異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する 11 ~レベルアップは人生を変えた~

第一章 学園祭準備(1)

 ラナエルさんと別れた後、再びラナエルさんが迎えに来るまでの間、神楽坂かぐらざかさんをレガル国まで送り届けたり、地球まで送り届けたりしながら、平穏な日々を過ごしていた。

 とはいえ、虚神うつろがみとの戦いを見据えて、ナイトたちと一緒に異世界での修行も続けている。

 ……イリスさんたちもどこかで修行してるようだけど、どれだけ強くなるんだろう? 次に会う時が楽しみなような、少し怖いような……。

 少なくとも、ウサギ師匠との修行はこれまでよりも過酷になるだろうなぁ。

 そんなことを考えていると、沢田先生がやって来て、ホームルームが始まった。


「――――さて、体育祭も終わって少し経つが、次はいよいよ学園祭だぞー」


 そうか、もう学園祭の時期になるのか……。

 今までの色々な行事で獲得してきたポイントが、学園祭でのクラスごとの予算に影響するという話だったはずだ。正直なところ、王星おうせい学園の学園祭がどんな規模感なのか想像もつかないけど……。

 そして俺たちのクラスの予算だが……。

「皆の頑張りのおかげで、このクラスの予算は潤沢だぞー」

『うおおおおお!』

 沢田先生の言葉に、クラス中が一斉に沸いた。

「というわけで、体育祭の時と同じように……影野かげのー。お前が仕切ってこのクラスの出し物を決めてけー。一時間目はそれにてるからなー」

「分かりました」

 今回も学級委員の影野統君が仕切る形で、学園祭の出し物を決めることになった。

「それじゃあ、何かやりたい出し物があればどんどん言ってくれ」

 影野君が仕切る中、メルルが俺に声をかけた。

「ユウヤさん。その、学園祭とは何でしょうか?」

「え? ああ、メルルは初めてだもんね……その、何て証明すればいいのか……食べ物の出店を開いたり、ちょっとしたゲームの出し物をやったりできる、学園イベントってところかな?」

「なるほど……前にご一緒した遊園地みたいなものですか?」

「いや、さすがにあそこまでの規模じゃないけど……」

 そんな風に思っていると、クラスの皆から次々と出し物のアイデアが提案される中、影野君がボソッとつぶやいた。

「ふむ……予算はあるし、校庭に組み立て式の小屋くらいなら建てられるかな……」

 へぇ、小屋が建てられるのか。

 ……。

「小屋!?」

 思わず声を上げると、隣の雪音ゆきねが教えてくれる。

「……ビックリすると思うけど、この学校の学園祭ならそれくらいできるよ。特にウチのクラスは予算が確保できてるし」

「そ、そんな規模なのか……」

 さすがに遊園地規模ではないにしろ、俺の知る学園祭の規模とはまるで違う。

「……お化け屋敷やしきをするなら、特注のギミックも作れるし、舞台をするならかなり豪華なセットも用意できるね」

「おお……」

 前の学校にも当然学園祭はあったが、俺はまともに参加することができなかった。

 準備期間も当日も、クラスの皆から邪魔者扱いだったからな……。

 だからこそ、初めてちゃんと参加する学園祭が楽しみだ。まあ俺の知る学園祭の規模じゃないんだけどね。

 そんなことを考えていると、どうやら案が出尽くしたようで、影野君がまとめに入っていた。

 そして、出た候補の中から統合できそうな部分は統合しつつ、最終的に喫茶店、お化け屋敷、舞台の三種類が残った。

 ちなみに、喫茶店を提案したのはかえでで、お化け屋敷は雪音、舞台はあきらだった。

「結構定番所が残ったねー」

「まあ、いざ何するかって考えると、ハズレのない出し物にしたいしな」

「三つに絞れたわけだが、最後は多数決をとろうと思う。だから、それぞれ提案者に少し時間をあげるから、プレゼンしてくれ」

「それなら僕から行かせてもらうよ!」

 影野君の言葉に真っ先に手を挙げたのは、髪をかき上げながら立ち上がる晶だった。

「何と言っても、この学校で一番大きい施設は体育館だろう? そこで舞台をできるとなると、まず間違いなく学園祭でも目立つはず……それに、予算も潤沢にあるから、セットだって豪華にできる! これは舞台以外、考えられないだろう?」

