第3章 人外転生主人公

第38話 「エンディングトリガー4」


 再び水の衣をまとうルサールカは、その姿を膨らませてゆく。決闘結界をリルネが解除したことによって自由になったルサールカは、地中から水分を吸収しているのだ。


 みるみるうちにルサールカは元の大きさを取り戻してゆく。


 俺はルサールカを見上げながら、少しだけ後ずさりする。


「なんで結界を取っ払っちまったんだよリルネ! 俺にこいつをどうにかしろっていうのか!?」

「あんたなんかそんなあてにしてないわよ。大丈夫、あたしに考えがあるから」

「そうはっきり言われるとちょっぴり心に来るものがあるな! でもどんどんと大きくなっているぞ!?」

「心配いらないわ。あたしがなんとかするから」


 リルネは頑なにそう言う。また彼女の悪い癖が出たのではないかと、俺はリルネを振り向いた。


「だが――」


 グッと杖を握り締めながらリルネは、俺の目を見据えていた。彼女はうなずいて、揺れる瞳を隠さそうともせず宣言する。


「あたしを信じて。力を貸して、ジン」

「……お前、そんな殊勝なことを言うようなタマだったかな」

「日々成長してんのよ、こう見えても。まだまだ成長気なんだからね」


 誇らしげに胸を張るリルネは、急にハッとした顔で胸を押さえ、ジト目になった。


「……どこ見てんのよ、すけべ」

「濡れ衣だ!」


 俺はお前の真っすぐな目を見ていたんだよ……。


 ま、リルネがそう言うなら仕方ねえ、手伝ってやるか!


「ちょっと難しい魔法だけど、必ず成功させるから! それまでみんな、時間を稼いで!」

「あいよ」

『無論』

「はーいー!」


 ルサールカを取り囲むように、俺とラシード、琉花、それになぜかケルピーまでがいる。


 俺たちを見下ろすルサールカは、顔のない頭部にぽかりと穴を空けた。口らしきそこから甲高い音が響く。詠唱だ。


「さて、うちのお嬢様のために身を粉にして働くとしますか! 『トリガーガントレット』!」


 俺がガントレットを装着した直後、水の鞭が飛んでくる。げげ。


 だがルサールカが弱っているのか、それは以前食らったほどの威力と速度はなかった。なんとか手甲で弾く。痺れるほどの手応えがあるものの、俺はその場で耐えた。欠けたガントレットの破片が飛び散って光となる。


 アシードや琉花、それにケルピーも水の鞭を浴びているが、みんなそれぞれ持ちこたえているようだ。


 さすがに四人で囲んでいると、ルサールカもずいぶん手数が減るな。


「あはあは! ぜんぜん平気、ぜんぜん平気! ほらほらこっちだよー!」


 琉花はどんなに水の鞭を食らってもすぐ元通りになるし。このままならリルネの詠唱時間ぐらいは稼げるだろう。


 と思っていた矢先だった。ルサールカは今までに見たことがない魔術を使い出す。空間に魔法陣が浮かび、そこから氷のつぶてが撃ち出されたのだ。


 俺は当たりそうなつぶてをガントレットで叩き落とす。水の槍に比べても威力が低い。なにをしようってんだ?


