【レビュー】ラブコメの中に張り巡らされる伏線、ページをめくる手が止まらない！　新感覚ラブコメ×ミステリ！

【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はスニーカー文庫から11月1日に刊行される『Tier1姉妹 有名四姉妹は僕なしでは生きられない』（著者：紙城境介／イラスト：成海七海）です。みなさんの感想も聞かせてください！

　何かにとても長けている美少女が学校にいたのならば、どうしても「付き合いたいなぁ」とか想いを抱いてしまうのは仕方のないことだ――と僕は思う。もちろん高嶺の花なので付き合えるとも思っていないし告白もしないのだけど、ふと「もし付き合えたらな」とか妄想を繰り広げてしまう……なんてことはあるはず。しかも、その美少女が四姉妹で、それぞれ異なる分野に長けていて、そんな四姉妹と仲がいい男がいたとしたら。それはもう、羨ましいの一言に尽きる。

　本作の主人公・君永織見は、まさにそんな羨ましいポジションにいる男である。四女の竹奈々（若手声優）の下着姿を見てしまったり、三女・梅瑠（プロゲーマー）とは添い寝をしてしまったり、次女・蘭香（配信者）からはツンデレ対応を受けたり、長女・菊莉とも仲良くしたり。彼女たちと、その素を知った織見はどんどん仲を深めていく。――なんと羨ましい！

　そんなラブコメ展開だけでも面白い本作なのだが、「七年前に主人公とヒロインたちが写った写真」が不意に送られてきたことで、ミステリ要素も足されていく。果たしてその送り主は誰なのか。過去に姉妹と織見を繋いでいた関係とはなんなのか？　その謎が徐々に明かされていく様にとにかく取り憑かれて、ページをめくる手が止まらなくなること請け合いだ。最終章の仕掛けの快感は、ただのラブコメでは味わえない！　ミステリアスな友人の存在＆やりとりも楽しい、新感覚ラブコメ×ミステリである。

文：太田祥暉

ざっくり言うとこんな作品

１）美少女四姉妹の家事代行を務めることになるという、夢のような生活描写が面白い！

２）ヒロインたちの素を知っていき、徐々に仲が良くなっていくラブコメ描写に胸キュン！

３）主人公に七年前の写真を送ったのは誰？　ラブコメの中に張り巡らされる伏線が楽しい！

主要キャラ紹介

吉城寺蘭香（きちじょうじ　らんか）
次女・高校２年生。日本で最も有名な女子高生と称されるほどの人気配信者。媚びない姿勢、飾らない性格が男女ともにウケている。

吉城寺梅瑠（きちじょうじ　める）
三女・高校１年生。FPSのプロゲーミングチーム所属。女性プロゲーマーとしては国内トップクラスの実力を持つが、かなりの人見知り。

吉城寺竹奈々（きちじょうじ　ちなな）
四女・中学３年生。13歳で鮮烈なアニメデビューを果たしたネクストブレイク若手声優。自称吉城寺家の愛嬌担当。

吉城寺菊莉（きちじょうじ　きくり）
長女・高校３年生。イラストレーターを本業にしつつ、VTuberとしても活動中。四姉妹の中でも最強の引きこもりであり、滅多に部屋から出てくることがない。