【レビュー】壁になって近くで眺めていたい。主人公、優等生姉、不真面目妹の三角関係百合ラブコメ!

好きな子のいもうと

【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はスニーカー文庫から8月30日に刊行される『好きな子のいもうと』(著者:犬甘 あんず/イラスト:塩こうじ)です。みなさんの感想も聞かせてください!


 仲の良い女の子同士のコミュニケーションは距離感が近すぎると思う。お手洗いに一緒に行ったり、手を繋いで歩いたり、お揃いのグッズを身に着けたり、一晩中通話やSNSでお喋りしたり、一緒に撮った写真を集めたり、男性目線からすると「もはや恋人なのでは?」と思ってしまう。百合モノの人気の理由のひとつは、そうした友達への友情や、先輩への憧れがいつしか恋心に変わっていく登場人物への共感のしやすさにあるのではないだろうか。

 親友の渚へ告白した結叶もそんな気持ちだったのだろう。振られてしまった後も思いを捨てきれず、仲の良い友達に戻りたくても関係がギクシャクしてしまうところは男も女も変わらない。相手の好みに合わせて頑張ってきたのに振り向いてもらえなくて、行き場を失った情熱が重たくのしかかる。失恋の痛手は私も何度も味わっているので胸が苦しくなってしまう。

好きな子のいもうと 口絵

 そんな失恋の直後の結叶に近づいて慰める海望は、めちゃくちゃ計算高いですよね。海望は渚の代わりを演じているつもりなのだけれど、年下なのに頼りになったり、一生懸命だったり、姉とは正反対な海望の魅力がほとばしっています。海望と渚は違うと理解しているのに不意に手が触れ合ったり、顔を寄せ合うだけで意識してしまう結叶の姿が初々しくて微笑ましいんですよ。

 勉強会をしたり、公園で遊んだり、買い物に出かけたり、どうして女の子同士ってだけで、ありふれた日常がこんなにもキラキラしているのか不思議でなりません。壁になりたい。壁になって二人に悟られず、ずっと甘々な百合の世界を近くで眺めていたい。

 しかし渚も決して結叶のことを何とも思っていなかったわけではなくて、妹の海望と結叶の関係に内心穏やかではない姿が、新たな波乱を巻き起こしそうでハラハラしてしまう。なんだかんだ、そういう三角関係も私は大好物です。それでは壁になって特等席で彼女たちの青春を眺めさせていただこうか。

文:愛咲優詩

ざっくり言うとこんな作品

1)女子高生の雨宮結叶は、初恋の人・花房渚に告白するが振られてしまう

2)渚の妹・海望から失恋の気ばらしに遊びに誘われるうちに意識してしまう

3)女の子が好きな主人公、優等生姉、不真面目妹の三角関係百合ラブコメ

主要キャラ紹介

好きな子のいもうと キャラクター紹介

真ん中:雨宮結叶(あまみやゆいか)
高校二年生の女の子。可愛いものが好き。渚に告白したが振られてしまう。振られた後も思いを捨てきれないでいる。


右:花房渚(はなふさなぎさ)
結叶のクラスメイトで初恋の人。真面目な優等生。結叶とは中学の頃から続く付き合い。彼女からの告白を断る。

左:花房海望(はなふさみみ)
高校一年生で渚の妹。活発で積極的な少女。優秀な姉に劣等感を抱いている。結叶が好きでさまざまな誘惑を仕掛ける。

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    好きな子のいもうと

    著者: 犬甘 あんず   イラスト: 塩こうじ

    私の欲を叶えてくれるのは、大好きな人と瓜二つの妹――。

    優等生姉と不真面目妹の間でもつれる、恋の三角関係。
    私・雨宮結叶は、初恋の人・花房渚に告白し……振られてしまった。
    未練に燻る私を見かねて、親しくしていた渚の妹・海望ちゃんからある提案が。
    「私がお姉ちゃんへの想いを、忘れさせてあげます」
    渚としたかったことを、全部彼女にしていい――と。
    瓜二つの妹に大好きな人の影を重ね、渚の格好をした海望ちゃんとデートしたり、
    「結叶先輩は、妹みたいに思ってる、大事な友達と……キス、しちゃうんですよね」
    溺れるように欲をぶつけたり。
    そんな“渚の代わり”として触れ合うなかで、次第に海望ちゃん自身に惹かれていく自分がいて――?

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