【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回は3月28日刊行の『入居者全滅事故物件』です。みなさんの感想も聞かせてください!
覚悟を決めただけの普通の女子・明子が、ゴリマッチョな除霊師・耕太の助力を得て、『入居者の終の棲家になるタワー』の異名を保つ非道建築タワーマンショへ殴り込み、事故物件一級建築士とその配下たる怪異どもを相手に大立ち回りするアクション。並べただけで匂い立つ外連味に、いきなり引きずり込まれました!
一般的にホラー作品の「恐怖」というのは、ひたひたと「迫り来る」ものだと思っているんですが 、本作の「恐怖」は全速力で駆けつけてくるんです。しかも登場する怪異が元人間なせいもあってか妙に小悪党臭くて、ゆえに耕太の拳でぶち抜かれる様には世紀末的な爽快感があります。さらに、最初のほうで明かされる事故物件一級建築士の恐るべき計画……その計画実行のために彼が用意した手段……これがまた読者に残っている子供心をくすぐってきます。内容は言えませんが、超弩級ですから。
あれ? もしかしてこの作品、ギャグなのでは? 第一章を読んだ時点ではそう思うでしょう。ですが第二章へ目を進ませたそのとき、気づかされるのです。いきなりのどんでん返しに。
バトルから一転、明子は恩人である「俵耕太」が隠していた謎を追います。そこにまた個性豊かとしか言いようのないキャラクターたちが登場して絡み、物語はコメディ、ミステリー、ヒューマンドラマ、様々に様相を変じていくのですが、そんなバラエティに富んだストーリーが、最後には伝奇の切なさをまとう王道ホラーのクライマックスへと帰着する。この構成の妙、実にすばらしい。……いや、それを通り越して「やられた!」と悔しいくらい。
奇想天外の名がこの上なく似合う本作、その結末やいかに? どうぞその目でご確認あれ。
文:髙橋剛
ざっくり言うとこんな作品
1)1日の内にすべての住民が殺害されたという『非道建築タワーマンション』、そこから飛び出してきた怪異がヒロインを襲う!
2)破邪の拳で怪異を討つヒーロー見参! その豪腕が魅せる痛快さがとにかくすごい――だけじゃない! 実は彼には秘密が……!?
3)コメディ、バトルアクション、現代ファンタジー、ミステリー、そして人間ドラマ。刻々と変化する妙味は言わば包括型ホラー!
主要キャラ紹介
▼東城明子(とうじょう あきこ)
非道建築タワーマンションで両親を喪い、遺産として彼らの部屋を相続した。それにより襲われた彼女はすべてのカタをつけるため、事故物件一級建築士との対決を決意する。
▼俵耕太(たわら こうた)
日本最高峰の除霊師で、筋骨隆々のタフガイ。過去のとある事件から理不尽に襲われた者を理不尽に助けることを志した彼は今、明子を助けるべく法力を握り込んだ拳を振るう。
▼事故物件一級建築士
非道建築タワーマンションの建築士。目的は己がタワーで生み出した怪異を放ち、この日本に死と殺戮をばら撒くこと。それを成すための最後の障害、明子を殺そうと画策する。
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入居者全滅事故物件
著: 春海水亭 イラスト: 安藤 賢司
敷金礼金家賃不要!葬式代のみ自費負担!SFアクション不動産ホラー開幕!
『私、ストロング・ザ・メリーさん……』
深夜二時に東城明子のスマートフォンにかかってきたのは、都市伝説怪談めいた内容だった。
だが、ストロング・ザ・メリーさん……!?
何かがおかしい……。
「その……イタズラですか……?」
『貴様を殺す』
!!
そして再び震えたスマートフォンからは
『私……ビッグ・ザ・メリーさん……』
!?
連続する怪異に慄く明子にしかし、希望の声が聞こえてきたのもその後すぐであった。
『俺は俵さん、今アンタを助けに行くよ』
間一髪、『バケモン共をしばいて回っている男』俵耕太に助けられた明子だったが、俵の口からは再び耳を疑うような言葉が発された。
「非道建築タワーマンションのバケモンがアンタを狙っている」
常軌を逸した最強最悪の事故物件との、壮絶な戦いが始まった──
Web小説サイト『カクヨム』連載時から全編にわたり大幅改稿し、新規書き下ろしを含め加筆した決定版!