異色の大ヒット作「よう実」
ガイド誌「このライトノベルがすごい!」(宝島社)において2018年以降、つねに上位にランクインし、2023年版では殿堂入りを果たした『ようこそ実力至上主義の教室へ』、通称「よう実」。2015年にスタートし、約10年続く長期シリーズでありながら、右肩上がりに、しかも10~20代からも人気を集めるのは異色と言えるだろう。

物語の舞台となるのは日本政府によって作られた高度育成高等学校。すべての生徒は男女別の寮で暮らし、学校以外の外部との接触は一切禁止。親からも干渉されない。生徒には学校内では円と同等の価値を持つポイントが毎月10万ポイント分支給される。そして成績優秀で卒業できた生徒はほぼ100%の希望進路が叶えられる。
そんな、夢のような環境。
しかし、そこは完全なる実力至上主義の特殊な教育機関なのだ。さまざまな試験で生徒たちは競わされ、成績が振るわない者は容赦なく退学処分となる。学校という日常から地続きのまま非日常が始まる、そのギャップが若年層に支持される理由かもしれない。
脳を刺激される戦い、そして異色の主人公
「よう実」の魅力はそれだけにとどまらない。さまざまなルールで行われる筆記試験に加え、体育祭、文化祭、さらに無人島や豪華客船で行われる特別試験には、浮き立つような知的好奇心がそそられる。
試されるのは知力はもちろん、体力や統率力、チームワーク、交渉能力といった実社会を反映したものであり、他の生徒たちとの協力関係だけでなく、駆け引き、取り引き、出し抜き、策略など、生徒たちが繰り広げる戦いに固唾を呑む展開が繰り返される。先の先を読み、裏の裏をかき、最後に読者の予想を裏切る結果に毎度驚愕させられるのだ。
生徒たちの個性も見逃せない。成績優秀ながら他者を寄せ付けない堀北鈴音、対極的に誰からも好感を持たれながら陰で堀北に憎悪を向ける櫛田桔梗、高いポテンシャルを持ちながらその実力を発揮することなく、唯我独尊で集団行動をとらない高円寺六助、独裁的な統率力と手段を選ばない強引さで上を目指す龍園翔など、主要人物だけでもあげきれない。
しかし群を抜いて存在感を放つのは主人公、綾小路清隆だろう。
無気力気味で特に目立ったところがない綾小路だが、それは周りに埋没するよう意図された振る舞い。物語が進むにつれ少しずつ実力の一端を見せる場面も増えてきたが、いまだ底がしれない。自身は好成績を収めることに興味を持たないが、堀北に協力する形で暗躍する様子は、読者に対し、その強さに対する憧れと同時に得体のしれない恐怖さえ感じさせるだろう。
綾小路の存在自体が「よう実」の異色さそのものと言えるかもしれない。
さらに混迷を極める3年生編、スタート!
1年生編で綾小路は陰からクラスメイトの成長とバラバラだったクラスの結束を後押ししてきた。対抗姿勢を強くする龍園クラスをラフな手段でねじ伏せつつ、綾小路の出自となる天才育成施設「ホワイトルーム」が綾小路を退学に追い込もうと圧力をかけてくるのを回避した。
2年生編では同学年との競争に加え、他学年との連携と競争が活発になり、さらに事態は複雑になっていった。難解な設問を含んだ数学のテストで綾小路は学年唯一満点をたたき出し、クラスのディベートを誘導。そこからクラス代表となって成績を残すなど、その実力は徐々に周知されていく。

学園生活が進み交友や恋愛が活発になるなか、綾小路は同じクラスの軽井沢恵と付き合いだした。その一方で、他クラスのリーダーである一之瀬帆波とも距離が近づいていく。
その行動目的の全体像はいまだ明かされていない。
最終学年を前にしてクラス順位、生徒同士の関係は大きく変動──。
綾小路は何を考え、どう動くのか?
激化する実力至上の競争で誰が笑い、誰が泣くのか?
はたしてどのクラスがトップで卒業を迎えるのか?
さまざまな答えが待つ3年生編が、遂にスタートする!!
主要人物紹介(3年生編開幕時)
Aクラス(堀北クラス)

堀北鈴音(中央)
クラスのリーダー。一人でも多くのクラスメイトとAクラスで卒業することを目標に掲げる。3年生への進級の際、ついにAクラスへの昇格を果たす。
軽井沢恵(右端)
クラスのカースト最上位に位置する女子グループのリーダー。1年生の春休みに協力関係にあった綾小路と付き合うようになり、綾小路に全幅の信頼を置くが、2年生の春休みに別れる。
櫛田桔梗(左端)
面倒見が良く、そのルックスも相まって学年を問わず屈指の人気を誇る少女。内心では他人を見下しており、自分を完璧に見せるために嘘の自分を演じ続けていたが、あることがきっかけでクラス内に知れ渡ってしまう。
高円寺六助(右から二人目)
日本有数の資産家である高円寺コンツェルンの跡取り息子。何者にも縛ることの出来ない存在で究極の自由人。そして同時に変人でもある。
平田洋介(左から二人目)
サッカー部に所属し、クラスの意見を率先してまとめている。学力やスポーツも申し分なく、男女平等で優しい振る舞いであるため、男女から絶大な信頼を寄せられている。
Bクラス(龍園クラス)

