【レビュー】楽曲『のだ』のノベライズはなんと感情百合ですよ! 感情百合! 

『のだ』

【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はMF文庫Jから1月24日に刊行される『のだ』です。みなさんの感想も聞かせてください!


白状します。原曲は聴いていないけれど、とても面白かった──。

というのも、本作の原稿を読み始めるまで、『のだ』という楽曲がMF文庫Jからノベライズされることは知っていたものの、楽曲は聴いたことがなく、知識としては「のだ」というのだからずんだもんが主人公なのだろう……というくらい。おそらく同じ認識のライトノベルファンも大勢いらっしゃるのではないでしょうか。

そして実際に繰り広げられるのは、タイプの異なるコミュ障女子高生によるクリエイター×感情の殴り合いバトル。感情百合ですよ! 感情百合!

『のだ』

まず、主人公のキナコは歌が上手いことをアイデンティティーに生きていたものの、「キナコちゃんって、いつも自分の話ばかりするよね」と友人に言われ、一気にコミュ障に。その果てにボカロ沼に落ち、一念発起して向かったヒトカラで歌ってみた動画の収録をするのだった──! いやぁ、あるある。辛いことがあってネットの沼にハマること、ありますよね(ソースは自分)。

対して声優として活動する(出演作は多くないけれど)クラスの人気者のアリナは、有名音声合成ソフトのCVを担当していたものの、守秘義務を前に、自分を前に出せなかった。

『のだ』

そして、キナコはアリナに羨望を、アリナは言い出せる立場でありながら何も行動をしないキナコへの感情が高まっていって……という具合。そして最後は、クリエイター二人が魂でぶつかり合うのだ!(ネタバレに配慮した表現)。

ともなれば、いたって物語は単純。少女二人が、自分にはないものを求め、意識して、ぶつかり合うだけ。そのバックグラウンドとして原曲は聴いた方がより楽しめるけれど(読み終わってから聴くと、なるほど! と合点がいきました)、それは「聴いてから読むか、読んでから聴くか」というところで。

『のだ』

にしても、こんなに純粋な感情百合が刊行されるとは……! 個人的には終盤の展開、大好物です。もっと彼女たちのやりとりが見たい! そしてエピローグ、とても大好きでした!

文:太田祥暉

ざっくり言うとこんな作品

1)大漠波新による大人気楽曲「のだ」がノベライズ! ずんだもんと初音ミク、重音テトが歌ったあの世界が物語で楽しめる!

2)楽曲の歌い手であったずんだもんがカバーイラストに登場! それだけではなく、作中で主人公のターニングポイントとなるのも、ずんだもん動画……!?

3)歌い手やフリー素材、音声合成ソフト(生成AI)など、現代のインターネットユーザーなら身近なキーワードがテーマとなったガールミーツガール!

主要キャラ紹介

▼キナコ
小学生時代の出来事がきっかけで、人見知りになってしまった少女。そのため、中学・高校では友達がいない。歌が上手く、中学時代に【Kinako】と名乗り、覆面の歌い手活動を開始する。

キナコ


▼アリナ
名家に生まれたお嬢様にして、若くして声優活動を開始したキナコの高一・高三のクラスメイト。

アリナ


▼蒔田(まきた)
古のインターネットに精通したコミュニケーション強者の教師。キナコにとって高一・高三の担任で、ひとりぼっちな彼女を心配している。

蒔田

作品情報
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    のだ

    著者: 真野真央   イラスト: Oda Kogane   原作・監修: 大漠波新

    大人気楽曲「のだ」が小説になって登場!

    キナコは友達ゼロの中学生。上手く人と話せず、けどそんな自分を変えたかった。ある日、ずんだもんの動画をきっかけにキナコは初めてカラオケへ訪れる。好きな曲を歌うと──100点を連発!? なんとキナコはあらゆる曲に声を合わせられる天性の歌声を持っていた。「私は歌で殻を破れる!」と無我夢中で『歌ってみた』を投稿。瞬く間にバズり顔出しもSNSもしない歌い手【Kinako】として一躍有名に! 認められる興奮を噛みしめる中、キナコの声を加工して使いたいという依頼に軽く承諾してしまう。キナコの声が素材の実況や解説動画が増えていく一方、次第に自分の考えとは過激な使い方をする投稿者が現れ……?

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