あまガミユミリはボランティアでヒーローをやっていた。


 なんて書くと、彼女がまるで不真面目な人物のように聞こえてしまうだろうか? まあ実際のところ、あいつはお世辞にも真面目なキャラではなく、血ヘドを吐いて石にかじりついてでも世界を救う──なんて真似が、それこそ世界でいちばん似合わないヤツだったんだけど。

 とはいえ彼女は本物だった。

 間違いなくヒーローで、疑いようもなくボランティアだった。

 理不尽をなぎ倒し、不合理を蹴散らし、不可能をあざ笑う、孤高にして唯一無二の存在。ゆえにヒーロー。誰にも知られないがゆえにボランティア。


 これは、そんな天神ユミリの物語で。

 そして、僕が世界の敵だったころの物語だ。


 ……ああダメだ。

 これじゃ言いたいことの万分の一も伝わらない。

 ええともう一回説明すると、僕の名前はとうジローで、天神ユミリの恋人でした。付け加えるなら身体の関係もありました。すんごいベロチューもしたし、それ以外のことも、まあいろいろと。……いやいや、そんないいものじゃないから石を投げないで。自慢してるわけでもないしマウントを取りたいわけでもない。ダメだな、どうも彼女の話をしようとすると、僕は自分のペースを保てなくなる。


 よし。

 気持ちの切り替えOK。

 とにかく話を始めてしまおう。始めてしまえば何とかなるさ。最後にこの物語の内容をひとことでまとめて、それでこのプロローグらしき駄文を〆させていただく。


 この物語は僕こと佐藤ジローが、天神ユミリを殺すまでのお話です。

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