【レビュー】異色の異世界ファンタジー、転生スタートはなんと奴隷少年!?　そこからの解放に読者の庇護されたい欲も満たされる……

【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はMFブックスから2月25日に刊行される『少年アウルのほんわか異世界ライフ　～新しいご主人と巡り合い最強パーティーとゆったり生活します～１』です。みなさんの感想も聞かせてください！

異世界転生と言っても、一口にいいものだけではありません……。この物語の主人公、アウルはまさしくそう！　奴隷として暴力に怯えて仕事をする日々……まだ９歳ですよ？　こんなひどい扱いありますか⁉

しかし、縁あって新しい主人となったハルクと、彼の冒険者パーティーのもとで環境が一変！　お風呂に入れてもらったり、天下一品の美味しいご飯をだしてもらったり、まさしく「子供」らしいお世話をされてる姿には、にこにこしてしまいます。まさに幸せそのものでほっこりさせられるんですよ！

本人はちょっとむずがゆそうですが、それでもパーティーメンバーからよしよしの大渋滞。意外とそれが読み手側の癒されたい、子供扱いされたいという願望を満たしてくれるんです……。日頃のストレスも癒されていって……サイコー……！

アウルもお世話されるだけじゃなくて、しっかりと恩を返していくのがいいところ。魔法を使って、男所帯パーティーの穴であった掃除、洗濯はお手のもの。あっという間に部屋も服もぴかぴかになっていく爽快感がたまりません！

その緻密な魔法制御は、狩りにだって使えます！　大きな猪だって、雷魔法を制御して一瞬で仕留めてしまうんですよ。一流冒険者と比較しても遜色なく、実力でもめきめき認められていく満足感がたまりません！

そもそもこの世界、奴隷とはいっても、その扱いは使用人に近いらしく、暴力などを振るったら国際法で処罰されてしまうそう。「あれ？ じゃあかつてのアウルの扱いって？」……という、思考のポケットをつくような展開も多くて、読み進めるたびに「ああーっ！」と驚きの声をあげることもしばしばでした。真正面からの癒されと舞台設定の奥深さ、一度で二粒楽しめました！

文：波樹葉音

ざっくり言うとこんな作品

１）転生先は声の出ない奴隷の少年⁉　それでも優しい主人たちにアウルと名づけられ、健やかに成長していくほんわかファンタジーライフ！

２）『浄化』の魔法で掃除も洗濯もお手の物。メンバーの指南を通して、一流冒険者に負けないほどの鮮やかな狩りだってできるように！

３）新しい主人ハルクも、パーティーメンバーもどこか一癖、二癖もある人たちばかり。徐々に垣間見える裏事情に、続きが気になってしまう！

主要キャラ紹介

▼アウル
現代から転生した声の出ない奴隷の少年。最初は雑用として買われたが、後々冒険者見習いとしてパーティーメンバーに同行することになる。『浄化』の魔法による掃除、洗濯が得意。

▼ハルク
アウルを不思議な縁によって買った冒険者。気さくで話しやすい態度をとり、アウルにも優しい一方、様々な武器の扱いは一級品で、冒険者としての実力は折り紙付き。

▼ダイン
パーティーの回復役、盾役を担う。人を『視る』という『権能』で、喋れないアウルの頭の中を覗き見、その聡明さに驚くこともしばしば。アウルの頭を撫でるのが好き。