異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する ~レベルアップは人生を変えた~

第四章 人生の変化(1)

 今日はついに、高校の入学式である。

 結局この休みは、ひたすらあの異世界でドロップアイテムを集めることをしていたので、バイトの面接などは受けていない。

 それどころか、あの異世界の家で自給自足できてしまうため、家からもほぼ出ていないのだ。

 まあ、幸いドロップアイテムをかんきんし続けたおかげで、お金に関してはおそろしいほど手持ちにあるわけだが……本当にこわくて、【アイテムボックス】からかつに出せない。

 そんな俺のステータスだが、現在はこんな感じである。


てんじようゆう

職業:なし、レベル:233、りよく:5880、こうげき力:7880、ぼうぎよ力:7880、しゆんびん力:7880、知力:5380、運:8380、BP:0

スキル:《かんてい》《にんたい》《アイテムボックス》《言語理解》《真武術:6》《気配察知》《速読》《料理:5》《地図》《見切り》《弱点看破》《同化》

しようごう:《とびらの主》《家のあるじ》《異世界人》《初めて異世界をおとずれた者》


 スキルもふくめてレベルが上がり、【真武術】に至っては、なんかもうまんみたいな動きが軽々とできるので笑うしかない。

 この【真武術】のために買った本の内容も、実戦でかせるようになったしな。

 まあ相変わらず魔法は使えないのだが。

 ちなみにゴブリン・ジェネラルのドロップアイテムだが、【魔石】がAランクだったこともあり、A級の魔物だったと分かった。それ以外は特別変わったアイテムなどは手に入れていない。でもAランクの魔石が500万円だったのはこしかすかと思ったけどな。

 いろいろ思い返しても、その時間にもどるわけもなく、それどころか入学式は目前だ。

「はぁ……ゆううつだなぁ……」

 とはいえ、俺としては学校を休むというせんたくはない。しかも入学式だし。

 授業中どれだけぼうがいされようが、お金をはらって通ってるわけだし、何より俺は勉強をがんらなきゃ未来が見えないわけだからな。

「……うん、行こうか」

 どれだけ自分を奮い立たせようとしても、結局憂鬱な気分は変わることなく、俺はしずんだ気分のまま新しく買いなおした制服を着て、家を出るのだった。


    ***


 ……うん、何だろう。

「ね、ねぇ、あの人……」

「転校生かな?」

「うわぁ……足長っ……」

「て、てか、ちよう美形過ぎない?」

「何かのモデルさん?」

「いや、でもあんなすごいイケメン見たことないけど……」

 家を出てから憂鬱な気分で高校に向かっていると、自意識じようじゃなければスゲェ見られてる気がする。

 理由は分からないが、ジロジロ見られて喜ぶせいへきは持ち合わせていないので、俺はすごくごこが悪い。

 いや、以前はさげすむような視線が向けられてたし、見られること自体は変化ないんだけど……何というか、視線の種類がちがう気がする。本当に何なんだ?

 それに、いつもなら通学ちゆうでさえいじられて、ひどい日にはそのままなぐるの暴行や、お金をとられることもあったのだが、今日はそういったちょっかいをかけられない。

 理由が分からないまま、とうとう学校に着いてしまった。

 入り口には、クラス分けの紙が貼り出されており、すごい人ごみで中々近づけなかったのだが、だれかが俺に気づいて何かにおどろくと、その驚きがでんせんしたのか、気づけば俺の周りには人がいなかった。俺、モーセじゃないからね。

 とはいえ、人が勝手にけてくのなら利用しないとやってられないので、そのまま紙を確認すると、俺のクラスにはいじめの主犯格であるあらの名前もあった。

 同じ中学とはいえ、クラスは流石さすがに変わると思っていたのに……あぁ……いやだなぁ……。

 どんよりした気持ちはぬぐえず、げんかんを立ち去ってそのまま体育館に向かった。

 体育館でまず入学式を行った後、新しい教室に移動することになっているのだ。

 入学式会場である体育館に着くと、やはり周囲から変な視線を受けていたが、みようなことに誰からもちょっかいをかけられることはなく、無事入学式を終えることができた。

 いや、つうのことなんだけどな。

 それはともかく、入学式が終わるとその後は新しいクラスで高校のことについての説明が昼休みをはさみながらLHRで行われ、解散という日程になっていた。

 今日の日程を思いかべながらも新しい教室に近づくと、どんどん憂鬱な気分は増していく。

 はぁ……嫌だなぁ……。

 教室に入ると、案の定よく分からない視線を向けられ、それを俺はなるべく気にしないようにしながら空いてる席に座った。

 すると新しい教室で座って早々、いきなり荒木が声をかけてきた。

「おい」

「え!? な、何かな?」

 恐る恐るそうたずねると、荒木はいぶかしげな様子でいてきた。

「お前、誰だよ。見ねぇ顔だな。転校生か?」

「え? えっと……俺は天上優夜だけど……」

「…………………………は?」

 荒木は、今まで見たことがないくらいけな顔をさらしていた。

 だが、それは荒木だけではなく、なぜか教室にいるすべての人間が同じような表情を浮かべている。

じようだんはやめろよ。どう見てもお前があんなクソぶたろうなわけねぇだろうが。お前、転校生だろ?」

「い、いや、だから、本人なんだけど……」

「……いやいやいやいや、意味が分からなさすぎるだろ!?」

 荒木はさけんだ。

 その声に思わず体をビクつかせるが、荒木だけでなく、教室にいる人間全員が同じことを思っていたようで、みんな目をこれでもかというほど見開いていた。

「は? じゃあ何か? テメェ……整形でもしたって言いたいのかよ」

「そ、そんなお金はないよ。この休みに、頑張ってせたけどさ」

 いや、実際はレベルアップで瘦せたんだが、魔物とのせんとうを思えば、頑張ったって言ってもいいんじゃないか?

 俺が本当のことを告げるも、荒木はぜんとした表情のままだ。

 思わず周囲をわたすと、やはりみんな啞然としたままだった。

 やがて正気に返った荒木が何か言おうとしたが、そのしゆんかん先生が教室に入ってきたことにより、荒木は舌打ちして自分の席に戻っていくのだった。

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