【レビュー】今すぐ高校一年生からやり直したい! そう思うことが必至の、望公太流学園コメディ!!『小鳥遊ちゃんは打ち切り漫画を愛しすぎている』
【新作ラノベ先読み感想文レビュー】をお届けします! 今回はMF文庫Jから4月25日に刊行される望公太先生×桶乃かもく先生の新作です。みなさんの感想も聞かせてください!
私事で申し訳ないが、高校時代の思い出話をしたい。十年ほど前はまだオタクはスクールカースト下位で、全員何かしらの漫画を読んでいる……というわけではなかった。さらに読んでいたとしても一握りの人気作品。逆張りの天邪鬼だった僕はそれらを読んでおらず、好きな作品の話ができるのはクラスの片隅にいるオタク友達だけだった。
もし、そんな当時に小鳥遊ちゃんみたいなクラスメイトがいたら……それはもう最高ですよ。部活の後輩でもいい。一緒に雑誌の後ろの方にしか載っていなくて、全3巻で「俺たちの戦いはまだまだこれからだ!」をした作品について熱く語りたい。学校帰りになったら一緒に書店に寄って、どの本が面白そうか、お小遣いと相談しつつ談笑したい!
実家は神社。巫女さん衣装の小鳥遊ちゃん。
そんな全オタク男子が憧れるであろうシチュエーションを『異能バトルは日常系のなかで』や『娘じゃなくて私が好きなの!?』の望公太先生が書いたら……それはもう最高ですよ(再放送)! 月見里司先輩に感情移入をしつつ、軽快な会話の中で繰り広げられる業界あるあるに笑い(一部苦笑い)、とてもキュートな小鳥遊ちゃんに心を鷲掴みされる。特に「この世にね、クソ漫画なんて一冊たりとも存在しない」というセリフには首がもげるほど同意をして……。
もし小鳥遊ちゃんと高校生活を過ごせるのであれば、今すぐ高校一年生からやり直したい! そう思うことが必至の、望公太流学園コメディだ。
文:太田祥暉
ざっくり言うとこんな作品
その1)表向きは真面目な優等生なのに、本当は打ち切り漫画が大好きで、その愛を存分に語ってくるヒロイン・小鳥遊ちゃんが可愛い!
その2)ついつい「あるある……!」と言ってしまうこと間違いなしな、漫画やライトノベルに纏わるエピソードトークにひきこまれる!
キャラクター紹介
漫画家志望で、漫画部の部長。今は連載に向けてネームを書き続けている。
作品情報
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小鳥遊ちゃんは打ち切り漫画を愛しすぎている
著者: 望公太 イラスト: 桶乃かもく
放課後、部室で密かに行われるのは……打ち切り漫画批評!?
俺、月見里司は高校生で漫画家志望。大人気の漫画誌、週刊コメットの漫画賞で最終選考まで残った経験もあり、今日も今日とて漫画部部室で、デビューを目指してネームを悶々と考える日々……なのだが、異様なまでに打ち切り漫画を愛好している部の後輩の小鳥遊がいつもちょっかいを出してくる。「お前……結局趣味が悪いだけじゃねえか。デスゲームやってる貧乏人を、金持ちが安全圏から見て楽しんでる感覚かよ」「ち、違いますよ! 私が求めてるのは散り際の美しさです! 土俵際の美学です! 敗者の生き様です!」「ただただ人間として面倒くさいな!」漫画同好会部室は、相も変わらず他愛のない会話で溢れている。
打ち切り漫画が大好きな女の子。漫画雑誌は奥付の目次から読む派。