【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はファンタジア文庫から5月20日に刊行された『追放された侯爵令嬢と行く冒険者生活』です。みなさんの感想も聞かせてください!
このギャップあるポンコツ具合、嫌いじゃない。むしろ好き♡
子爵家の次男で、魔法は日常生活レベルだけど身体強化に優れて冒険者として二つ名まで持つシンと、名門侯爵家の娘であり剣も魔法も容姿にも優れた天に二物も三物も与えられた天才エリカ。
故あって国外追放された二人の再スタート……というのが物語の大まかな骨子なのですが、本作はキャラクターの魅力が非常にうまく描かれているんです。
冒険者としてはお互い一流なんですけどね。
とにかくポンコツなんですよ、この二人!
見事なね、「恋愛」ポンコツなんですよぉぉぉぉ!

エリカの言葉に一喜一憂して、内心では可愛い、優しい、好きとか考えてるのに照れる焦る舞い上がるでなかなか言葉も行動も追いつかないシンは、奥手の極みといった感じだし。
エリカはエリカで、シンの好意が彼女の親友である光の巫女に向けられていると勘違いして空回ったり、ちょっとしたやり取りでも思い出してはジタバタしてるし。
もうばっちり両想いなんだけど、なかなかベクトルがあわないというか「いやいや、早くくっついちゃいなよ焦れってぇ!」ってなるんです。
しかしそのポンコツ具合による焦れったさがたまんねぇっすわ! ってなるんです。

かつてこれほどまでに、ヒロインだけじゃなく主人公に対して思わず「可愛いなこいつ」と思ってしまうラブコメが存在したでしょうか!?
物語が進むうちにどんどん二人への愛着が深まって、知り合いの――というより大好きな友人たちの恋愛を応援しているような微笑ましい気持ちになってきます。
しかも、二人の掛け合いがまた絶妙な距離感で甘酸っぱいんです、これが。凜とした高貴さを持つ侯爵令嬢のエリカがデレて発する「わたくし貴方を気に入りましたわ」の台詞とか、もうグッとこないわけがないですよ!!
というわけで、定番ファンタジーの冒険モノかと思いきや、あまあまラブコメの魅力が詰まった本作、ぜひ読んでみてはいかがでしょう?

文:勝木 弘喜
ざっくり言うとこんな作品
1)第9回カクヨムWeb小説コンテスト特別賞・ComicWalker漫画賞のW受賞作! コミカライズも連載決定の注目新作!!
2)「恋人との駆け落ち」に偽装され貴族たちの陰謀によって国外追放されてしまった侯爵令嬢エリカ。偽の駆け落ち相手に選ばれた、貧乏子爵家の次男シンが彼女のために奮闘する物語。
3)奇しくも自由を手に入れた二人による、一つ屋根の下の生活。身分を捨て母国を離れ、再スタートした“かりそめ夫婦”の冒険者生活と関係性の行方は――?
主要キャラ紹介
シン・ロングダガー
“身分不相応のロングダガー”という二つ名を持つランク4の冒険者。貧乏子爵家の次男だが、エリカの駆け落ちをでっち上げる茶番の相手役に選ばれたことで勘当されている。

エリカ・ソルンツァリ
名門侯爵家の娘で、天から二物も三物も与えられた剣と魔法の申し子。神に愛された人間、光の巫女の親友。それを邪魔に思った馬鹿どもの思惑により国外追放されることに。

-
追放された侯爵令嬢と行く冒険者生活
著者: たけすぃ イラスト: コユコム
追放された令嬢にとって、俺が唯一の味方らしい
「あのクソ王子クソ王子クソ王子」
侯爵令嬢エリカ・ソルンツァリは王子を巡る陰謀により追放された。
「恋人との駆け落ち」という体で国外に追いやられたエリカ。その恋人役に選ばれた冒険者シンは、仮初めの恋人役ながら理不尽な目に遭ったエリカのため剣を振るい――
「シン・ロングダガー、わたくし貴方を気に入りましたわ」
エリカに求められ、二人で暮らし始めるシン。一緒に冒険者として活躍しギルドに認められ、一つ屋根の下で自由な生き方をする。エリカとの距離も近づき――
「シン! 今日も冒険者生活ですよ!」
満面の笑みを向けてくれるようになりました。