 だが、周りの状況を眺めて絶句した。つぶてを浴びた琉花の下半身が凍りついている。


「ええっ!? なにこれっ、ぜんぜん、動かないんだけど!」

「琉花!?」

「ちょ、お兄さん、足が……、ううっ」


 琉花は自分の力で氷を融かすことができないようだ。悲痛な顔で足を持ち上げようとしているもの、地面に接着されているかのように動かない。


 俺はアシードを探す。彼は周囲を炎で燃やしながら身を守っていた。


『氷魔法は、水魔法の上位魔法だ。奴め、ついに奥の手を出したか』


 つぶてはまさしく雨あられと降り注ぐ。ラシードは身動きが取れないようだ。ラシードは特に食らったらヤバそうだもんな……。


「くそっ、琉花!」


 俺もまた、ガントレットで体をかばう。幸いこの手甲は凍らないからよかったものの、ガントレットがなければ俺は今頃、氷像と化していただろう。


 それよりも琉花だ。全身が凍りついてしまった末路はどうなるかわからないが、俺の頭の中にはテトリニの街の忌まわしき石像が思い浮かんでいた。


「ひ、ひえ~~~、こ、こわいよぉ……」


 琉花は茶化しているが、その表情はこわばっている。あいつが砕かれるなんてゴメンだ。なんとかしてあそこまでいかなければ。


 氷のつぶてを叩き落としながらじりじりと進んでいたんじゃ間に合わない。弾雨に構わず駆け抜けるしか――。


 そう思っていると、後ろからなにかがぶつかってきた。ケルピーだ。黒い馬は俺の首根っこを咥えて引きずったまま走り出す。痛い、痛いぞお前!


 文句を言おうとした俺は、ケルピーの姿を見て驚いた。その半身はもはや凍り付いており、千切れそうな足を動かしているのだ。


「な、なんなんだお前、なんでそこまで」


 ケルピーはなにも言わぬまま、琉花の下へとたどり着き、そして役目を終えたかのようにその場に倒れた。つぶてを浴びた体は大半が凍っている。


「馬車を壊したと思ったら、こんなところに連れてきて……! お前はなにをしたかったんだよ、なあ!」


 最後の力を振るうように、ケルピーは鼻を振って琉花を指した。まるで彼女を頼むとでも言うように。真意を問うよりも早く、その体が最後の一片まで凍りついてゆく。


「おい、ケルピー!」

「お馬さん!」


 腰から下が凍りついて身動きが取れない琉花もまた、叫ぶ。彼女の手が伸びて、ケルピーの頭を撫でる。だが、そこに飛んできたつぶてによって手も凍りついた。


 俺は琉花の前に立って彼女をかばうようにガントレットを振るう。


「おい、琉花! あいつになにか心当たりはないのか! あいつもお前と同じ水の精霊なんだ!」

「そう言われても、私お馬さんに知り合いなんていないよー!」

「なんでもいいんだ、思い出とか!」

「えっ、ええと、あんなにスラッとして長い脚があったらどこまでも走れるから羨ましいなー、とか!」


 まったく役に立たない。そうこうしている間に、ルサールカのつぶてが止む。――と思いきや、ルサールカは岩のような氷を創り出していた。つぶてを結集させたものだ。まとめてやろうっていうのか。


「げげ」

「ひ、ひぇ~~~!」


 俺と琉花のもとに、それが振り下ろされてくる。このままじゃケルピーもろとも砕かれるだろう。俺は覚悟を決めて拳を握った。


 やられてたまるかよ!


「トリガーバレット!」


 左手のガントレットを撃ち込む。ロケットパンチのように飛んだその手甲は氷岩に深く突き刺さった。亀裂が入るも、岩は割れない。俺はさらに右腕を繰り出す。


「――もう一発だ! トリガーバレット!」


 トリガーバレット二連発だ。今度こそ氷岩は粉々に砕け散る。さすがに砕けた破片に当たったところで凍りつかないようだ。命拾いした。辺りの温度が一瞬で下がり、もやが立ち込める。


 再び両手にガントレットを装着すると、全身からグッと力が抜けてゆく。そろそろトリガースキルの限界が近いな。


 雪煙のような白いもやが晴れた直後、俺は絶句する。ルサールカはさらに一回り巨大な氷の塊を創り出していた。ま、マジかよ……。


 まだかリルネ、まだなのか! 俺は助けを求めるように彼女を見るが、両目を瞑って集中しているらしいリルネはこちらに気づかない。アシードも足止めを食らっている。くそう!


