第二話『ちっちゃくてかわいい先輩についての考察と、照れるアフレコレッスン』1
「なあ
放課後の教室。
「こないだ言ってた最近気に入ってるバンドの新曲が入ったんだってさ。もう歌いたくて歌いたくて俺の中のバーニングソウルがガマンできないってわけ。だから、付き合ってよ。な?」
身を乗り出しながらそう言ってくる。
だけど。
「悪い。今日は部活があるんだ」
「えー、今日もかよー」
そう答えると、こっちを見ながら不満そうに男子生徒が大げさに声を上げた。
「昨日も一昨日も、そう言って来てくれなかったじゃん。いつになったら俺のリサイタルに付き合ってくれるわけ?」
「部活がない日なら」
「それっていつ?」
「先輩が来ない時……かな」
「うわ、言い切ったよ……」
男子生徒が
そう言われても放送部(仮)に所属している以上、活動がある日は出席をするのが当たり前だし、そして先輩がやって来る限り活動があることは決定されている。ゆえにすなわち先輩が来る時は、必然的に全て部活がある日という結論になる。何も間違っていないはずだ。
「ホント、お前って昔から真面目だよな。思い込んだら一直線っつーか、他がまったく目に入んなくなるっつーか。ピンチの時もだいたいストレート勝負だったし」
「どうしたらいいか分からない時ほど、自信のある球種で勝負した方が勝率が高いってリトルリーグ時代の監督から教わったから」
「それは野球の話だろ。まあいいけどさ……」
何かを諦めたようにため息を吐く。
この男子生徒の名前は
見た目は明るく軽い感じの陽キャラで、人と話すのがこの上なく得意でない
「でももったいないよな。お前、けっこうモテるのに」
と、
「ほら、
「隠れファン……?」
「ああ。聞いただけでも二、三人は知ってる。うちのクラスだと委員長とか」
それは多い方なのだろうか。
そういうのはいまいち
というか──モテるというのなら、目の前の
「とにかく、今日は部活だから。悪い」
「はー、分かったよ。しゃーない、またな」
まだどこか未練ありげな