【レビュー】蜘蛛の巣を集めたら何ができる? 可能性無限大なクラフト系ゲームの面白さが詰まりに詰まった一作です。

『未開の森を開拓して、理想の暮らし始めます ~用済みだと追放された先は前世で良く知る場所だった~1』

【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はMFブックスから5月23日に刊行された『未開の森を開拓して、理想の暮らし始めます ~用済みだと追放された先は前世で良く知る場所だった~1』です。みなさんの感想も聞かせてください!


 個人的には敬遠気味だったMMO系のゲームにも、興味がわいてくる一冊でした。というのもこれ、マインクラフトのようなクラフト系ゲームの面白いところが詰まりに詰まったお話なんですよ!

 跡取りのいない侯爵夫妻に養子として迎えられた主人公クライン。跡取りが生まれた途端、未開の森に捨てられるところから物語は始まります──さらっと書きましたが、とんでもない親ですね⋯⋯。で、森に入った瞬間、自分が転生者であり、かつてプレイしていたゲーム世界で生きていることに気づくわけです。そんな彼が持ち合わせたスキルといえば、葉っぱや枝、石などの素材を一定数以上ストックするとレシピが開放されて様々な道具が生産可能になるというもの。つまり彼の前に広がるのは……そう、自由と夢いっぱいの新生活!

『未開の森を開拓して、理想の暮らし始めます ~用済みだと追放された先は前世で良く知る場所だった~1』より

 ここからがこの物語の楽しいところで、まずすべきは素材集め。これ、ゲームなら自分もわりと嫌いではない作業ですが、リアルな肉体労働となると、やっぱりしんどいんでしょうね。でも葉っぱや枝を集めて焚火のレシピを開放したり、石を集めて炉のレシピを開放したり⋯⋯。蜘蛛の巣から糸、糸から紐、さらには縄や布などなど⋯⋯。これを集めたら何になるんだろう? これとこれを組み合わせたら何ができるんだろう? そうやって何もないところから少しずつ自分の生活の場を整えていくのは、まさにクラフト系ゲームの醍醐味。雨に濡れたとき、糸からハンカチサイズの布を作って身体をふく場面なんかは、クラフトゲーム的な行動と、ゲームでは表現しにくい、リアルな人間の欲求とが融合していて、思わずこの世界に行きたい!と願わずにはいられませんでした。

 便利なスキルでコツコツと開拓を進めるクラインを見ていると、本当にこの手の作業が好きなのだろうと感じます。森の環境破壊にも配慮しようとする姿勢も好印象。彼の生活のさらなる発展を次巻に期待してしまいます!

文:瀧田伸也

ざっくり言うとこんな作品

1)クラインが捨てられた森は、前世でプレイしていたゲームと同じ場所だった! 持ち合わせたスキルもゲームの根幹システムだったんでこれはもう無敵でしょ!

2)激レアモンスター・猫竜のモチを家族に迎え、森を開拓する日々。ゲームの知識とスキルを駆使し、彼らの暮らしも少しずつ豊かに!

3)街を訪れ、クラインは信頼できる人々たちと出会い、関係を築く。イリス、ケイなど友人も増え、開拓はより楽しく、賑やかに!

主要キャラ紹介

『未開の森を開拓して、理想の暮らし始めます ~用済みだと追放された先は前世で良く知る場所だった~1』より

▼クライン
エオニス公爵家から追放された、元養子の少年。捨てられた未開の森が、前世でプレイしていたゲーム中の場所だと思い出し、スキルと知識を活かして新たな生活をはじめる。

▼モチ
森に棲む、猫竜というレアモンスター。そのなかでも、最も希少な白毛の持ち主。クラインの家族となり、彼が前世で飼っていた猫の名をつけられた。人の言葉を理解し、意思の疎通も可能。

▼イリス
銀等級のソロ冒険者。実家は商店で、クラインの身の上話を聞き、家族ぐるみで親身になってくれる、元気で純粋なお人好し。しばらくの間、クラインと一緒に森で暮らすことに。

▼ケイ
妖猫族の若き頭。猫竜を神と崇めており、モチと森で暮らすようになったクラインを監視、警戒していた。お互い、わだかまりが解けてからは、家族同然の関係として頼れる存在に。

作品情報
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    未開の森を開拓して、理想の暮らし始めます~用済みだと追放された先は前世で良く知る場所だった~ Volume1

    著者: 紙風船   イラスト: 東上文

    モフモフで最強な家族と、なんでも作れるS級スキルで未開の森を楽々開拓!

    武力至上主義のエオニス侯爵家で養子となったクラインは、生産職(クラフター)スキルを授かったことで酷い扱いを受けていた。そして、15歳の誕生日の日、とうとう未開の森へ追放されてしまう。
    鬱蒼と茂る森を前にしたクラインは、この森が前世でやり込んだゲームに出てくるスケアグロウ大森林だと突然思い出し、散々ゴミスキルだと罵られ虐げられてきたスキルが、実はなんでも作れてしまうS級スキルであることも思い出す。クラインはゲーム知識とスキルを使ってこの場所に理想の国を作ることを決意し、意気揚々と森の中へ入っていく。
    森で出会った猫竜のモチと共に着々と開拓を進めていくクラインだが、味気ない食事を何とかすべく近くの街へ買い出しに向かう。そこで知り合ったソロ冒険者のイリスと共に買い物を終え拠点へ戻ると――!?

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