【レビュー】猫が多く住む町の都市伝説とは...?絶交状態の2人が送る不器用な百合物語
【新作ラノベ先読み感想文レビュー】今回はスニーカー文庫から6月28日に刊行される『幼馴染は、にゃあと鳴いてスカートのなか』です。みなさんの感想も聞かせてください!
中学時代、些細なすれ違いによって疎遠になってしまった友人がいる。同じ委員会にいたり、一緒に将棋をやったり……。友達と胸を張って言えるような関係だったものの、彼がいきなり不登校となってからは連絡も取れなくなってしまった(まだLINEもなく、スマホが普及する前の時代だ)。
そんな彼と再会したのは成人式の日。いきなり壇上に実行委員として彼が現れたときのことであった。しかし、言葉を交わさずに今に至る。今もし彼と再会できたとしたら、何の言葉を交わすのだろうか? 不登校になることを、食い止めるだけの手助けができただろうか?
そんなことを思い出したのは、ある喧嘩が原因で話さなくなってしまった一歌と牧の様子を読んだからである。もし牧が猫になってしまうようなことが、僕と彼に起きていたとしたら? もしかしたら中学時代、そのまま仲良くできていたかもしれない。けれど、本当に自分は一歌のような行動が取れるのだろうか? 一歌は、冷戦状態にあった牧のピンチにこれでもかと介入していくが、もしそれだけの行動力が自分にあったのなら……。
行動力のある一歌と比べても仕方がないのだが、どんどん猫に変化を遂げていく牧を救うため、一歌は奔走していく(ときには猫好きの変態性を発揮しつつ)。その様が何もできなかった自分に重なって、どこか自戒せざるを得ないのだ。
果たして僕はあのとき、何をしたらよかったのだろうか? そう、この本から問われているように思えてならない。そうならないためにも、幼なじみのために走れ、一歌!
文:太田祥暉
ざっくり言うとこんな作品
1)日本で一番猫が多く住む町には都市伝説が...?
2)絶交状態の幼馴染2人のけもみみ百合物語
3)不器用な二人の関係性にドキドキ
主要キャラ紹介
一歌の幼なじみ。とある事件をきっかけに、猫になる時間が生まれてしまう。
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幼馴染は、にゃあと鳴いてスカートのなか
著者: 半田 畔 イラスト: にゅむ
疎遠な幼馴染にネコミミが生えました。気ままな彼女とのふたりだけの時間。
新しいクラスの名簿にあった『祭原牧』の文字。その名前の引力に、私はどうにも動けなくなる。牧は大切な幼馴染、だけどもう一年以上も口をきけずにいる。
(どうやって牧と話していたんだっけ……)
同じ教室のすぐ近くにいる幼馴染との距離はとっても遠い。
ある日、突然牧が家にやってきた。
「一歌、見てほしいものがある」
その頭には、猫耳があって――
「なんか突然生えた」
内面も猫らしくなった牧は、隣で寝転んで、身をすり寄せて甘えてきて、離れていた距離はあっという間にすぐそこに――。
気ままな彼女とのふたりだけの内緒の時間。
猫が好きすぎる女子高生。とある喧嘩が原因で、牧と喋らなくなった。