【レビュー】女人禁制の難関試験に"男装"して挑んだら……もう一人女の子がいた!? 小林湖底先生が描く、少女二人の関係性がたまらない!!
【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はMF文庫Jから6月25日に刊行される『経学少女伝 ~試験地獄の男装令嬢~』です。みなさんの感想も聞かせてください!
「科挙」というと、どうしてもお堅いイメージがあります。それは私が世界史を苦手としているから……だけではないと信じたいところ。みなさん、あのあたりの中国史って、覚えることが大変ではなかったですか!? 僕は序盤で躓いて、日本史のみにシフトした身なので、もう科挙とかは遠い過去の記憶です。何なら拒否反応すらある単語。
本作『経学少女伝』の舞台は、まさに科挙が行われている時代。そんなときに、もし少女二人が性別を偽って科挙を受けていたら……。いや、もうお互いを意識し合う関係性がたまりません。雪蓮と梨玉は、ひょんなことからお互いの性別を知ってしまいます。そこから始まる共犯関係……!
——というところでぶっちゃけてしまいますが、僕はもうこういう共犯関係が大好きでして(唐突な性癖開示)。男装をしているので百合と言っていいのかは議論が分かれるところですが、とにかく女の子同士の関係性がたまりません。遠くに離れても相手のことを想ったり、何故かスキンシップを取り合うようになっていったり……。それで甘々ストーリー一辺倒になると食傷気味な方もいるかもしれませんが、そこに科挙ないし中華風設定がピリリとシリアス感を出してくる。拒否反応を示すどころか、こんなものご飯だけで何杯も行けますぜ。甘いものだけじゃなくて、時折しょっぱいものもつまみたいじゃないですか。まさにそういう役割。いいぞ、どんどんよこせ!
しかし実際、科挙を受験中にこんな美少女がいたら、周りの男たちは集中できないだろうな……。私は落ちる自信があります。もうだめです。
文:太田祥暉
ざっくり言うとこんな作品
1)性別を偽り"男装"して女人禁制である『科挙』に挑む! 常識や掟を覆す下剋上が魅せるストーリー!
2)短編コンテスト第2回「MF文庫J evo」にて読者投票数第1位! 短編版で多くの支持を得た作品が長編化してパワーアップして登場!
3)『ひきこまり吸血姫の悶々』(GA文庫)の小林湖底先生が描く、二人の少女の主人公の掛け合いに注目!
主要キャラ紹介
雪蓮に懐く、郷里のために科挙に臨む少女。勘が鋭い。
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経学少女伝~試験地獄の男装令嬢~
著者: 小林湖底 イラスト: あろあ
世界最難関で男性のみ受験可能な試験・科挙。少女は性別を偽り運命へ挑む。
世界最難関・男性のみ受験可能な試験――科挙。
雷雪蓮(らい・せつれん)は、少女でありながら男装して科挙合格を目指す受験生。
自分以外にそんなやつはいないと思っていたが、試験会場でどう見ても女の子な受験生・耿梨玉(こう・りぎょく)を発見してしまう。
「世界を変えるのに性別も地位も関係ないよ! も、もちろん私は男だけど!」
「(試験の前に落ちそう……)」
仲良くなった二人は悪徳官僚に支配された世界を正すため、手を取り合い試験地獄へ挑むことに。
性別バレは即・失格なうえ、試験問題も超ハード。さらには殺人事件やカンニングの横行など様々なトラブルが発生して……!?
二人の男装令嬢が逆境に挑む中華試験譚。始め!
とある理由のため、科挙に挑んでいる少女。科挙の最中も暗躍し……。