プロローグ
──
それは、己と仲間を信じて
それは、強大な
あるいは、人々の困りごとを解決したり、魔術の
そして危険な冒険を達成すれば、
そんな冒険者になる夢を見て、きみは冒険者ギルド支部〈
ここに来た理由は、初心者にもサポートが手厚いという評判を聞いたからだ。これから冒険者になろうという者にとって、それが本当ならばありがたい。
入り口のスイングドアを押し開けて入ると、そこは広いホールになっていた。
向かって左手は、テーブルがいくつも並ぶ食堂
そして正面にはカウンターがあり、近くに
それぞれの場所に、武装した冒険者らしき男女がおり、食事をしたり、情報
「いらっしゃい」
そんな
「おや、初めてさんですね。お仕事の依頼ですか? それとも、冒険者としての登録を?」
カウンターの男は、このギルド支部を訪れる人々の顔を一通り覚えているのだろうか。
きみはカウンターへ歩み寄り、「冒険者になりたい」ことを告げた。それを聞き、眼鏡の男性は小さく
「冒険者として活動するのは、初めてですね? 私は当ギルドの支部長、ロッソと申します。ようこそ、〈
ロッソと名乗った男性は、諸注意を述べると、ギルド登録証を差し出した。そこに名前を書くだけで、冒険者として登録されるらしい。
「冒険者ギルドの役目は、依頼人から仕事を
そこだけは笑みを消し、
だが、冒険者を目指すきみの意志は固い。
大きく、はっきりと頷くと、きみはカウンターに置かれていたペンを手に取り、ギルド登録証に自分の名前を書き記した。
「おお、新人か? がんばれよ」
そんなきみの様子を見て、通りかかった背の低いひげ
中には、
「冒険者同士、ライバルでもありますからね。でも、みんな気のいい連中ですよ」
言いつつ、支部長のロッソは
そしてそのとき、きみはあることに気づく。
どうしてきみが冒険者への道を選んだのか、
この街の出身なのか、よその国から流れてきたのか、はたまた人間以外の
たとえ異世界から転生してきたと言っても、
そして、さっそく仕事をしたいことを告げると、ロッソは満足げに頷く。
「積極的なのはいいことです。でも、いきなり危険度の高いお仕事をお願いするわけにもいきませんからね。それに、ひとりで冒険に出るのは危険すぎます。まずは、仲間を
眼鏡の支部長は、そう言ってホールにいる冒険者たちを見やる。
「ギステルドさん、新人さんなんですけど、お任せしていいですか?」
その言葉に、黒板に書かれた今日のオススメメニューを見ていた背の低い男が
さっき声をかけてくれた、ひげ面の男だ。
「おう、さっきの新人さんか。いいぞ。仲間が増えるのは大歓迎だ」
口の
「まずは歓迎に飯を食おう。歓迎会だ。飯代はオレが持つよ」
そう言って、ギステルドは大きく
こうして、きみの冒険者としての第一歩が、始まった。