あらすじ紹介
「春は――無事、此処に、います」
世界には冬しか季節がなく、冬は孤独に耐えかねて生命を削り春を創った。やがて大地の願いにより夏と秋も誕生し、四季が完成した。この季節の巡り変わりを人の子が担うことになり、役目を果たす者は“四季の代行者”と呼ばれた――。
いま一人の少女神が胸に使命感を抱き、立ち上がろうとしている。四季の神より賜った季節は『春』。母より授かりし名は「雛菊」。十年前消えたこの国の春だ。雛菊は苦難を乗り越え現人神として復帰した。我が身を拐かし長きに亘り屈辱を与えた者達と戦うべく従者の少女と共に歩き出す。彼女の心の奥底には、神話の如く、冬への恋慕が存在していた。
暁 佳奈が贈る、季節を世に顕現する役割を持つ現人神達の物語。此処に開幕。
みんなからのレビュー
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夢追人009
334大和の国で四季の移り変わりを顕現する役割を担う春夏秋冬代行者と代行者護衛官8人の活躍を春の代行者「花葉雛菊」を中心に描く異世界和風冒険ファンタジー物語です。上巻は「静」で十年前に6歳の雛菊が賊に襲撃されて虜囚となった顛末が語られ、下巻は「動」で賊が帰還した雛菊だけでなく夏・秋にも敵の魔手が襲い掛かる攻防戦が中心の物語ですね。賊の所為で心を病んだ雛菊が無垢な頃の自分と決別し、それでも誰も怨む事なく護衛官さくらとの絆を確かめ初恋の人・狼星を愛して強く生きる姿が立派で逆境に負けない真の意味での強さを感じました。 続きを読む…
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おしゃべりメガネ
128レビュアー大賞課題図書でなければ、まず手にとるコトのない作品でした。装丁からして、悪い意味ではなく、自分には馴染みのない世界観だなぁと。読み始めて、さすがはライトノベル、サクサクと読み進めてはいけますが、ライトノベルがゆえなのか、キャラの造形がなかなか極端な感じがして、少しキツかったです。作品の世界観は面白いとは思いましたが、夢中になって読めたかと言われるとアラフィフのオッサンにはちょっと無理がありました。ツンデレキャラがわんさか出てきて、ちょっと食傷気味でしたし、素直にキャラを受け入れるコトができず。 続きを読む…
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bookkeeper
124★★★★☆ 初読。季節の運行を司る異能の力を持った四人の現人神がいる、こことは少しだけ違う世界。誘拐され生還した代行者が10年ぶりに春を呼んでいるが、反体制組織による攻撃は繰り返され、今度は秋の代行者が拉致された…。 抱えるには重すぎる過去や宿命に抗う人の姿を描くことがテーマなのかな。上巻は、孤独や自責の念から心に傷を抱えた代行者と警護役達が、理不尽な暴力に対して反攻を決意するまで。過去の悲劇に涙ぐみながら読んだ分、最後ぐぐっと高揚させられる。何故そんなに四季が気に入らんのかと、冷静になると考えちゃう。 続きを読む…
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美紀ちゃん
106死を持って誰かを守ろうとすること。それは愛だと思う。しかし残されたものは?本当に守ることができているのか? 春の代行者は知っていたから、 冬の代行者を守って犠牲になった。 それが10年前の雛菊と狼星の事件。 やっとここまで。 これからの話が知りたい! 狼星は、残酷な運命と10年戦っている。 「死にたい」に負けないで生き続けて、戦機を待った。 強い想いだと思う。 続きが楽しみ。 暁佳奈さんの新作 アニメ化しそう。 描写が細かくて美しいので、また京都アニメーションで、制作して欲しい。 とても期待している。 続きを読む…
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なっぱaaua
102ヴァイオレット・エヴァーガーデンの作者らしい美しい話。とても好みです。四季が自然ではなく代行者によって移り変わっていく世界の話。冬や夏は日照りや極寒な為、絶えず代行者は命が狙わている。春の代行者:花葉雛菊は10年前、過激派によって攫われた。春の無くなった世界の冬は厳しいものとなる。やがて復活した雛菊が春を顕現するために大和を渡る。夏の代行者は襲われ、秋の代行者が再び攫われる。四季の者たちは秋を救う為に立ち上がるという前半。雛菊の生い立ちが寂しすぎて、でも懸命に生きようとする姿が好いですね。~続く~ 続きを読む…
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みんなのラノベまとめ
製品情報
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レーベル
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発売日2021/04/09
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定価759円(本体690円+税)
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ISBN9784049135848
関連サイト
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公式サイト
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公式Twitter
パートナーのおすすめレビュー(宣伝)
四季を彩る物語の、美しい描写に酔いしれます!
舞台は『四季の代行者』が存在する世界。彼らは、春夏秋冬の神様から力を借りていて、世界に四季をもたらす役割を与えられています。彼らが力を使わなかったら、季節は止まったまま。四季を巡らせるための代行者って、なんだか不思議な存在ですよね。
この世界はある理由で、なんと10年も春が巡ってきていないんです。春が来ない世界だなんて、気が滅入りそうですよね……。ですが、そこにやっと『春の代行者』である雛菊ちゃんが戻って来るんです!
季節を愛する人、季節を知らない人、「夏の暑さや冬の寒さで人が死ぬ」と季節そのものへ憎しみを持つ人――『春の帰還』と共に、さまざまな人の思惑が絡まり合っていきます。春が不在だった理由と共に解き明かされていく過去は、もう目が離せません!
それから本作は、風景の美しさも魅力なんですよ! 代行者が季節を顕現するシーンは、思わず息を呑むほどの美しさで、空気の匂いまで感じられるようです。
暁佳奈先生による美しい描写は、触れているだけできっと四季が好きになっていますよ!
人を想うがゆえに。切なく儚く胸にささる物語だよ!
ふたりは、子供の時は普通に仲良しだったんだよ。だけど、10年前のある事件をきっかけに、関係性が変わってしまったんだ。少しずつ歪んで、壊れてしまって……今のふたりにあるのは『この在り方でないと、機能できない』純粋な想いだけ。ただの仲良しになれないなんて、なんだか悲しいよね。言葉にできない深い繋がりに、胸がぎゅっとしちゃうんだ……!
季節をあやつる『代行者』たちだけど、人を愛する気持ちや苦悩に、人も神様も変わりはないんだ。守られた人、守れなかった人、ずっと『自分が死ねば良かった』と後悔する人……人間らしいからこそ、登場人物はみーんな魅力的! 傷付いた『神様みたいな人間』たちの愛は、風景の美しさも相まって、切なくなっちゃうこと間違いなしだよ!