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堆く積み上がった瓦礫の上で、少年が一人、空を見上げていた。
どこまでも青く、果てしなく続く空。
赤い髪をしたその少年は、飽きることなくそれを見つめ続ける。
やがて、その背中に声が掛かった。
「また空を見ているのか。お前は本当に空が好きだな」
嗄れた、老人の声。
その声に、少年は振り返ることなく空を見上げたまま答える。
「好きだから見てるわけじゃない」
「ほう。じゃあ、何のために見ている?」
「決まってる。いつか……」
瞬間、少年たちを影が包んだ。
巨大な何かが空を横切り、太陽を覆い隠したのだ。
少年たちの遙か上空を雲のように舞う、巨大なそれを見上げながら、少年が呟いた。
「──いつか、帰るために」
その上を、空を舞う島……〝