「やるしかねえなら、俺がやってやるよ! いいよ、来いよ! 受け止めてやるよ、琉花!」

「そ、そんなの叫ばないでよ、恥ずかしいよ!?」

「お前のことじゃねえ!」


 後ろから照れた中学生の声。一喝して俺は拳を握った。トリガーバレットより、トリガーインパクトのほうが威力が高い。だがそのためには、あれを正面から迎え撃つ必要がある。タイミングが命だ。


 ったく、突っ込んでくるトラックをブン殴るみたいな無茶だな……。


「ジンさま、あのっ!」


 そこでスターシアの必死の叫び声が届いた。俺が待っていろと言った彼女はその場から動かず、けれども絞り出すようにしてこちらまで声を届けてくれる。


 あの氷に拳を叩きつけるために今は一秒でも深く集中をしていたい。だがその貴重な一瞬を投げ売って振り返る。あのスターシアがこんなときに無駄なことをするわけがない。


 眼帯を外したスターシアのその左目が、爛々と光を発している。彼女は未来を視ているのだ。


「なにが見えた!?」


 ほとんど怒号に近い言葉を受け取って、スターシアもまた叫ぶ。


「――!」


 三人はひとつ?


 それはどういう意味だったのか。俺は前を見据える。氷山が俺たちに向かって叩きつけられる光景がスローモーションで映る。


 三人はひとつ。琉花とルカと、いったいなにがひとつなのか。いったい、なにが――。


 そうか。


 ――その答えに気づいた瞬間、俺は琉花に向かって叫んでいた。


「琉花、走れ! 走って逃げろ!」

「えっ、で、でもっ」

「お前の足はそこにある! !」


 俺は左拳を握らず、手のひらにして氷に叩きつける。光が収束するその一瞬の間、さらに右の手のひらを左手の上に重ねるよう叩きつけた。掌底重ね打ち。決して人に向かって使うことは許されていない、俺が通っていた道場の奥義――。


「トリガーインパクトォォォォォ!」


 粒子に分解されたガントレットが、螺旋を描く二重の光と化す。力は爆発するようにして膨れ上がった。亀裂から噴き出す光は氷を内部から完全に融解させる。カメラのフラッシュのような輝きがいつまでも続き、そして気が付いたときには跡形もなく氷は消滅していた。


 俺は前のめりに倒れ、がくりと膝をついた。手のひらにまったく力が入らない。いやあ、トリガースキル二連発の二連発が、ここまで負担がかかるものだとはな……。


 そのとき、心の中にフッとなにか空虚な風が吹いたような気がしたけれど、今の俺は気に留めているような余裕はなかった。


 それよりも。俺の後ろからなにか黒い影が飛び出した。リルネだろうか。いや、影は青い髪をもっている。それに、まるでカモシカのような長くて美しい脚を。


「でえええええええい!」


 少女は握った拳をルサールカの胴体に打ち付けた。飛び込み台からプールに落ちたときのような音が響き、ぱぁんと水しぶきが舞う。ルサールカは揺らぎ、倒れそうになったが水の鞭で体を支えた。


 反動で後ろに着地した彼女は、すっと足を伸ばして立っている。


「……琉花、お前……」


 疲労困憊の俺は口元に笑みを浮かべる。すると、振り返ってきた琉花もまた、はつらつな笑顔を見せていた。


「うん! 私、走れる! また走れるんだ! 今だったら、なんだってできちゃうよ!」

「はは、よかったな……」


 腰から下は決して足にならなかった彼女が、今ようやく再び足を取り戻した。


 そこに横たわっていたはずのケルピーはもういない。あの馬は今、


 そうだよな。異世界に転生したのに、足がなくなったままだってのもおかしい話だよな。ルサールカと一緒だ。


 琉花は篠原里恵を殺したと思い込んで、罪を抱えたまま足のない自分を受け入れちまっていた。主人に見放された陸上への想い――琉花の欠片は、ケルピーとなってずっと森をさまよっていた。


