが尋常ではない強さで周囲を驚かせていく!
    最強おじさんの楽しい爽快冒険譚、ここに開幕!

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