龍園翔(中央)
クラスのリーダー。綾小路の実力を知る人物の一人。勝つためには手段を選ばず強い反発を生む作戦を好んでいたが、クラスメイトの声を聞くようになるなど変化を見せている。
椎名ひより(右から二人目)
本の虫で、図書室にいつも出入りしている。おっとりした性格だが高い洞察力を持ち、クラスのために行動することもある
伊吹澪(左から二人目)
友達は少なく、非常に喧嘩っ早く勝気な性格。龍園のやり方には行き過ぎた部分もあると引く一面も。
葛城康平(左端)
龍園の提案に乗りクラス移動をした。慎重な性格で冷静な判断力を持ち、時には龍園の考えに意見するなどストッパーの役割を果たしている。
石崎大地(右端)
龍園の自称右腕。綾小路の実力を知る人物で、かつ綾小路を友人として受け入れており、彼をクラスに引き入れて龍園と組ませようと試みる。
Cクラス(綾小路クラス)

綾小路清隆(中央)
本作の主人公。極めて高い身体能力と頭脳を持っており、冷徹な一面も持つ。3年生への進級を機に、自分の目的のために新たなクラスへ移籍する。
山村美紀(左端)
生来影が薄く、それを活かして坂柳の下で情報収集をするなど密偵としての役割を果たしていた。
森下藍(右から二人目)
丁寧な言葉遣いをするが、他人を呼び捨てにし、突拍子もない行動をするため個性的な人間として扱われている。
橋本正義(左から二人目)
他クラスの龍園や神崎たちと繋がっており、最終的に確実なAクラス行きの切符を手にしようと画策している。
鬼頭隼(右端)
影が薄く独特な顔つきが特徴。須藤とバスケで好勝負をするほど身体能力が高く、坂柳の側近としてボディーガードの役割をしていた。
Dクラス(一之瀬クラス)

一之瀬帆波(中央)
クラスのリーダー。社交的で頼りがいのある心優しい生徒。何度も助けられた綾小路への恋心を自覚し、その気持ちと向き合うことで、改めてクラス全員でのAクラス昇格を目指す。
神崎隆二(右から二人目)
勉強もスポーツも人並み以上にこなす優等生で、一之瀬の参謀かつ右腕。クラスの状況を変えるために、水面下で内側から変えるために仲間を集めている。
網倉麻子(左から二人目)
一之瀬と仲がよく、一緒に遊ぶなど行動を共にする機会が多い。友人としてクラスの方針に悩む彼女を心配している。
姫野ユキ(右端)
一之瀬クラスの中では珍しく、仲良しこよしを避けるタイプだが、クラスの輪を乱すほどではない。
渡辺紀仁(左端)
学力と身体能力は平均よりも少し高めで、欠点らしい欠点はない。人当たりが良く、多少流されやすい一面があるが、コミュニケーション能力も高い。
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ようこそ実力至上主義の教室へ 3年生編 1
著者: 衣笠彰梧 イラスト: トモセシュンサク
さあ、本当の実力主義を始めよう。
2年最後の「学年末特別試験」を経て、3年生をAクラスで迎えるにいたった堀北たち元1年Dクラス。だが最大の立役者・綾小路清隆がクラス移籍をしてしまう。堀北クラスの生徒たちは混乱と混沌の感情に陥るが――たった一つの残酷な事実がそこには存在していた。堀北たち3年Aクラスは、『綾小路清隆』に勝利せねば、Aクラスで卒業できない。
成長を見せる龍園とBクラス、綾小路のCクラスと一之瀬のDクラスに新たな繋がりが生じる中、3年最初の特別試験『全体、少数戦学力総合テスト』が発表される! Aクラスで卒業できるのはたった1クラス。頂点に立つのはどのクラスなのか! 待望の『3年生編』スタート! -
ようこそ実力至上主義の教室へ 1年生編公式ガイドブック First File
イラスト: トモセシュンサク 原作: 衣笠彰梧
全てのよう実ファンに贈る、初の1年生編公式ガイドブック!
『ようこそ実力至上主義の教室へ1年生編』(1巻~11.5巻)の内容を完全網羅!
綾小路たち1年生の各リーダーやクラスメイト、さらには個性的な2、3年生の先輩たちや教師陣に至るまで、総勢120名以上の登場人物を一挙紹介!
綾小路たちが過ごした高度育成高等学校の日々を辿るストーリーに加えて、クラスポイントを巡って競い合う特別試験をルールから結果まで徹底解説!
各クラスのクラスポイント推移と年間行事をまとめたカラーページも掲載!
さらに過去のイベント特典SS『初めての電話』『一之瀬帆波の春休み -最終日-』を収録!
これを読めばよう実がますます面白くなる、ファン必携の一冊! -
ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編公式ガイドブック Second List
イラスト: トモセシュンサク 原作: 衣笠彰梧
よう実ファン必携の2年生編公式ガイドブック!!
『ようこそ実力至上主義の教室へ2年生編』(1巻~12.5巻)の内容を徹底解説!
成長を遂げた2年生の各リーダーやクラスメイト、さらには綾小路を狙う新1年生たちに加えて、一癖も二癖もある3年生の先輩たち、そして教師陣や学外のキャラクターに至るまで、総勢200名以上の登場人物を一挙紹介!
綾小路たちの歩みを振り返るストーリー紹介はもちろん、クラスポイントを巡って熾烈な戦いとなった特別試験をルールから結果まで完全網羅!
今回も各クラスのクラスポイント推移と年間行事をまとめたカラーページを掲載!
さらに過去のイベント用SS『模擬デート』『あの頃から―――』を収録!
よう実2年生編の予習復習に最適の1冊! ファン必読のガイドブック!