 そんなときに俺たちを見つけたんだろう。エルフの村の近くで馬車を壊して、俺たちを琉花のもとに案内したんだ。


 ケルピーはその背に獲物を乗せて人を殺す怪物だ。俺たちはまんまと水先案内人ケルピーにここまで連れてこられたのだ。琉花の本当の姿を取り戻すために。


 そして琉花は篠原里恵を殺そうとした罪を受け入れた。それも自分だと認めた。だから彼女は、ケルピーともひとつに戻れたんだ。


 なんて回りくどい計画だよ、ケルピー。その報酬が琉花のあの眩しい笑顔だなんて、まったく、十分すぎるぜ。


「琉花……、あなたも一緒に走れるんだ! 走れるんだから! また一緒に、いこう!」


 ルサールカは反抗するように氷のつぶてを撃ち出す。だが、しっかりと地面を蹴って走る琉花には一発も当たらなかった。彼女の走った跡は地面がめくれ上がっている。なんて速さだ。先ほどまでの琉花とはレベルが違う。これが新たなる主人公メサイアの力か。


「もう、頑固なんだから! 私に似て、さ!」


 水の鞭をもまるでハードルのようにかわし、琉花は跳んだ。跳躍した彼女は高飛び選手のように美しく、ルサールカの顔面を蹴擲する。体が揺らぐルサールカ。さらに追撃。炎の拳が叩きつけられた。アシードが単体で放つ蜥蜴炎槌バーンストライクだ。


『凡愚が、身の程に合わぬ真似を』

「キミこそ、おいしいところだけさらっちゃって!」


 アシードと琉花が空中で交差し、赤と青の軌跡がクロスを描く。


 ルサールカは悲しみににも似た声を漏らすが、しかしもうそれは誰にも届かない。再び地中から水を吸い上げて、蒸発した部分を補強してゆく。どんなにアシードがあの体を削っても──。


「──このままじゃ、キリがないぞ!」

「そのために、あたしがいるのよ」


 俺と琉花とアシードが振り向く。リルネが高々と杖を掲げている。


「ようやくコントロールできたわ。これで終わりよ、ルサールカ。対あんたのためだけに生み出したこの混合魔法を浴びて、大人しく負けを認めなさい」


 ルサールカが吼える。その頭上にぽっかりと穴が空いた。――空に穴が。


 それは巨大な魔法陣だった。中心は真っ黒に塗り潰されており、そこから赤いなにかが噴き出す。


「ジン、息を止めてて! 琉花は戻りなさい! 消し炭になるわよ!」

「ひぇっ!」


 琉花は光の粒となって消える。アシードも同様にいなくなった。俺は顔を押さえながら、その魔法陣が生み出す光景を見つめていた。


叫熱凶風フー・ディー・オー!」


 噴き出してきたのは赤い風だ。乾き切ったその風はルサールカの脳天から足元へとかけて吹き抜ける。


 まるで体表をやすりで削られるように、ルサールカの体がみるみるうちに蒸発してゆく。空気中を漂う水分すらも失われ、地に生えた草は一瞬で枯れ果てた。


 俺はその魔法がどんなものか、直感的に理解した。リルネが水浴びをしたあとにいつもやっているあれだ。だ。


 彼女は炎魔法と風魔法の混合魔法を日常的に使用していた。なかなか制御が難しいものだと、いつも自慢げに。


 だが今のこれは、まるで規模が違う。まさしくリルネのオリジナル魔法なのだろう。


 ルサールカはもはや幼児のサイズまで縮んでいた。あそこからでは元の大きさに戻るまでに、相当な時間がかかるだろう。その前に蜥蜴炎槌でも食らえば、消し飛ぶに決まっている。


