【レビュー】デスゲームはお好きですか? 英雄たちが集う学園で、無能力の主人公の立ち振る舞いに注目!

神様を決める教室

【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回は4月10日に刊行される『神様を決める教室』です。みなさんの感想も聞かせてください!


皆さんデスゲームはお好きですか? いいですよねデスゲーム……生き残るため知恵を絞る頭脳戦もあれば、一時的に共闘したり逆に裏切られたりする心理戦もあって、時には応援していたキャラが無情にも死んでいくところも最高です……。

本作の主人公であるミコトは、普通の参加者ではなく、試験中にルールを違反した者を処刑する粛正者(パージ)として学園に招かれています。この学園に集められたのは世界を救った経験がある英雄たちなのだけど、地球出身であるミコトは無能力者。性能に大きな隔たりのある周囲の生徒を、ただの人間であるミコトがどう攻略するのか……? そう、この頭脳戦こそがデスゲームものの醍醐味……!

またもう一つ大きな問題となってくるのがミコトの精神面。ある望みを叶えるために粛正者として他の生徒を殺していくミコトですが、だからこそ心だけは正しくありたいと望んでしまう。試験の時以外は皆で授業を受けたり、食事をしたりと普通の学園生活を送っており、ミコトもこの生活の中で周りのクラスメートと仲良くなるわけですが、皆に粛正者であることを隠し続けるのはなかなかしんどい……。

そんな中で出会ってしまうのが、聖女ルシア。周囲の人間を救うために行動するという彼女の存在はある意味正しさの化身。自分のやっていることとも、学園の目的とも大きく異なる彼女に、ミコトの心は大きく揺り動かされるわけです。

『神様を決める教室』より

いずれ死ぬことは避けられないとしても、少しでも全員の生きる時間を伸ばしたいと考えるルシアのスタンスは、弱者側の生徒たちにとって間違いなく救いの存在。その一方で王女エレミアーノは強者こそが相応しい地位を得るべきと主張するので対立してしまう。

この二人の派閥争いに巻き込まれたミコトがどう立ち回るのか、粛正のため学園にいるミコトが聖女とどう関わっていくのか? ハッピーエンドへの道のりは全く見えそうにないのですが、それでもより良い結末を求めて必死でもがくミコトの姿が尊い……。デスゲーム好きにはたまらない作品ですよ、これは……!

文:柿崎憲

ざっくり言うとこんな作品

・試験を乗り越えた一人の生徒のみが神になれる学園。その裏には粛正者と呼ばれる生徒たちがいて……!?

・粛正者としてクラスメイトを処刑していくミコト。しかし、聖女・ルシアとの出会いで彼に変化が……!?

・聖女・ルシアと王女・エレミアーノ。互いに譲れない信念を持つ2人の派閥は対立することになり……!?

主要キャラ紹介

ミコト=ハヅキ

葉月尊(ミコト=ハヅキ)
粛正者として学園に招かれた少年。現代日本のような国の出身で、超常的な力は持っていないが、様々な道具や技術を駆使する。

ルシア=イーリフィーリア

ルシア=イーリフィーリア
学園に招かれた聖女。少しでも皆で長く生き残るために、クラスの皆をまとめていく。必要であれば自身が傷つくことも厭わない。神に目をかけられた生徒の一人。

エレミアーノ=アリエル

エレミアーノ=アリエル
ミコトたちとは別の教室の生徒。生前は王女であり、強いカリスマ性でクラスを一つにまとめあげた。運動は少し苦手。神に目をかけられた生徒の一人。

作品情報
    • 試し読み
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    神様を決める教室

    著者: 坂石遊作   イラスト: 智瀬 といろ

    英雄たちが神を目指すこの学園で、彼女のために僕は手を汚す――

    ★「才女のお世話」の坂石遊作が描く、悲しくも美しい学園ファンタジー★
     最初に話しかけてくれた英雄を殺した。同じクラスになったばかりの異能力者を殺した。殺した、殺した、躊躇もせずに。彼らが、不正を犯したから。僕にも、叶えたい願いがあるから。
    「それでは、ミコト様。たくさん殺してください。たくさん裁いてください。それが粛正者(あなた)の役割です」
     あらゆる世界の英雄たちを死後に集め、次代の神を決めるための学園。過酷な試験を乗り越えた一人の生徒のみが卒業を許され願いが叶えられる一方、脱落者は世界から完全に消える。異能も持たず英雄でもない元暗殺者・ミコトはクラスメイトに正体を隠したまま違反者を処刑していく。しかし、誰をも救いたいと願う、心優しい聖女・ルシアとの出会いが少年の行動原理を変えてしまう。
    「――お前が正しい心を持つ限り、僕はお前を護ってみせる」
     聖女を神の座に導くため、少年の暗躍が始まる!

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