【レビュー】コミュ障な先生のもとに三人の問題児!? 理想とする「キラキラした青春」は何処へ…

世界最強の魔法使い。だけどぼっち先生は弟子に青春を教わります

【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回は6月10日に刊行された『世界最強の魔法使い。だけどぼっち先生は弟子に青春を教わります』です。みなさんの感想も聞かせてください!


 友達を作るのって、人によってはものすごくハードルの高いことですよね。友達が欲しいけれど人と関わるのは怖い。ぼっち気質な主人公・セレネにとって、三人の問題児を弟子にするのは確かに災難だったでしょう…。

 しかし、それはかえってよい荒療治だったように思います。というのは、弟子たちがそれぞれに抱えるトラブルを一緒に解決していく中で、彼女たちの人となりが自然と見えてくるし、自分から積極的に関わっていかざるを得ないからです。それに蓋を開けてみると、セレネは決して超絶コミュ障ではありませんでした。一度警戒心が解けた弟子たちに対しては、服装を自然に褒め、あらぬ疑いをかけられて傷ついている時に励ますこともできます。端から見るとそれは完全に絆を深めていく行為で「ちゃんと友達作れてるじゃん!」と、ニヤつきながらツッコんでしまいました。

『世界最強の魔法使い。だけどぼっち先生は弟子に青春を教わります』より

 さらに面白いのは、セレネ自身が既に願いを叶えていると気づいていないところです。彼女が弟子たちと過ごす日々は、この四人でなければ作り出せない慌ただしさや楽しさに満ちていて、「こんな青春を送りたい!」と羨ましくなるほどです。しかし、彼女にとってはずっと憧れているキラキラした青春からはかけ離れているようで…。長いぼっち生活ゆえの認識のズレはちょっと切なくも、前向きに理想にこだわり続けるセレネに、同情心より微笑ましさを感じますね。

 人との出会いや関わり方は意識してコントロールできるものではなく、思いも寄らない方向に転がっていくもの。その面白さを、この作品でたっぷり味わえました。セレネと弟子たちの関係性が今後どんなふうに変化するのか、想像するとワクワクせずにはいられません。

文:安芸 沙織理

ざっくり言うとこんな作品

・最強魔法使いなのに超絶人見知りの主人公が、学院命令でむりやり弟子を取らされることに!

・教え子となる弟子はセレブ、不良、モテモテ恋愛強者と自分と対極的な人物ばかり!

・そんな弟子たちとなんとか付き合う内に、彼女たちそれぞれが抱える事情も見えてくる!

主要キャラ紹介

セレネ・リアージュ

セレネ・リアージュ
14歳にしてマスターランクとなった凄腕の魔法使い。人見知りが激しくコミュニケーション能力に欠けている。

イリア・ムーンライズ

イリア・ムーンライズ
王位継承のため魔法を学びに来た、ある王家の第一王女。真面目だが何でもお金や権力で解決しようとする癖がある。

メローナ・フォルテ

メローナ・フォルテ
誰にも負けない力を得るために学院へ入った獣人族の少女。不良らしく短気だが情に厚い一面も。

プラミ・レイハート

プラミ・レイハート
意図せず他人を魅了してしまうハーフサキュバスの少女。自分の力を抑えるために魔法を学ぶ。

作品情報
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    世界最強の魔法使い。だけどぼっち先生は弟子に青春を教わります

    著者: 小林湖底   イラスト: 茨乃

    魔法はつよつよ、コミュ力よわよわ、ぼっちが挑むはリア充へ至る道!?

     セレネ・リアージュは14歳にしてマスターの称号を持つ凄腕魔法使い。
     人とのコミュニケーションが“ほんの少し”苦手で、いつもアイネル魔法学院の研究室に閉じこもっている彼女に、学院側から「弟子を3人以上育てないとクビ」という恐怖の通達が届く――!!
     初対面の3人、しかも自分より年上の生徒にものを教えるなんて絶対ムリ!と涙目になるセレネだったが、クビは嫌なので泣く泣く弟子を募集することに。しかし集まった生徒は事情を抱えた王族セレブに百合百合恋愛強者、前科持ちの不良娘と、セレネが苦手な問題児ばかり。
     それでも何とか授業をしてほしい弟子たちの提案によって、セレネが魔法を教えるかわりに、彼女たちからは“青春”を教わることに――!?
     ぼっち先生と問題児たちが贈る、異世界“青春(?)”ファンタジー!

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