 どんな風にプレゼンするのかと眺めていたが、思ったより普通の内容で驚いた。

 晶のことだから、もっと突拍子もない理由だったりするのかと思ったけど……。

「まっ、一番は舞台で貴公子になれるチャンスだからだけどねっ!」

 やっぱり普通じゃなかった。

 思わず晶の言葉に苦笑いしていると、りんが手を挙げる。

「質問なんだけど、舞台をやるとしてどんな題材にしたいとか考えてるのかい?」

「もちろん! 僕主役の貴公子物語を――――」

「影野ー、次いこう」

「そうだな」

「話聞いて!?」

 意気揚々と語ろうとした晶だったが、強制的にプレゼンが終了してしまった。

 ……ちょっとだけ晶の考えてた貴公子物語っていうのが、どんなものなのか気になったのは内緒だ。

 続いてプレゼンするのは、お化け屋敷を提案した雪音。

「……晶も言ってたけど、予算があるから、お化け屋敷もより豪華にできると思う。それに、今なら教室じゃなくて小屋を建てて一から作るのもアリだし」

「なるほど……」

「……それに私はオカルト研究部だから。お化け屋敷やるなら全力」

「え」

 雪音の言葉を聞いて、楓が固まる。

「ゆ、雪音ちゃん? 全力って何を……」

「……部活で調べた心霊スポットから色々といわくつきのアイテムを持ってくるとか、予算があるから呪われたアイテムを取り寄せるとか……」

「ダメダメダメー! そんなの絶対にダメだよ!」

「……どうして? 本物のお化けが出るお化け屋敷……インパクトはすごいと思うけど」

「ひいいいいい!」

 楓は雪音の言葉を想像してか、真っ青になっていた。

 お、俺も本物の幽霊は遠慮したいかな……それこそメルルと遊園地のお化け屋敷に行った時、本物を見てしまってるからなおさら……。

 すると俺と同じタイミングでメルルもそれを思い出したらしく、顔を青くしていた。

「あ、あんな非科学的な存在を呼び寄せたいだなんて……雪音さんはとんでもないですね……」

「……そう? 面白いと思うけど」

 不思議そうな表情を雪音は浮かべていた。

 そんなやり取りを見ていた影野君は、苦笑いを浮かべる。

「ま、まあ……心意気はともかく、さすがに何かあると困るからな。せいぜい僕たちが幽霊の格好をしたり、何か工夫してお客さんを驚かすくらいのものになるだろうね」

「……それじゃつまらない」

「そんなことないよ!?」

 す、すごいな雪音は……この調子だと、実際に目の前に幽霊が現れても淡々としてそう。

「と、とりあえず内容については決まってから考えるとしよう。最後は喫茶店についてのプレゼンだが……」

 影野君に促され、先ほどまで震えていた楓は、気を取り直してプレゼンを始める。

「実はね、私が考えてるのは普通の喫茶店じゃないんだー!」

「ん? どういうことだ?」

「ズバリ……執事&メイド喫茶! クラスの皆でおそろいの衣装が着られたら面白いなって思ったんだ!」

 楓は元気よく告げる。

「最初は思い出作りで皆とコスプレみたいなことしたいなーって考えてたんだけど、それなら出し物として喫茶店もやれたら面白そうだし、いいんじゃないかなって」

「ふむ……前の二人はだいぶ個性的なプレゼンだったが、楓君は普通だな」

「二人がおかしいだけだよ……」

「……晶と一緒なのは心外」

「流れ弾!?」

 『おかしい』者扱いされた挙句、雪音からも追撃を食らった晶は、その場に崩れ落ちた。

 その様子を見て俺が苦笑いしていると、楓がこちらに視線を向ける。何だろう?

「それに……何か食べ物系の出し物がしたいなって考えてたんだー」

「そうなのか?」

「うん! 前の校外学習の時に優夜ゆうや君と一緒の班だったんだけど、優夜君の料理がとっても美味おいしくてさ! だから、他の人たちにも優夜君の料理を食べてもらいたいと思って!」

「え、俺!?」

 予想していなかった状況に驚いていると、凜がうなずいている。

「あー……それは間違いないね。あの時の料理はとんでもなかった……」

「この【料理の貴公子】たる僕もうなる美味しさだったね……」

「そういえば、優夜のとこの料理、やたら美味そうだったよなぁ」

「う、うん。こっちの班までいい匂いが漂ってきてて、羨ましかったよ」

 その時のことを思い出してか、りょう慎吾しんご君を含め、他のクラスメイトたちも頷き始める。

 そ、そんなに美味しかったのだろうか?

 確かにあの時は異世界で手に入れたスキルのおかげでいつもより上手に料理ができた記憶があるが、元々一人暮らしが長いから、料理は多少得意だった。

 だからこそ、こうして料理が美味しかったと言われるのは純粋にうれしい。

「優夜君に頼り切りになっちゃうかもだけど、また優夜君の料理が食べたいなーって……迷惑かな?」

「い、いや、そんなことないよ。それに、もし喫茶店をするにしても、作り方は皆で共有するだろうし……」

 俺が一日中料理し続けるなんてことにはならないだろう。

 ただこの感じだと、俺は料理係として裏方に回る感じかな? どちらにせよ、頑張ろう。

 こうして三者ともプレゼンが終わったところで、少し考える時間が与えられると、ついに投票が始まる。

「よし、それじゃあこの三つで多数決だ」

 再び影野君主導の下、多数決が行われた結果――――。


「――――執事&メイド喫茶で決定だ」


『おお!』

 俺たちの出し物が決定したのだった。

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