 勝負はあった。


 リルネの勝ちだ。



 魔法陣を消したリルネは熱に浮かされた顔のまま、いつものように髪を払った。そうして俺を見ると、くすりと口元に笑みを浮かべる。


「ふふ、信じてくれてありがと、ジン。きっとひとりじゃ勝てなかったわ」

「なぁに言ってんだよ」


 俺もまた笑って、親指を立てた。


「いつだってお前の助けになるさ。世のため人のために尽くすのが祖母ちゃんの教えだしな。それに、最近じゃちょっとは頼りがいも出てきただろ?」

「ふふっ、まだまだよ。早くもっともっと強くなってよね。このあたしに見合うぐらい、ね!」


 そう言いながらリルネは微笑んだ。やっぱりリルネはこうでなくっちゃな。





 リルネの差し出した手を取ったルサールカは、もはや抵抗する気力を失っているようだ。


「じゃあ精霊契約するわよ」

「うん……」


 琉花は小さくうなずいたのちに、「やっぱり待って」と手をあげた。


「ひとつに戻る前に、最後に話をさせてもらっても、いいかな」

「……別に拒む理由はないわ。もう逃げられないだろうしね」


 流花は少しだけためらってから、勇気を出すようにしてルサールカの前に立つ。おずおずと口を開いた。


「今まで、ごめんね……。ずっと守ってくれていたのに、私はなにもできなかった。嫌なことばっかりさせちゃったね……。でも私、もうあなたのせいになんてしないから」

『……』


 ルサールカはなにも言わない。


「だから一緒にいこう。いいことも嫌なことも、一緒に。ね、ルカ。これからも私のそばにいて……ね?」

『……』


 やはりルサールカは言葉を返さない。が、ほんの少しだけうなずいたような気がした。流花も見ていたのか、肩の力を抜くようにして微笑む。


「うん、もういいよ、大丈夫。ありがとうりるるん」

「誰がりるるんよ。……まったく、本当に手間かけさせて」

「あはあは」


 リルネが目を瞑ると、ルサールカの姿が消える。精霊契約の完了だ。


 すると、琉花の外見にほんの少しの変化が起きた。彼女の髪がちょっぴり伸びたのだ。顎ぐらいの長さが、肩に届くようになっている。


 なんだか少し、大人になったように見えた。


「これでもうすっかり、元通りになった……かな?」


 琉花が斜め上を見やると、ぽんっとその髪がサイドテールに結ばれた。そこには黒いリボンがくくりつけられる。まるでルサールカのような色だ。


 彼女は大きく頭を下げた。


「本当にありがとう、ふたりとも。あ、そこのメイド服のお姉さんも。あと、ラシードくんも!」

『フン』


 リルネの肩の上のラシードはあくまでも不機嫌そうに鼻を鳴らす。それを見て琉花が笑った。


 そうして、琉花は再び頭を下げる。


「では、改めて……、水原琉花です。みなさんと一緒に行きたいです。もしよかったら、仲間にしてください!」


 俺は両手を広げた。


「もちろん歓迎するに決まっているだろ。これからよろしくな、琉花」

「きゃ~~~」


 唐突に琉花が黄色い声をあげた。俺は瞬きを繰り返す。


「な、なんだ」

「なんか私、今までずっとお兄さんに下に名前で呼ばれていたんだって思うと、急に恥ずかしくなっちゃって! なんか、なんかすごい照れちゃう!」

「え、ええ……? じゃあ、水原か?」

「ううん、琉花がいいなっ、琉花でお願いしますっ」


 流花が俺の腕に抱きつくようにしてやってくる。その感触はとても彼女が精霊だとは思えないほどに人間そっくりだ。こっちまで照れてしまう。


「一生やってなさい。あたしは疲れたから村に帰って寝るわ……」

「あっ、無理しないでくださいリルネさま! わたしがおんぶしますから!」

「いいわよそんなの! ちょ、ちょっと恥ずかしいってば!」

「じゃあ私がおんぶしてあげよっか? ひんやりとして気持ちいいモードにもなれるよ!」

「いいから! あたしは歩くの! 今回はたまたまあんたたちを頼りにしたけど、自分でできることぐらいは自分でするわよ!」



 やれやれ、また騒がしくなりそうだな……。


 俺はかしましい彼女たちを眺めながら、目を細めた。


 またひとりの助けになれたことを、嬉しく思いながら。





《エンディングトリガー:4》


《彼女の本当の姿を取り戻せ》


 達成コンプリート――。


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