【レビュー】メインヒロインはまさかのゴリラ!? 人と動物が織り成す異種族ラブコメディ（？）

【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回は3月7日に刊行される『隣のゴリラに恋してる』です。みなさんの感想も聞かせてください！

先祖の呪いで女子が動物に見えてしまう主人公、浩太にとって里穂は特別です。なにせ彼の目に猿系として映る女性は彼女だけで、さらにゴリラは彼の半生においても超レア存在ですから！

――まさかこんな方法でヒロインを際立たせてしまおうとは！

その発想には戦慄するよりほかにないわけですが、隣の席に黄色い髪飾りをつけたゴリラがいたら普通に驚くでしょうよ。しかもそのゴリラに惹かれていくとなれば自分を疑いますよね。

普通の女子相手なら生まれようのない浩太のとまどいや葛藤が、里穂と過ごす時間の中でどんどん深まっていく展開、真っ当じゃないはずなのに超真っ当なラブコメなんですよ！　ときめきましたよヒロインがゴリラなのにね！

それと共に、呪われているが故に恋愛経験がなく、「好き」と「愛してる」の違いがわからない彼の心が、異種たるゴリラにごりごりと掻き乱されてしまうリアルさとドラマ性、正直に言って見惚れました。

しかもですよ、そこへ投入されるライバルヒロイン――浩太目線だと茶トラの猫に見える「トラ先輩」こと来那がまた強力なのです。

彼女のもまた呪いを受けている身なのですが、浩太とは別種のもの。それでも浩太最大の理解者であり、呪いを解くための協力者でもあります。人に言えないことを共有しあえる間柄って、見た目さえ考えなければ王道カップリングじゃありませんか。

さらに来那は『かわいい＋バイオレンス』で、ゴリラの里穂は『生真面目＋バイオレンス（彼女曰く「心の痛みを具現化したもの」）』なので、かわいいの分だけ来那が強いように思えます。バイオレンスは共通項なゴリラと猫に挟まれた浩太の恋路、いったいどっちに向かうのか!?　それはご自身の目でご確認を。

文：髙橋剛

ざっくり言うとこんな作品

・恋愛は顔から入るタイプなのに、先祖の呪いで女子が動物に見えてしまう主人公！　人と動物が織り成す異種族ラブコメディ!?

・メインヒロインは（主人公目線だと）ゴリラ!!　ライバルヒロインは猫!!　登場する女子全員が動物だから動物好き必見――？

・いろいろと難しい昨今のルッキズム情勢へ結果的に一石を投じてしまう問題作！　関係者一同、覚悟キメてます!!

主要キャラ紹介

斎木浩太（さいき こうた）
代々【異性が人外に見える呪い】をかけられ現在進行系でその呪いに苦しむ高校生。恋は外見からと思っているが、仲の良い“ゴリラ”に惹かれている現状に感情を計りかねている。

強羅里穂（ごうら りほ）
浩太がゴリラに見えている隣の席の女の子。敬語で話し礼儀正しくクールな印象だが、「顔が怖い」と言われることをちょっと気にしていたりたくさん食べたりする可愛い一面も。

三戸来那（みと らいな）
浩太が猫に見えている一つ先輩の女の子。自身も呪いを受けており周りからは男性に見えているが、女性なので浩太には猫に見えている。どうやら解呪方法を知っており、それが自分ひとりでは実現不可能な方法のため同じく呪いを受けている浩太に協力を申し出る。